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エンプレス杯展望&金盃回顧

  • 2013年02月26日(火) 18時00分
◆エンプレス杯展望
(2月27日 川崎 サラ4歳以上牝馬 別定 JpnII 2100m)

 「エンプレス杯」は、平成7年統一GII昇格。以後16年間、途中時季変更はあったものの(16年から7月→2月)、当時名牝とされた馬が、おおむね期待通りの強さをみせてきた。黎明期の7〜8年をホクトベガが爆走し(7年大差・8年8馬身差)、9〜10年シルクフェニックス、11〜12年ファストフレンドが、それぞれ見事な連覇を飾った。言わずもがなJRA優勢。ただ地方側(総じて南関東)が反攻、一矢を報いたケースもしばしばあり、15年ジーナフォンテン、17年プルザトリガー、18年ローレルアンジュ…、いずれも伏兵の立場ながら、ビーポジティブ、レマーズガール、グラッブユアハートらJRA人気馬を、力勝負で退けている。で、改めて思うこと。昨年このレース“降雪中止”は返す返すも残念だった。ミラクルレジェンドVSクラーベセクレタ。クラーベはその前年暮れ、ロジータ記念、クイーン賞を連勝し、最も波に乗っていた時期である。宿敵Mレジェンドと、それこそ“名勝負”の期待があった。うまくいかない。クラーベは昨秋からふっ切れないレースが続き休養中。まあもちろん、それが競馬の常ではあるのだけれど(以下データ集計は9年間)。

 (1)…3番人気。1人気[2-2-3-2]は悪くないが、2人気[0-2-2-5]とふるわず、なぜか3人気[4-3-1-1]と抜群のデータがある。ひとまず上位拮抗、波乱含みと考えたい。

 (2)…JRA対船橋。JRA6勝、2着8回はイメージ通り。ただ船橋=4勝、2着2回だから、他Gレースより地方馬脈ありと判断できる。JRA・ワンツースリーは、意外なことに昨年だけ。

 (3)…5歳馬。4〜7歳までほぼ互角という数字だが、中で5歳=4勝、2着1回だから一歩リード。以下、7歳=3勝、6歳=2勝、4歳=1勝。4歳=2着5回も、上昇度を含め納得できる。

 (4)…先行型。逃げ=5、先行=5、差し=9、追込=1。四角6番手以降からの連対は17年グラッブユアハート1例しかない。他地区遠征馬は、18年レイナワルツ、20年クインオブクインがそれぞれ3着。

 ※データ推奨馬
 ◎プレシャスジェムズ…ダートGに実績がある(プリエミネンス、スマートボーイなど)伊藤圭三厩舎の6歳馬。一昨年このレース4着はミラクルレジェンドと頭差だった。五分に出れば逃げ可能な顔ぶれ。当たりのいい張田騎手。

       ☆       ☆

 ◎ミラクルレジェンド  55岩田
 ○アドマイヤインディ  55宮川実
 ▲ダートムーア     55川田
 △エミーズパラダイス  54戸崎
 △マニエリスム     55石崎駿
 △プレシャスジェムズ  55張田
  ママキジャ      55田中勝

 ミラクルレジェンドの独壇場というレースになった。牝馬ダートG[6-1-2-0]。ラヴェリータ引退後、敗戦はステップに無理があった(帝王賞直後の連闘)昨夏「スパーキングLC」3着だけで、昨秋大目標の「JBCレディス」も、1頭別次元の強さで圧勝した。牡馬路線をも視野に入れつつ(昨秋JCダート6着など)、それでいて勝つべきところはけっして落とさないのが、彼女の流儀。前述通り今回クラーベセクレタ不在で、新勢力メーディア、レッドクラウディアらの姿もない。何とも有利な別定55キロ。同馬自身、じっくり乗れる中〜長距離が本来ベターでもあるだろう。

 馬券上は言わずもがな相手探し。アドマイヤインディに最も妙味ありと考えた。JRA2勝、移籍した高知6勝。それだけでは正直心もとないが、前2走現実に「クイーン賞」3着、「TCK女王盃」4着。とりわけ前走大井は3コーナーから外めを捲り、一瞬あわやのシーンがあった。フジキセキ×ノーザンテーストの血統背景。中〜長距離向きとイメージすれば、JRA1000万を勝ったばかりのダートムーア、ママキジャ、さらにプレシャスジェムズあたりとなら、十分互角の評価ができる。本来ポスト・クラーベの位置にいるエミーズパラダイスは、前2走10、11着の大敗がどうにも不可解。同厩舎マニエリスムも、昨秋以降ずっとふっ切れない競馬が続く。記者個人的には、◎→○→▲の3連単をひとまず買って観戦する。

◆金盃回顧
(2月20日 大井 サラ4歳以上 別定 南関東SII 2000m重)

 ○(1)トーセンルーチェ   2分7秒4
 △(2)フォーティファイド    鼻
 △(3)スターシップ       首
 △(4)トーセンアドミラル   13/4
  (5)クリーン         3/4
 ………………
 ▲(6)ツルオカオウジ
  (8)セレン
 △(11)サクラロミオ
  ◎  プーラヴィーダ      競走除外

  単520円  馬複2030円  馬単3960円  3連複3050円  3連単18910円

 トーセンルーチェが、息の長い末脚で接戦を競り勝った。昨年に続き「金盃」連覇。4歳成長株プーラヴィーダ除外(左寛ハ行)でレベルが低くなったうらみはあるが、それでも直線厳しい位置から馬群を割ったパワーとガッツは評価できる。「休み明けを叩いてパドック、返し馬もいい感じ。ラスト百メートルでこの馬らしい闘争心をみせてくれた」(張田騎手)。勝利数こそ以前ほど目立たなくなった同Jだが、ここ一番で発揮する鋭い勝負勘などさすがに名手。超スロー(千通過65秒7)で流れた今回の場合、直線イン(内2頭目)を突いたぎりぎりの判断がなければ、おそらく2〜3着で終わっていた。

 トーセンルーチェは前述通り金盃連覇、「大井記念」と合わせ重賞3勝目。半兄フリオーソとは脚質、気性とも大きく違うステイヤーで、今季7歳ながらいかにも“晩成型”を思わせる。昨年はこの後、船橋二千四百「ダイオライト記念=GII」、ランフォルセ、ピイラニハイウェイの小差3着と踏ん張った。「今日の勝利は嬉しいけれど、100%ではなかったし、まだまだ上積みがあると思う。再び交流ロードに挑戦です」(川島正一調教師)。次走当然そのダイオライト記念で、同レースはすでにハタノヴァンクールが出走を表明している。潜在能力とホームの利。ノーチャンスではもちろんない。

 フォーティファイド2着。最後鼻差だから文字通り惜敗で、上がりも勝ち馬に次ぐ38秒9と悪くない。道中ズブさは出てきたものの末脚安定。南関SIIIなら常にチャンスがあるだろう。スターシップ3着も、一人旅のトーセンアドミラルを追ってケレン味ない競馬だから、人馬とも今日は納得とイメージする。そのTアドミラルは超スローの逃げに持ち込み、しかし並ばれてから意外なほどモロかった。JRA5勝、次走正念場になるだろう。ツルオカオウジは今回的場文男・新コンビで、ひとまず折り合い重点の競馬とみえた。穴に推したサクラロミオは、内から自然流に先行したが終い失速。GI級セレンも、依然反応の鈍いレースぶりからは展望が暗い。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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