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京浜盃展望&桜花賞回顧

  • 2013年03月26日(火) 18時00分
◆京浜盃展望
(3月27日 大井 サラ3歳 定量56キロ 南関東SII 1700m)

「京浜盃」は、南関東クラシック最終TR。例年、「羽田盃」→「東京ダービー」へ直結する重要な前哨戦で、過去35回、その優勝馬から3冠ウィナーが多く出ている。古くはサンオーイ、ロジータ、トーシンブリザード。交流GI「ジャパンダートダービー」創設移行、3冠こそ難しくなったが、それでもシーチャリオット、クラーベセクレタ(2冠)など、ほぼ同等のレベルにはあるだろう。昨年も書いたこと。大井1700m(外回り)はごまかしがきかず、“総合力”が要求される。スピード、切れ、センス、さらに勝負強さ。だから京浜盃を楽勝、圧勝する馬が現われれば、その時点で“春の主役・確定”と考えていい。

 さて今年。2歳時の実績上位馬、明けて本格化した素質馬が出そろい、ハイレベル激戦の期待がふくらむ。すでに重賞を2勝したインサイドザパーク、ソレル。暮れのGI「全日本2歳優駿」を善戦したジェネラルグラント、アウトジェネラル。いずれも当初の青写真通り、万全のステップで登場する。ふり返れば、ここ数年は正直寂しい内容だった。昨年パンタレイは混沌の中、展開も味方した逃げ切りで、一昨年クラーベセクレタの場合、自身の強さは光ったものの牡馬がいかにも低調だったうらみがある。京浜盃はやはり、「上位拮抗」「群雄割拠」などという言葉が似合うと思う。フリオーソ引退。それに続く中〜長距離馬(4〜7歳)が伸び悩む状況だけに、なおさら3歳世代への期待が大きくなる。

 (1)…おおむね順当。1人気[6-2-0-2]と優秀で、2人気[1-3-1-5]、3人気[1-2-2-5]も悪くない。ただ、この時季の3歳重賞は一つ狂うと大きく、22年は6→2→13番人気の決着で、3連単43万円台の大波乱だった。

 (2)…船橋優勢。船橋=7勝、2着3回、3着2回は断然の数字といえる。以下、川崎=2勝、2着1回、大井=1勝、2着5回、浦和=2着1回。ただ、昨年は川崎→大井→川崎のワンツースリー。勢力地図がやや崩壊してきた兆候もないでもない。

 (3)…実績重視。過去10年、連対20頭中11頭がその時点で重賞勝ちを果たしていた(南関東・道営)。ただ、平和賞馬[1-1-0-4]、ハイセイコー記念馬[1-1-0-4]、ニューイヤーC馬[1-1-1-1]。選択は微妙になる。

 (4)…自在型。逃げ=6、先行=4、差し=8、追込2。基本的に展開より能力重視だが、コース形態(1コーナー鋭角)から先手の利は無視できない。連対20頭、南関東生え抜き12頭、転入8頭。ここは微妙な数字となった。

 ※データ推奨馬
 ◎ジェネラルグラント…道営3勝。前走GI「全日本2歳優駿」2着で、全国区通用を証明した。脚質を含めたイメージはさておき、19年トップサバトン、19年ディラクエなどと同パターン。自在性とセンスが大きく光る。出川克巳厩舎は平成16年ベルモントストームで優勝。常に馬優先主義、万全を期す仕上げパターン。

       ☆       ☆

 ◎ソルテ       金子
 ○ジェネラルグラント 石崎駿
 ▲オーネットエース  坂井
 △インサイドザパーク 左海
 △アウトジェネラル  佐藤太
 △アメイジア     張田
 △ブラックワード   森
  ヴェリーブライト  真島
  リコーハラマ    柏木
  キタサンオーゴン  繁田
  ナリチュウドラゴン 本橋

 ◎ソルテは、昨秋大井「ハイセイコー記念」、明けて「浦和「ニューイヤーカップ」とタイトル2つ。とりわけ後者は3コーナーから自然流の捲りで、最後後続に9馬身差をつける圧勝だった。パドックの馬体、雰囲気などさして威圧感はないものの、いざ実戦に臨み抜群の切れとセンス。いかにも父タイムパラドックス、最高傑作というムードがある。そのニューイヤーC、浦和1600m1分42秒0自体過去10年No.1で、レース直後、寺田新太郎調教師「自ら(競馬を察知し)体調を整えてくる利口な馬。とにかく心臓(度胸も含め)が素晴らしい」のコメントも、まさしくしかりと納得できる。中2か月、入念に乗られ態勢万全。大井中〜長距離向き、息の長い末脚はクラシック主役にふさわししい。

 道営実績、さらにGI「全日本2歳優駿」健闘で地力を示したジェネラルグラント、アウトジェネラル。自在性で前者、爆発力で後者、ともに違う個性(魅力)があって迷わされるが、今回はコンビ2戦目の石崎駿J、無理のないステップからグラントの方に脈を感じる。▲オーネットエースは1800mを2連勝の成長株。父フサイチリシャール(クロフネ直仔)、大型馬(前走時495キロ)らしいパワーがあり、今回仮にスローならチャレンジャーらしい捲り勝負か。「鎌倉記念」→「平和賞」2勝インサイドザパークは、今回初コース(右回り)がテーマになる。切れ味鋭い個性派だが、スタンド前スタートで後手を踏むと苦しくなる。アメイジアも同様の条件で試金石。地の利をとれば叩かれつつ上昇中のブラックワード。

◆桜花賞回顧
(3月21日 浦和 サラ3歳牝馬 定量54キロ 地方競馬交流 南関東SI 1600m良)
 ▲(1)イチリュウ     1分41秒5
 △(2)アステールネオ     21/2
 ◎(3)カイカヨソウ       5
 △(4)ケンブリッジナイス    2
  (5)エイシンルディー     頭
 ………………
  (6)シーギリヤガール
 ○(7)ビーディフォース
 △(8)オキナワレッド
 △(9)デイジーギャル

  単830円  馬複5360円  馬単11260円  3連複1190円  3連単25550円

 イチリュウが見事な逃げ切りで、牝馬第1冠目を勝ちとった。最内枠から好スタート。当初ハナを切るまでの意思はなかった(ようにみえる)鞍上だが、逃げ宣言デイジーギャルの行き脚が案外鈍く、その時点で馬にまかせた“自然流”へと切り替えた。36秒8〜49秒9〜63秒1は、速くも遅くもない絶妙の先行馬ペース。結局後続に一度として並ばれず、最後2着アステールネオに21/2馬身差。“完勝”の言葉がそのまま当たる。「レース前は2〜3番手を考えていた。ただ馬が行く気になっていたし、包まれるよりはいいからね。力をつけている。最後までしっかり伸びた」(的場文男騎手)。かつて“剛腕”で鳴らした同Jだが、今年56歳の超ベテラン。最近はスピード型の牝馬(例えばナターレなど)を巧みに操り、いい意味でイメージを変えた印象もある。改めて凄いジョッキー、そうとしか言葉がない。

 もっとも今日は勝者イチリュウが強い競馬をみせている。前述通りペース自体は緩みがなく、それでいて上がり3F38秒4、現実にメンバー中No.1だから文句ない。「馬も乗り役も、最高のレースをしてくれた。強敵(カイカヨソウ)に勝てたのは運もある。ただ馬自身はまだ成長途上で、これから距離が延びればさらにパワーが生きると思う」(内田勝義調教師)。1分41秒5の時計自体も水準以上(昨年コテキタイ=43秒8)。母の父アサティス、半兄にブンブイチドウ(全日本2歳優駿2着)。血統背景も奥が深い。すらりと手脚が長い体型で、記者個人的には中〜長距離型をイメージする。今後の状態、相手関係しだいだが、現時点では06年チャームアスリープ以来の牝3冠も夢ではない。

 カイカヨソウ3着。道中気合を入れつつ中団は前走「ユングフラウ賞」と同じだが、当時と較べ3〜4角からの反応がどうにも鈍い。よもやの凡走。考えられる敗因といえば当日5キロ減、馬自身がイメージほど成長していないことか。「ひと息入れて充電する。目標は東京ダービー」(川島正行調教師)。2着アステールネオはイチリュウ同様、内枠から好スタートを切り、ごく自然流の競馬とみえた。本質芝ベターとしても絶対能力はやはり高い。ケンブリッジナイスは好位からジリ貧のレースぶり。「前走(東京芝)を使ってからリズムがよくない。折り合いに不安がある」(今野J)。期待したビーディフォースは外枠から流れに乗れないレースぶり。心身両面、まだ途上ということか。デイジーギャルは意外なほどダッシュ力、加速力が鈍かった。ただこのタイプは、スタートと展開しだい。馬券上は常にマークすべき、厄介な存在ではある。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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