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東京ダービー展望&さきたま杯回顧

  • 2013年06月04日(火) 18時00分
◆東京ダービー展望
(6月5日 大井 サラ3歳 定量 南関東SI 2000m)

「東京ダービー」は今年第59回目。南関東クラシック体系自体、平成に入りさまざま変遷を繰り返したが、13年トーシンブリザードが当時あった「東京王冠賞」を含む歴史的な4冠達成。明けて翌14年から現在の「羽田盃」→「東京ダービー」→「ジャパンダートダービー」……路線がほぼ理想形で確定した。

 もっとも、以後3冠馬は出ていない。遠征JRA勢の層が厚いこと、自身の完成度、体調維持など、微妙な部分が多いこと。例えば16年アジュディミツオー=不、1、3着、17年シーチャリオット=1、1、不、19年フリオーソ=3、2、1着。チャンスは巡ってくるものの、容易にハードルが超えられない。中でも痛恨といえばシーチャリオットのケースだろう。同馬は東京ダービーまで7戦6勝、GI「全日本2歳優駿」を勝ち、「京浜盃」、「羽田盃」も楽々通過、直前ダービーでは驚異の上がり36秒8をマークした。同世代JRA馬にカネヒキリ。「JDD」対決を想像すると、それこそハンパないワクワク感、高揚感がこみあげてきた記憶がある。“トウ骨遠位端剥離骨折”という難しい故障だった。エンジンかかってどこまでも伸びる末脚。まさしく幻の3冠馬--。記者自身フリーハンデなら、むしろミツオー、フリオーソより0.5キロほど余分につけたい気分もある。

 (1)…波乱含み。1人気[4-1-1-4]、2人気[1-1-4-4]、3人気[1-3-1-5]。1人気の連対率がやっと5割だから堅くはない。昨年は6→3人気の決着で、馬単10880円。

 (2)…川崎注目。川崎=3勝、2着3回、船橋=4勝、2着2回。ほぼ互角だが、他重賞と較べ川崎勢の活躍が大きく目立つ。地元大井も2勝、2着5回。昨年ワンツーと面目は保っている。

 (3)…実績微妙。羽田盃優勝馬[3-0-2-5]、同2着馬[2-3-0-4]。微妙な数字で信頼度は高くない。転入馬=4勝、2着4回。昨年プレティオラスなど、道営出身組が総じて強い。

 (4)…東京湾C。東京湾C組から、アジュディミツオー、ドリームスカイ、優勝馬2頭。歴史の浅い(条件変更後)重賞だが関連は深い。対して「東京ダービーTR」勝ち馬は13、8、10着。

 (5)…末脚勝負。逃げ=2、先行=2、差し=9、追込=7。昨年など四角13番手→8番手の決着で、スピードより追っての味が要求される。牝馬[1-0-1-8]。能力の裏付けがあれば好勝負。

 ※データ推奨馬
 ◎イヴアルブ…遅いデビューながら4戦3勝、前走東京湾Cを、鼻・首差3着の川崎所属馬。強靭な末脚が武器で、血統(シニスターミニスター×アグネスタキオン)、雄大な馬格(500キロ超)からも、まだまだ伸びしろが期待できる。鞍上・岩田康誠騎手は、22年ガナール(12番人気)で2着に食い込み(直線一気)穴をあけた。

       ☆       ☆

  ◎アウトジェネラル  56御神本
  ○ソルテ       56真島
  ▲ジェネラルグラント 56石崎駿
  △インサイドザパーク 56左海
  △アメイジア     56吉原
  △ブラックワード   56柏木
  △イヴアルブ     56岩田
   カイカヨソウ    54今野
   キタサンオーゴン  56的場文
   オグリタイム    56岡部誠
   エスケイロード   56山田信
 
 アウトジェネラルの前走「羽田盃」は、ひとこと圧巻の強さだった。道中好位キープから、直線馬場の真ん中を一気に突き抜け4馬身差独走劇。上がり3F36秒2はレース史上最速(前述シーチャリオット=36秒8)で、しかも脚いろ、手応えなど、まだまだおつりを残していた。道営出身馬、南関東生え抜き、十分粒ぞろいと思えた今年3歳世代だが、この結果を見る限り明らかに1頭別格。父アドマイヤドン(JBCクラシック3連覇)の背景も、新ダート王者にふさわしい。今回をいい形でクリアできれば、ブリザード以来の3冠制覇も現実味を帯びてくる。自信と感触を得たはずの御神本J。じっくり乗れる2000mへの延長ももちろんプラスだ。

 馬券的には、相手の序列がカギになる。「京浜盃」完勝ジェネラルグラントは、「羽田盃は稽古が少し強すぎた」と出川克巳調教師。確かに当時10キロ減、パドックでもややイレ込み加減にみえた。中1か月半、どう立て直して出てくるか。ただ対アウトジェネラル、道営時を通じ、レースぶりの迫力、切れで一歩譲る感は否めず、それなら実績、充実度とも満点がつけられるソルテを、羽田盃2着通り本線に考えた。同3着インサイドザパークも2歳時より脚質に幅が出て、前記3頭をマークして競馬ができる。少し時計がかかれば一角崩しか。「東京湾カップ」組は、1〜3着、ほぼ互角にチャンスがあるが、未知の魅力といえばやはりイヴアルブ。アメイジアは左回り、キタサンオーゴンはスタートが大きな課題だ。

◆さきたま杯回顧
(5月29日 浦和 サラ4歳以上 別定 JpnII 1400m良)

 △(1)テスタマッタ    1分27秒8
 ◎(2)セイクリムズン     1/2
 ○(3)ナイキマドリード     2
 ▲(4)ダイショウジェット  11/2
 △(5)ティアップワイルド    1
 ……………
 △(9)スーニ
 △(11)サイモンロード

  単300円  馬複270円  馬単630円  3連複1530円  3連単4610円

 テスタマッタが完勝した。前半は思い切った待機策。向正面、外々からエンジンをかけ4コーナー3番手、直線余裕の手応えで抜け出した。GI・2勝の底力--終わってみれば確かにそうだが、同馬の場合、もまれる展開でカカリ癖があり、しかも今回窮屈な1番枠だから、この日はなおさら鞍上の“腕”を感じる。「馬の力を信じて乗った。少し(ゲートの)出は悪かったけれど、逆に邪魔されることなく自分のリズムで走れました」(戸崎J)。1〜2コーナー、よもやの最後方からレースを進め、しかし向正面、着順掲示板の手前からスムーズに加速させた技術と自信。浦和1400mはこうして勝つ…。いずれにせよ今の戸崎圭太は、JRA、地方関係なし、日本ジョッキー界、頂点といえる位置まで昇りつめた。

 テスタマッタは32戦7勝、タピット×デイフィカルトの米国産馬。今回重賞4勝目。GI「ジャパンダートダービー」「フェブラリーS」制覇など元よりビッグネームだが、常に流れ一つ、折り合い一つの面があり、評価が定着しなかった。距離実績も多様多彩であり、オールマイティを思わす反面、何ともつかみにくい馬ではある。ただ、いわゆるツボにハマったときの瞬発力はひとこと強烈。今後どういう路線を選択するか。現時点、「帝王賞」にエントリーされており、状況によっては再び戸崎Jとのコンビも組める。そうなればさらに前進、GI・3勝目も十分あり得る。

 2着セイクリムズン。前半中団やや後ろの苦しいポジション。直線馬混みを捌いて追い上げ、1/2差まで迫ったところがゴールだった。「バテた先行馬を捌くのに苦労した。最後は伸びているんだけどね…」(岩田J)。同馬は快速型のイメージのわりに毎回スタートひと息で、地方G1400mスペシャリストながら、相手がGI級だと破綻もある。ナイキマドリードは完全燃焼。3〜4コーナー、流れるように先頭を奪い、それでいて結果3着は自身微妙にピークを過ぎているということだろう。

ダイショウジェット、ティアップワイルドは、ひとまず実績と力通り。10歳前者はともかく7歳後者は左回り克服がテーマになる。転厩スーニは、結果大敗ながら馬体を大きく作る(14キロ増)川島正行厩舎流。今後「帝王賞」挑戦がコメントされ、ひとまず折り合い重点の競馬で初戦を終えた。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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