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ユングフラウ賞展望&報知グランプリC回顧

  • 2013年02月12日(火) 18時00分
◆ユングフラウ賞
(2月13日 浦和 サラ3歳牝馬 別定 南関東SIII 1400m)

 ユングフラウ賞は、平成21年SIII昇格、今年第5回目という若い重賞。しかし桜花賞TRとしての歴史は古く、平成2年から準重賞格でスタートし、以後同レース名、同距離(千四)で施行されてきた。浦和桜花賞の場合、コース形態上フルゲート11頭。だから、1〜3着馬に本番(桜花賞=3月20日)優先出走権が与えられる意味はきわめて大きい。

 浦和千四→千六、求められる資質がイメージ以上に違うこと。現実にユングフラウ→桜花賞連破は、過去10年メモリヒメ(15年)1頭だけだが、逆に重賞昇格後、その流れが大きく変わりそうなムードもある。一昨年クラーベセクレタ、昨年アスカリーブル優勝。言わずもがなこの2頭は、後の“女傑級”に成長した。さて今年はどうなるか。ポスト・クラーベをめざすカイカヨソウ。同馬はレースの感触しだいで、牡馬路線も視野に入れて進むと聞いた。ひとまず“必見”と言っておきたい。

(1)…波乱含み。1番人気[3-1-0-6]、2番人気[1-2-1-6]と低調で、代わりに3番人気が[4-1-2-3]と補完する。昨年アスカリーブルは2番人気。上位人気同士の決着は多くない。

(2)…4場所拮抗。船橋=4勝、2着3回とリードだが、川崎=3勝、2着4回もほぼ互角で、以下、大井=2勝、2着1回、浦和=1勝、2着2回と小差で続く。1場のみのワンツースリーは、過去10年例がない。

(3)…実績と経験。優勝馬の平均キャリア=8.2戦、同2着馬=6.4戦。連対20頭中、16頭までがその時点で2勝以上をあげていた。傷のない素質馬、上昇馬より、豊富な経験を積んだ馬が強い傾向。

(4)…末脚勝負。逃げ=4、先行=7、差し=6、追込=3。小回り千四ながら差し、追込み馬が意外なほど好走している。近年は転入馬が強く、連対20頭中11頭がそれ。昨年は1〜5着を独占した。

※データ推奨馬
 ▲パパパノチョイナ…道営→大井14戦と豊富なキャリア。一見地味な[3-2-1-8]だが、前走準重賞・桃花賞2着なら、上昇度も含め見劣りしない。南関ダートに強いアフリート産駒。息の長い末脚が身上で混戦向き。

 ☆       ☆

◎カイカヨソウ 56今野
○ビーディフォース 54森
▲パパパノチョイナ 54和田
△イチリュウ 54的場文
△マダムベガ 54張田
△シーギリヤガール 56吉原
△ベルフォーラヴ 54石崎駿
 デイフォーユー 54繁田
 トチノスカーレット 54御神本

 カイカヨソウが前進する。前走東京2歳優駿牝馬(大井)はひとこと完勝。道中好位キープから馬混みを難なく捌き、直線馬場の外めを真一文字に突き抜けた。道営通算5戦4勝。唯一敗れた前々走も北海道2歳優駿(交流GIII)、ジェネラルグラント、アウトオブジェネラルを押さえて3着だから価値がある。父ティンバーカントリー、早熟とはけっして思えず、それでいて瞬発力、センス、勝負根性、すべてに傑出。牝馬戦のみならず、今春牡馬クラシックでも十分主役になりえるだろう。初の左回りをどう乗るかが今回テーマ。無事クリアして大きく夢を広げたい。

 馬券的には相手探し。本線にみたビーディフォースは大井1勝、2着2回のクロフネ産駒。正直まだ実績不足だが、一貫末脚勝負という点に注目でき、事実前走も水の浮く不良馬場を大外一気に伸びてきた。母系エルコンドルパサー、450キロ台のすっきりした好馬体で、伸びしろは相当大きいと判断する。▲パパパノチョイナは、前述通り豊富なキャリア、逞しい末脚に魅力がある。今回カイカヨソウが向正面あたりから早めの捲り、逃げ・先行馬を粉砕すると想定すれば、同馬の“2〜3着”はイメージしやすい。

 道営2勝、JRA札幌芝(すずらん賞)でも素晴らしい切れをみせたシーギリヤガールは、以後2戦が期待外れ。昨暮れ川島正行厩舎転厩でどうリフレッシュしたか。実績、能力は認めても、今回初コース、初距離など、さらに厳しいハードルも加わった。

 それなら、良血(ブンブイチドウの半妹)らしく1戦ごとの成長をみせるイチリュウ、道営→南関東計4勝、レースぶりに勢いとパワーがあるマダムベガを買ってみたい。とりわけマダムベガは父フサイチコンコルド、3歳クラシックロード、一気に開花しそうな血統でもある。

◆報知グランプリC回顧
(2月6日 船橋 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 1800m重)

△(1)スターシップ 1分54秒4
△(2)シーズザゴールド ハナ
◎(3)ナイキマドリード 1.1/2
▲(4)トーセンルーチェ クビ
△(5)ガンマーバースト 1/2
 ………………
 (6)クリーン
△(8)アドマイヤシャトル
○(9)タモマスクワート
 (11)セレン

 単1470円  馬複1770円  馬単4590円  3連複3370円  3連単24510円

 スターシップが、激戦を力強く競り勝った。大きな勝因は2つ浮かぶ。鞍上が1分の隙もない快騎乗をみせたこと、未明から小雪(ミゾレ)が降り続き、しかし逆にそれが上がりのかかる馬場状態を作ったこと。スターシップは、道中イン4番手を絶好の手応えで進み、直線GOサインからいい脚を長く使った。

「久々(4か月半ぶり)だったけど、雰囲気はよかった。終始スムーズに動けたし、もともと並んでから強いタイプ」(石崎駿騎手)

 同Jは転入後6戦、すべて重賞で手綱を握り、今回を含め[2-1-2-1]。相性のよさ、呼吸のよさが大きく光る。スターシップは父クロフネ、9歳牡馬。JRA6勝、南関東2勝、典型的な中〜長距離志向のパワー型で、ジョッキーのコメント通り、しぶとい末脚、勝負強さに特徴がある。

「牧場で十分乗り込みリフレッシュ。最高の競馬をしてくれた。ただ現実に今年で9歳。どういうローテーションがいいのか、これからじっくり考えたい」(出川克己調教師)

 同師は前日(2月5日)、開業以来600勝を達成。今回スターシップが602勝目となった。馬優先主義、慎重かつ細心をポリシーとする名トレーナー。2003年、南関東リーディング1位。かつてアブクマポーロ、ラヴァリーフリッグらを育てている。

 2着シーズザゴールドは、3コーナーから外々を捲って出る力の競馬。結果ハナ差だからもちろん惜しいが、今日の場合は相手の好騎乗と納得だろう。自身は完全復調。SIII級の中〜長距離なら常に好勝負が期待できる。

 ナイキマドリードは好スタート、好ダッシュ。きわめて気分のいい逃げとみえたが、ゴール際100mでバッタリきた。折り合いの問題か、あるいは根本的にスタミナ不足か、この1戦だけでは判断しづらい。ひとまず今後のステップ(路線選択)に注目する。

 トーセンルーチェは久々、やや重め(5キロ増)のせいか、前半反応が鈍かった。直線大外を伸びて4着なら合格点。次走金盃(2月20日大井)が予定されており、そこでどう変わってくるか。ガンマーバーストは道中カカリ気味の2番手で終い失速。JRA時千八3勝はあるものの、ベストとなると千四〜マイルか。タマモスクワートはいつになく粘りを欠くレースぶり。結果論ながら昨春からずっと連戦、力走続きの反動が出たかもしれない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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