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桜花賞展望&ダイオライト記念回顧回顧

  • 2013年03月19日(火) 18時00分
 ◆桜花賞展望
 (3月21日 浦和 サラ3歳牝馬 定量54キロ 地方競馬交流 南関東SI 1600m)

 南関東クラシック第1弾。近年、“牝高牡低”のケースが目立っていた南関東3歳馬だが(ネフェルメモリー→クラーベセクレタ→アスカリーブル)、今年の場合、久々に“正常に推移”しているといえるだろう。ここまでの重賞ロード。「鎌倉記念」「平和賞」をインサイドザパークが制し、「ハイセイコー記念」「ニューイヤーカップ」をソレルが勝った(2頭ともタイムパラドックス産駒・牡馬)。想いは先走るが、来週大井「京浜盃=1700m」が何とも楽しみ。前記2頭に加え、アウトジェネラル、ジェネラルグラントら、道営出身の実力馬、オーネットエース、ブラックワードら、生え抜き成長株が激突する(記者想定)。

 で、今年の「桜花賞」。牡馬=牝馬、レベル比較は少し先の話として、とにかく主役ははっきりしている。カイカヨソウ。前走TR「ユングフラウ賞」をきっちり勝って6戦5勝。唯一敗戦は門別GIII「北海道2歳優駿」3着で、それも地方馬最先着だから器が大きい。話題は脱線気味かもしれないが、この状況を迎えると、なにやら馬名も暗示的に思えてくる。今春、首都圏の開花予想は最初3月25日で、先週になり17〜19日頃と改めて発表された。さて3月21日、彼女(カイカヨソウ)と桜が、一緒に満開となるのかどうか。なおデータは9年間で集計した。一昨年震災中止。競馬が無事行なわれ、一喜一憂できる幸せを改めて痛感する。悲しいけれど、けっして忘れてはならない事実でもある。

 (1)…波乱含み。1番人気[2-2-1-4]は堅いといえず、2番人気[0-1-2-6]、3番人気[2-1-1-5]も、それを補完する数字ではない。昨年は3→4人気の決着で、馬単7720円。古くから浦和桜花賞は波乱の歴史。

 (2)…川崎注目。4場所とも活躍馬が出ているが、川崎=4勝、2着4回は注目できる。次いで大井=2勝、2着3回、船橋=2勝、2着2回。地元浦和も19年マルノマンハッタン優勝。他地区遠征馬は[0-0-0-4]とふるわない。

 (3)…転入馬。ただし他地区→南関東へのトレード組は例年優秀。とりわけ過去9年、北海道からの転入馬が5勝、2着7回と猛威をふるう。昨年はコテキタイ→リカチャンス→エンジェルツイートが1〜3着を独占した。

 (4)…脚質多彩。逃げ=6、先行=5、差し=6、追込=1。小回り1600mで原則は先行有利。ただ案外砂が重いこともあり、末脚勝負型も展開ひとつでチャンスが出る。ジョッキー(今回騎乗)では石崎隆=3勝、的場文2勝。

※データ推奨馬
 ◎イチリュウ…ユングフラウ賞2着、差す競馬をマスターした川崎所属馬。母の父アサティスは昨年優勝コテキタイと同じで、ここ一番という局面で底力がイメージできる。ぴたり呼吸が合っている的場文男J。連覇を狙う内田勝義厩舎。

       ☆       ☆

 ◎カイカヨソウ    今野
 ○ビーディフォース  森
 ▲イチリュウ     的場文
 △ケンブリッジナイス 張田
 △アステールネオ   石崎隆
 △デイジーギャル   真島
 △オキナワレッド   山崎誠
  シーギリヤガール  御神本

 カイカヨソウは文字通りの女傑候補だ。道営3勝で東上、「東京2歳優駿牝馬」→「ユングフラウ賞」連破は一昨年クラーベセクレタと同パターン。さらにカイカヨソウの場合は、牡馬相手の「北海道2歳優駿=GIII」3着があるから、クラーベ以上の戦歴ともいえるだろう。傑出した瞬発力はもちろん、道中けっしてカカらず、それでいて勝負どころを逃がさない競馬センス。前走初体験の左回り浦和コースを、新コンビ・今野騎手とともに乗り切った自信も、今回本番へ向けてきわめて大きい。1F延長の1600mならゆとりを持った競馬ができる。

 相手探し。TR・ユングフラウ好走組を上位にみた。中でもビーディフォースは当時初の左回りを3着健闘。大外を捲って出た脚にこれは…という凄みがあり、加えて父クロフネ×エルコンドルパサーの血統背景にも魅力を感じる。データ推奨イチリュウも充実一途。そのユングフラウは上がり40秒2、あくまで数字上にせよカイカヨソウ(40秒6)を凌いでおり、ブンブイチドウの半妹だから血筋も確かだ。ケンブリッジナイスは前走JRA芝「クイーンC」挑戦(15着)。そのステップがどう出るか。昨暮れ優駿牝馬2着、カイカヨソウと3/4馬身差からは能力No.2としてもいい。アステールネオは逆にJRA芝挑戦が吉と出て、ハイレベル500万を5、4、5着。今回再びダートだが、素質、上昇度からは善戦以上の期待も浮かぶ。「ローレル賞」→「桃花賞」を制したデイジーギャルも注目馬だが、現状は逃げ一手。カイカヨソウに早めに来られては苦しくなる。昨夏JRA札幌芝を含む3勝(1000〜1200m)をあげたシーギリヤガールは、その後ジリ貧。華奢に写る馬体で成長力に疑問がある。

 ◆ダイオライト記念回顧
 (3月13日 船橋 サラ4歳以上 別定 JpnII 2400m良)

 △(1)オースミイチバン   2分35秒1
 ◎(2)ハタノヴァンクール    首
 ○(3)ソリタリーキング     4
 △(4)クラシカルノヴァ    21/2
 △(5)トーセンアドミラル    首
 ………………
 ▲(6)トーセンルーチェ
 △(8)シーズザゴールド

  単4590円  馬複1630円  馬単9690円  3連複1270円  3連単38320円

 オースミイチバンが鮮やかに逃げ切った。内隣トーセンアドミラルとスタートはほぼ互角。しかし今日は鞍上が徹底先行を決めており、迷わずハナ。そのまま絶好の一人旅に持ち込み(1000m通過64秒9)、直線一完歩ごとに迫るハタノヴァンクールを、渾身の二の脚で振り切った。「お母さんのオースミハルカにも乗っていて、いつかこういう競馬をしたいと思っていた。嬉しいです。馬自身もこの時季(春)になって再び調子を上げてきた」(川島信二騎手)。そのオースミハルカ(父フサイチコンコルド)は、JRA6勝、03年「クイーンステークス=札幌芝1800m」、当時女傑とされたファインモーション相手に見事な逃げ切りを決めている。血は争えない…そういうことか。いずれにせよ今回勝因は、鞍上の思い切りが最も大きい。

 オースミイチバンは、昨春「兵庫CS=園田」に続き交流GR2勝目。昨暮れ名古屋GP3着、明けて佐賀記念4着、ひと息食い足りないレースを続けたが、今日この結果が出れば、強い4歳世代、ハタノヴァンクール、ホッコータルマエ、さらにイジゲンなどと常に好勝負の期待がかかる。同馬の特長といえば、父母両系から受けた反応のよさ、センスのよさに尽きるだろう。「(昨年後半は)強敵相手に成績はあがらなかったけれど、いつも最後まで一生懸命走ってくれる。何より今回は賞金の上積みが大きい。レースを選べる立場になった」(荒川義調教師)。父アグネスタキオン。今回2〜5着までキングカメハメハ産駒だったことを思うと、日本ダート界、よくも悪くも活躍馬の血統背景など、一方向に固まってきた気配はある。

 ハタノヴァンクールは早めに追い上げながら2着惜敗。「負けたくなかった。イメージ通りの位置取りで(騎乗は)は間違っていないと思う。次(帝王賞)にまた頑張ります」(四位騎手)。腕達者で自信家、同時に熱血漢らしい同Jのコメントで、今日の場合、記者的にも仕上がりひと息(ステップの一環)と判断したい。改めてパドックをじっくり見た。手脚がすらりと伸びた中〜長距離体型、悠揚とした歩様と気配。おそらく“本番”は大丈夫だ。ソリタリーキングは内田博J、好位からソツのない競馬にみえたが、実際ハタノヴァンクールの仕掛けと同時に動けなかった。3着確保は地力としても、完調かどうかは疑問がある。クラシカルノヴァは14キロ減。好位からジリ貧という内容で、少し充電が必要か。トーセンルーチェも昨年(3着)時と較べ状態ひと息。上がり38秒6はメンバー中第3位だが、同中反応がいかにも鈍い。トーセンアドミラルは待機策で入着を、今後のレースにどう生かすか。シーズザゴールドは終始カカリ気味で、本格的な長距離は向いていない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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