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ショウナンマイティのストーカーだった!?川須騎手ご指名対談〜浜中俊騎手編(4)

  • 2013年03月27日(水) 18時00分
浜中騎手をゲストに迎えてのご指名対談もいよいよ最終回。浜中騎手にとって飛躍のきっかけとなったショウナンマイティのエピソードや、世代交代の旗手として後輩たちに伝えたいことなど、ジッと聞き入る川須騎手を前に、若きリーディングジョッキーが熱く語ります!

■浜中騎手は、ショウナンマイティのストーカーだった!?

──川須くんは4年目に入って、いろいろと迷いが生じているようですが、人との出会いはもちろん、馬との出会いも、心が決まるきっかけになりますよね?

浜中 そうですね。僕はスリーロールスに出会って、菊花賞を勝てたのが大きかった。運も良かったですけどね。僕が思うに、川須にとってメイケイペガスターは、そういう1頭なんじゃないの? なにも勝った馬だけがきっかけになるとは限らないから。
※川須騎手が騎乗し、デイリー杯2歳Sで1番人気11着。

川須 そうかもしれませんね。 

浜中 たしか、デイリー杯の日も、メインの前に怒られてたよな?

川須 あ、そうでした…。

浜中 その前から“最近の川須、ちょっと変だな”と思って見ていたんだけど、その日も午前中にパトロールを見ながら落ち込んでいる感じだったから、「重賞でいい馬に乗ってるんだから、気持ちを切り替えろよ」って言ったんだよな。

川須 はい。声をかけていただいたことは、すごくよく覚えてます。

浜中 結局、負けてしまって、そのことでいろんな人に何か言われたり、実際に馬も乗り替わって、苦い経験をしたと思う。でも、その経験は、必ず後々生きてくると思うよ。走る馬の背中を知ったわけだし、そういう馬ほど乗りこなすのが難しいっていうこともわかったと思うし。

川須 そうですよね。けっこう落ち込んだんですけど、今は“落ち込んでるだけじゃダメだ、この経験を次につなげなければ”って、すごく思ってます。

──浜中さんも、3年目の暮れにラジオNIKKEI杯2歳Sで1番人気に推されて、同じような思いをされましたよね(ショウナンマイティ8着)

川須「“2歳馬”が理解できなかった」

川須「“2歳馬”が理解できなかった」

浜中「怖じ気づいてはダメ」

浜中「怖じ気づいてはダメ」

浜中 ああ、あのレースは、ものすごく掛かってしまって。たしか、哲三さんに「どうやって乗ったらいいんですか?」とか、いろいろ聞いたんです。そもそもあの日は、返し馬で馬にボーン!とキャンターに行かれて。「その時点でダメ。お前が返し馬に行かせたんじゃなくて、馬に勝手に走られてるだけ。そんなんで競馬でコントロールができるわけないだろ」って言われまして。それをきっかけに、返し馬がどれだけ大事かっていうことがわかった。川須にしても、絶対に次につながる何かを学んだはずだと思うよ。実際、共同通信杯では横山典さんが乗って、ビシッと勝って。悔しかっただろ?

川須 ん〜、悔しい気持ちもありましたけど、それ以上にスゴイなって。

浜中 たしかに、完璧な競馬だったからね。それだけ技術に差があるということ。

川須 デイリー杯の失敗には、考えさせられることが多かったです。まず、“2歳馬”というのを理解できていなかったし、なにしろ重賞で1番人気馬に乗るのが初めてだったもので…。

浜中 そこで怖じ気づいているようではダメだよ。

川須 そうですよね。絶対にあの経験を無駄にしないように頑張って、いつかまた、戻ってきてくれればいいなぁって思ってます。ショウナンマイティも一時期乗り替わりましたけど、浜中さんに戻ってきましたものね。

浜中 運良く戻ってきてくれた。でも乗れない間、どれだけ指をくわえて見ていたことか(笑)。ユタカさんがマイティに乗っているとき、自分も同じレースに乗っているのに、「マイティ、返し馬どうでしたか?」とか、レース後も「今日はどうでしたか?」とか聞きまくって、今思うとストーカーみたいだった(笑)。川須もまた乗れるかもしれないんだから、その馬のことを気にしていてほしい。先輩がどう乗っているかもちゃんと見て、できればその人から話を聞いたりね。

川須 横山さんにお聞きする機会はまだないんですけど、ユタカさんが調教で乗っているときに、たまたまお会いして(3戦目の若駒Sは、武豊騎手が騎乗して3着)。そのときに、少しお話させてもらいました。

浜中 馬やレースのことはもちろん、今日話したいろんな悩みも、もっといろんな先輩に相談してみてもいいと思うよ。似たような悩みを抱えた年の近い先輩だと、どうしても慰め合って終わっちゃうし、年が近いと話しやすいぶん、お互い気を遣って逆に言えないこともあるだろうから。思い切って、ユタカさんとか祐一さんとか岩田さんとかさ。

川須 中央で騎乗しているときは、祐一さんがアドバイスをしてくださったことがありました。しかも、祐一さんのほうから「あそこはもっとこうしたほうがいいよ」って、声をかけてくださって。今までなかったことですから、うれしかったです。本当は、自分から聞きに行かなきゃいけないんでしょうけど。

浜中 まぁ、なかなか自分からは行きづらいよな。僕の場合も、岩田さんからガンガンきてくれたから今があるわけで。確かに自分からは行けなかったかも。

川須 僕がいうのもなんですけど、最近の若手はそういうのが苦手で(苦笑)。

浜中 僕も同じだよ。今でも岩田さんに言い負かされて凹んだりするし。でもそういうときはね、藤岡(佑介)先輩に慰めてもらう(笑)。藤岡先輩はすっごく癒してくれて、僕が女だったら絶対に好きになっちゃうよ(笑)。

川須 わかります(笑)。僕も少しずつですけど、みなさんと接点ができつつあると思うので、もう一歩、自分から近づいていこうと思います。

──では最後に、こうして目標とされる存在となった今、浜中さんが後輩たちに望むことはなんですか?


後輩にもっと上がってきてほしい

後輩にもっと上がってきてほしい

浜中 前から思ってることなんですけど、競馬ってほかのスポーツに比べて、若手が台頭しづらいですよね? でも、いつまでも同じ人たちがリーディングの上位にいては、おもしろくないと思うんです。だから、後輩にももっともっと上がってきてほしいし、「浜中くらい、すぐに抜いてやるよ!」くらいの強い気持ちを持ってほしい。そう思って当然だし、実際僕もそう思っていたから。

川須 はい。今日、お話できて良かったです。ここでお聞きしたことを忘れずに、改めて自分の気持ちと向き合ってみようかなと思います。

浜中 東は戸崎さんがきたことで、また変わってくると思う。世代交代は僕一人では無理だから、西は西で僕たちが変えていこう。

川須 はい! 頑張ります。


【次回のキシュトーーク!は?】
藤岡佑介騎手をゲストに迎えてのご指名対談第3弾。ホストは松山騎手です。長期のフランス遠征を決断したいきさつはもちろん、普段から仲のいい先輩後輩ならではの、深〜い話が盛りだくさん。お楽しみ!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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