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「我慢の時期を覚悟すべし」松山騎手ご指名対談〜藤岡佑介騎手編(1)

  • 2013年04月03日(水) 18時00分
 藤岡佑介騎手をゲストに迎えての、ご指名対談第3弾! ホストは松山騎手です。どうやら松山騎手、先月の川須騎手に続き、ローカルから中央への切り替えに悩んでいるよう…。そのほか、長期のフランス遠征を決断した佑介騎手の思いや、GIという大舞台に挑む心構えについてなど、普段から仲のいいおふたりならではの深〜いトークを、全4回にわけてたっぷりとお届けします!

■中央で乗るなら「我慢の時期」を覚悟すべし

松山騎手のご指名は藤岡佑介騎手

松山騎手のご指名は藤岡佑介騎手

──早いもので、ご指名対談も第3弾です。まずは、藤岡佑介さんをご指名した理由から聞かせてください。

松山 普段からすごく仲良くしていただいているんですけど、対談のような、改まった感じでお話したことはないので、この機会に、いろいろお聞きしようと思いまして。

──ご飯を食べに行ったりなど、プライベートでの交流もあるのですか?

佑介 ふたりで、っていうのはないですね。でも、弘平ちゃんも含めて、みんなでご飯を食べに行くことはしょっちゅうあります。

松山 そういうときって、めったに競馬の話はしませんよね。

佑介 そうだね。大抵は、わけわかんない話をして終わる(笑)。でも、競馬の話をしたがる人がひとりいると、みんなけっこう熱くなって話したりもするよね。弘平ちゃんとは、競馬場でよくレースの話をするけど、こうやって改まって話したことは、たしかにないかもね。

松山 はい。だから今日みたいな場は、逆に緊張します(笑)。

佑介 僕が弘平ちゃんの立場だったら、普段あんまり話したことがない先輩を指名するけどな。こういうときじゃないと、いろいろ聞けないような人とか。

松山 それも考えたんですけどね…。佑介さんは、もうすぐフランスに行かれるじゃないですか。だから、その前に、普段できなかったお話をしておきたいと思ったんです。

──今回は、そのフランス修行のお話も、のちほどたっぷりとお聞きしたいと思っています。おふたりは、競馬場でよくレースの話をされるとのことですが、やはり、アドバイス的なことが多いですか?

佑介 内容はその時々によりますけど、同じ競馬場で乗っているときに気づいたことがあれば、僕はすぐに言うようにしています。最近でいうと、中央場所ではちょっと騎乗ぶりがおとなしいような気がしたので、「ローカルのときほどキレがないんじゃない?」とか話したり。でもまぁ、“松山さん”のほうがたくさん勝っているので、あまり偉そうなことは言えませんが(笑)。

松山 やめてくださいよ、もう…(苦笑)。自分では、中央もローカルも同じように乗っているつもりなんですけどね。でも、佑介さんにはそう見えるのだとしたら、たぶんあの雰囲気がそうさせるのかもしれませんね。

佑介 ローカルでは、人気も実力もある馬にたくさん乗っているけど、中央場所にくると、やっぱり少し力の足りないような馬が多くなるでしょ? だから、ひと味加えて乗ろうとしてるんだけど、逆にうまくいかない…みたいな感じに思えて。萎縮しているように見えるわけではないけど、ローカルに比べて、思い切りが足りないような気がしたんだよね。いつもではないけど。

松山 はい。自覚はないんですけど、気をつけてみます。ローカルと中央では、レースの流れも違いますけど、それ以上に“ジョッキー”が違いますからね…。

佑介 最近は、馬のレベル差もはっきりしてきたよね。ジョッキーも、ローカルで乗る人、中央で乗る人って決まってきちゃってるから、レースもそれぞれ独特の流れができている。やっぱり中央でもっと乗りたい?

松山 そうですね。そのことについては、先日も少し相談させていただいて。

「我慢の時期があることを覚悟しなくちゃいけない」藤岡騎手

「我慢の時期があることを覚悟しなくちゃいけない」

佑介 中央で乗るなら、我慢の時期があることを覚悟しなくちゃいけない、っていう話をしたんだよな。

松山 はい。でもホント、佑介さんの言う通りだと思います。あんなにすごいジョッキーがたくさんいるなかで、いきなりいい馬に乗れるはずがありませんから。そのなかで、今の自分をいかに維持できるかだと思うんですけど、やっぱり不安がすごく大きくて。ローカルから中央に行って、勝てなくなった人たちも見てきているので…。

──先月の対談でも、やはり同じようなことがテーマになりましたが、佑介さんは、デビュー当時からずっと中央を中心に騎乗されていますよね?

佑介 1年目は、中京、小倉、それから新潟にも行きましたよ。でも2年目からは、たしかに中央がメインですね。ちょうど、減量ジョッキーが少なかった時代だったので、最初からけっこう中央場所でも乗せていただくことができて。

松山 そうだったんですか。

佑介 でも、弘平ちゃんと同じように、迷った時期もあったよ。中央ではなかなか勝てないけど、ローカルに行けば、勝てそうな馬に乗せてもらえる。さて、どうしよう…って気持ちが揺らいでね。で、ローカルに行くと、「お前、どっちにいるのかわかんねぇよ」とか「頼もうと思ったのに、向こう(ローカル)ならもういいや」とか言われたりして。

松山 タイミングがすごく難しいですよねぇ。

佑介 タイミングもそうだけど、イメージ的なものもあるでしょ? 語弊を恐れずにいえば、ローカルで目立った活躍をすると「ローカルで勝っているジョッキー」っていうイメージが付きかねない。僕がデビューした当時より、そういう見方は今のほうがはっきりしていると思う。僕自身は、ローカルも中央も、正直それほど大差はないと思うんだよ。でも、周りがそういうイメージを持っている以上、ジョッキーとしてどう見られているか、っていうことも大事になってくる。

松山 そうですよね。僕なんて今、完全にローカルのイメージが付いてますからね。ここから中央に行こうと思ったら……、まず、勝ち星が激減するのは目に見えてるし、大変だろうなぁ。

【次回のキシュトーーク!は?】
藤岡佑介騎手をゲストに迎えての、ご指名対談第2回。佑介騎手はなぜ2年目に、ローカルから中央へ、スパッと切り替えることができたのか──その決断の陰には、アノ馬の存在がありました。次回は、強い馬との出会いの大切さについて、熱いトークを繰り広げます!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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