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ダイオライト記念展望&東京スプリング盃回顧

  • 2013年03月12日(火) 18時00分
 ◆ダイオライト記念展望
 (3月13日 船橋 サラ4歳以上 定量 JpnII 2400m)

 「ダイオライト記念」は平成8年から交流G移行。その交流第1回をホクトベガ優勝、以後アブクマポーロ、カネツフルーヴ、ヴァーミリアン、フリオーソ、さらにスマートファルコン、錚々たるダート王者が圧倒的な強さ、存在感をみせてきた。過去57回の歴史も合わせ、船橋競馬場の“名刺”と呼ぶべきべレースだろう。

 はっきりした傾向が一つある。長丁場2400mらしく、スタミナとパワー優先、いわゆる“重厚なタイプ”が活躍すること。前記5頭はもちろん、9年デュークグランプリ、12年マイターン、13年リージェントブラフなど、典型的な馬力型で、昨年のランフォルセも広い意味で同様の雰囲気を感じる。さて今年。フリオーソ引退、劣勢は否めない地方勢だが、あえて好勝負の目を探ればそのあたりか。可能性を持つトーセンルーチェ、シーズザゴールド、トーセンアドミラル、いずれも速さより力のタイプ。持ち味を生かし切って善戦以上を期待したい。

 (1)…堅めが基本。1人気[6-1-0-3]、2人気[2-3-2-3]、3人気[2-1-4-3]。言い換えれば優勝馬はすべて1〜3人気から出ている。唯一波乱らしい波乱は一昨年。8人気カキツバタロイヤルが2着で、スマートファルコン(単勝100円)との馬単が8580円ついた。

 (2)…JRA優勢。JRA=7勝、2着9回。連対率も含め断然といってよく、以下、船橋=2勝、2着1回、東海(笠松)=1勝。東海1勝は16年ミツアキタービン。ただその年はJRA、南関東とも手薄だったことは否めない。

 (3)…成長株。4歳=6勝は驚異的な数字で、それも15年ミツアキタービン〜20年フリオーソまで、4歳馬6連覇だから極端な結果といえる。以下、6歳=3勝、2着2回、5歳=1勝、2着4回。長距離戦にしては高齢馬がふるわない。

 (4)…実績重視。川崎記念勝ち馬が出てくるとやはり強く、15年カネツフルーヴ優勝、17年タイムパラドックス2着。逃げ=4、先行=8、差し=7、追込=1。おおむねスロー〜平均ペースに落ち着き、好位差しが主流になる。

 ※データ推奨馬
 ▲オースミイチバン…まだ上積みが見込める良血(父アグネスタキオン)4歳馬。一見伸び悩みのイメージだが、過去地方Gは「兵庫チャンピオンシップ」優勝、以後JDダービー4着→名古屋GP3着→佐賀記念4着だから適性がきわめて高い。前々を攻めてしぶとさを生かす中〜長距離型。

       ☆       ☆

 ◎ハタノヴァンクール  55四位
 ○ソリタリーキング   56内田博
 ▲トーセンルーチェ   56張田
 △クラシカルノヴァ   56岩田
 △オースミイチバン   55川島信
 △シーズザゴールド   56戸崎
 △トーセンアドミラル  56川島正
  タマモスクワート   56見沢
  マズルブラスト    56今野

 ハタノヴァンクールは、中〜長距離ダートG、その王道を歩む馬だ。前走「川崎記念」快勝で2つ目のGI奪取。持ち前のパワー、切れ味はもちろん、3〜4コーナー、ライバル(ワンダーアキュート)より一歩早めに動くセンス、俊敏さを示した点に絶大な価値がある。キングカメハメハ×ブライアンズタイムの堂々たる血統背景、威圧感あふれる馬格、走法。時計は常に相手なりのイメージで、歴代ダート王とするとヴァーミリアンにタイプが近いか。じっくり乗れる船橋二千四百もうってつけ。今春目標「帝王賞」へ向けてどう勝つかだ。

 ソリタリーキングは昨秋「日本テレビ盃=GII」を横綱相撲で完勝した。確かに以後トントン拍子とはいかなかったが(JBC4着・JCダート13着など)、厳しい経験を経て、むろんまだまだ成長する。相性のいい船橋コース。日テレ盃と同じ内田博Jとのコンビも大きな魅力だ。トーセンルーチェは昨年3着。ランフォルセ、ピイラニハイウェイに1/2+1/2差で続き、しかもワンダーアキュートに先着した。前走「金盃」連覇からは再び上げ潮。息の長い末脚が身上で、半兄フリオーソと較べても持久力には胸が張れる。

 JRAダート5勝、昨暮れ「名古屋GP」2着クラシカルノヴァも圏内だが、近走押せ押せのステップ(今回中1週で初コース)がやはり気になる。それなら今季完全復調、3歳時マカニビスティー相手に「羽田盃」を勝ったシーズザゴールド、データ欄推奨の4歳馬オースミイチバンも差はないか。トーセンアドミラルはJRA5勝、転入後「千葉テレビ放送盃」1勝を積み上げたが、前走金盃4着、追って甘いレースぶりからは成長力に疑問を感じる。

 ◆東京スプリング盃回顧
 (3月6日 大井 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 1400m良)

 ○(1)フジノウェーブ  1分26秒8
 △(2)ケイアイゲンブ    1
  (3)ピエールタイガー   1/2
  (4)ヤサカファイン    首
 △(5)イーグルショウ    首
 ………………
 △(6)クリスタルボーイ
 ▲(7)トーセンアレス
 ◎(12)ミヤサンキューティ
  (13)ディープハント
 △(15)スマートインパルス

 単480円 馬複3750円 馬単5480円 3連複10890円 3連単62760円

 フジノウェーブが見事な4連覇を達成した。1400m=1分26秒8、2着ケイアイゲンブに1馬身差。確かに数字上はV4の中、最も“平凡な勝利”となったが、それでもメンバーレベル自体、特に低いとは思えず、何よりラスト1Fでみせた爆発力、闘志が“11歳馬”のそれではない。直線入口、抜群の手応えで先頭に立ったピエールタイガー、これに追いすがったヤサカファインの“内懐”を突いて一気の伸び。上がり38秒1は16頭中文句なしのNo.1で、抜け出してからは自らセーブしたような気配もあった。ゴールの瞬間、スタンドからさざ波のような拍手が起こった。4連覇の事実はもちろん、それを“11歳”で達成したことへの驚き、さらに敬意というもの。ファンはやはり、常にロマンを描きながら競馬を見ている。

「凄い馬、素晴らしい馬…としか言葉がない。(4連覇は)とにかく感激。自分にとって生涯忘れられない馬だし、同時に馬であることを超えた最良のパートナーだと思いました」(御神本騎手)。レース運び、位置取りなど、今日の場合は二の次というコメントだろう。スムーズに中団キープ、そこから直線GOサインはおそらく想定通りだが、それ以上に馬と人、いったん流れに乗れば必ず伸びる…という信頼関係。「直線前が混み合って終わったか…と観念したけど、やはり並みの馬じゃない。私もスタッフも、正直いつも励まされている…」(高橋三郎調教師)。次走は優先出走権を獲ったGIII「東京スプリント=4月10日」。ただ検討記事でも書いたこと。大井コース、1400m→1200mはかなりフィーリング(求められるもの)が違うレースになり、同馬の場合も、昨年セイクリムズンの2着など何度か大魚を逃がしている。タラレバを承知、あえてもう一度繰り返す。春「東京スプリント」が、なぜ秋「東京盃」と同じ1200mでなければならないか。少なくとも距離1400mの東京スプリントならフジノウェープ完全燃焼。納得のいく“11歳の花道”になるはずだ。

 混戦を割ったケイアイゲンブが2着。最インを突いた和田譲治Jの好騎乗は大きいが、馬自身も完全復調と1400m適性を実証している。ピエールタイガーは4コーナー馬なり先頭。最後失速は久々に加え距離が1F足りないためか。それでも道中のパワフルな行き脚など、確かな地力と充電効果は十分示した。文字通り敗れて収穫といえるだろう。早めに動いたヤサカファイン、大外強襲イーグルショウも、現時点の能力と個性はみせている。トーセンアレスは中団外めから終始鷹揚に構えたレースぶりで、しかし直線も手応えほど伸びなかった。本質的に短距離不向きと判断する。期待したミヤサンキューティは、外枠の影響もあったか道中気合を入れながら中団後ろ。力関係以前にそこで戦意がおそらく切れた。パドックの馬体など牡馬以上の威圧感。調子落ちはないはずで、次走経験を積んでどう変わるか。クリスタルボーイ、ディープハントは、それぞれ脚質は違うものの1000m〜1200mベスト。スマートインパルスは結果的に今回試走か。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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