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関東オークス展望&東京ダービー回顧

  • 2013年06月11日(火) 18時00分
◆関東オークス展望
(6月12日 川崎 サラ3歳牝馬 定量54キロ JpnII 2100m)

 「関東オークス」は、平成12年交流指定。以後15年から「桜花賞=浦和1600m」→「東京プリンセス賞=大井1800m」→「関東オークス=川崎2100m」とレース順も確定され、南関東牝馬3冠、そのファイナルレースとして、確かな歴史を積み上げてきた。過去10年間、JRA7勝、南関東3勝。後者3頭の“3冠成績”といえば、17年テンセイフジ=3、1、1着、18年チャームアスリープ=1、1、1着、24年アスカリーブル=不、1、1着。チャームアスリープの偉業については繰り返し書いたが、昨年アスカリーブルの場合、桜花賞不出走(同時期京浜盃挑戦・4着)だけに、返す返すも残念ではある。

 これも何度か書いたこと。牝馬ダート3冠は、大井だけが舞台になる牡馬3冠よりハードルが数段厳しい。コース、距離が転々と変わり、しかもおよそ3か月間、自身ピークを維持する必要がある。そして今年の南関東牝馬は、カイカヨソウ、イチリュウの二枚看板。うち前者が先週「東京ダービー」を選択し(4着)、なおさら微妙、心細い状況になってきた。南関東レベルは悪くないものの、ダート2勝馬を4頭そろえたJRA勢の層の厚さ。内田博幸、岩田康成、戸崎圭太、地方出身、名手すべて有力馬に乗っての登場も、少々皮肉に思えたりする。

 (1)…波乱含み。1人気[5-3-0-2]、2人気[1-1-1-7]、3人気[2-2-1-5]。1人気の信頼度はかなり高いが、反面対抗格の2〜3人気が頼りない。昨年は1人気オールドパサデナ(単2.1倍)13着。楽観できない。

 (2)…JRA優勢。JRA=7勝、2着7回、3着4回と大きくリード。次いで船橋=2勝、2着1回、3着3回、川崎=1勝、2着1回、3着2回、大井=2着1回、3着1回。他地区馬は[0-0-0-28]。17年クインオブクイン(笠松)5着が最高とふるわない。

 (3)…昇竜S組。JRA連対馬は、13頭中10頭までダート2勝以上をあげていた。「昇竜S」出走組がとりわけ強く、ホワイトメロディー、ラヴェリータら3頭が優勝、2着2回。浦和桜花賞馬は11、12、11、1、9、不、不、5、止、9着と近年厳しい。

 (4)…自在型。逃げ=2、先行=5、、差し=11、追込=2。逃げ切りは20年ユキチャン1頭だけで、好位〜中団からのまくりが理想。ジョッキーでは内田博騎手、岩田康騎手がそれぞれ2勝。石崎駿騎手もテンセイフジで1勝をあげている。

 ※データ推奨馬
 ◎ティズトレメンダス…JRAダート2勝、中京で左回り克服済み。結果出遅れ大敗(14着)ながら昇竜Sにも出走している。好位から一気に捲る勝ちパターン。川崎2100mを熟知した鞍上・内田博幸J。

       ☆       ☆

  ◎フォレノワール   森
  ○オメガインベガス  戸崎
  ▲モンシュシュ    松田
  △イチリュウ     的場文
  △ティズトレメンダス 内田博
  △アムールポエジー  岩田
  △ケンブリッジナイス 真島
   アステールネオ   御神本
   シルバーストリーク 石崎駿
   デイジーギャル   繁田

 質量ともきわめて豊富なJRA攻勢。イチリュウ1頭で対抗するとなると正直厳しい。ただ前述通り今年南関3歳レベルはけっして低いとも思えず、証拠に好敵手・カイカヨソウは牡馬相手の東京ダービー4着。イチリュウ自身にも昨年アスカリーブル、エミーズパラダイス級の絶対能力はイメージできる。今回ホームの利をどう生かすか。いわゆる平均ペースの先行型で、距離2100m自体はプラスだろう。

 転入フォレノワールを狙った。JRA4頭すべて2勝馬だけに実績(1勝)は少し落ちるが、同馬の場合、母が名牝ネームヴァリュー(帝王賞など南関東重賞6勝)、その馬っぷり(500キロ超)、パワフルな走法に大器を感じる。昨暮れ1勝は1800mダート、出遅れを豪快に捲ったもの。前走東京競馬場での500万3着も、4か月ぶり初コースながら、四角13番手から上がり38秒5、1頭別格の脚を使った。5月初旬に川崎入厩、直前本馬場の追い切りは古馬オープンを圧倒している。父アグネスタキオン。いきなり大仕事があって不思議ない。

 JRA勢4頭の序列は難しいが、戦歴、レースVTRを見る限りオメガインベガスの素質が光る。余裕残しのダート2勝。父スペシャルウィーク、戸崎J鞍上なら1人気も(おそらく)納得でき、あとは初コース、初ナイター、キャリア3戦の若さをどうみるか。1800m2連勝、岩田Jアムールポエジーも当然脈ありだが、馬場状態を含めた時計比較からは半信半疑。むしろレース内容、左回り中〜長距離適性からはモンシュシュに馬券的妙味を感じる。データ推奨ティズトレメンダスは2勝とも1400mで折り合いにひと息不安。初コンビ・内田博の手綱捌きにかかりそうだ。

◆東京ダービー回顧
(6月5日 大井 サラ3歳 定量 南関東SI 2000m良)

 △(1)インサイドザパーク  2分7秒2
 ▲(2)ジェネラルグラント    1/2
 ○(3)ソルテ         11/4
  (4)カイカヨソウ      11/4
  (5)ホクトマックィーン    1
 …………………
 ◎(6)アウトジェネラル
  (7)エスケイロード
  (8)ナリチュウドラゴン
 △(9)イヴアルブ
  (10)キタサンオーゴン
 △(11)ブラックワード
 △(12)アメイジア

 単1230円  馬複2080円  馬単6740円  3連複4970円  3連単35400円

 インサイドザパークの末脚が炸裂した。道中中団外め、終始おっつけ加減で手応えなどけっしてよくもみえなかったが、反面その状況で伸びるのが同馬の特徴。直線あと1ハロン、インから抜け出したジェネラルグラントを一完歩ごとに追い詰め、ゴール寸前きっちり捕えた。「(自分が)流れに乗せてあげれば、十分チャンスがあると思った。乗り役なら誰でも勝ちたいと思うレース。嬉しい。馬を信じて追いました」(左海騎手)。何度か書いたこと。インサイドザパークはラスト1F、闘志に火がついて重心がグッと沈み、何とも素晴らしいフォームで加速する。2000m2分07秒2、上がり39秒2。数字上は正直凡戦というしかないが、パフォーマンス自体に限ればひとこと痛快かつ爽快だった。

 インサイドザパークは、2歳時「鎌倉記念」「平和賞」連覇。明けて大井クラシック路線に参入し、京浜盃→羽田盃3、3着、ごく客観的にダービー勝者の資格があった。ただアウトジェネラル、ジェネラルグラントら道営勢の能力(インパクト)が圧倒的で、その時点で記者を含め過小評価(単12.3倍)になったうらみはある。「最後の頑張り、もうひと伸びが持ち味。頭が下がる。鞍上も100%を引き出してくれました」(林正人調教師)。ともあれ父タイムパラドックスは、地方ダート向き種牡馬として今年大きく躍進した。タイムパラドックス自身、重賞9勝。今回東京ダービーに3頭が出走し、3着ソルテも2〜3歳重賞を常に上位で健闘した。本格派の中〜長距離型。インサイドザパークは母の父サッカーボーイ、ソルテはマルゼンスキー。母系を生かす種牡馬といえるかもしれない。

 アウトジェネラルはよもやの凡退。スタートで前に大きくノメリ、終始リズムを戻せず終わった。今回2着ジェネラルグラント、戦歴、時計からは“一騎打ち”で当然だが、実際競馬とは、そう簡単に決まってくれない。2頭とも、スタートと位置取り、そして流れにまだ左右されるということか。ただ次走「JDダービー」と考えると、今回余裕残しの仕上げ、貴重な経験など、けっして無駄にはならないだろう。イヴアルブは岩田J初騎乗で先行策に出たが結果的にキャリア不足。3〜4コーナー、あわやと思わせた紅一点カイカヨソウも、最後失速は実力通りか。以下ホクトマックイーンが健闘。格下挑戦ながら末脚はなかなかしぶとい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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