スマートフォン版へ

京成盃グランドマイラーズ展望&関東オークス回顧

  • 2013年06月18日(火) 18時00分
◆京成盃グランドマイラーズ展望
(6月19日 船橋 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1600m)

 「京成盃グランドマイラーズ」は平成9年、準重賞からSIII昇格、以後16年の歴史を重ねた。A1=56キロ(牝馬2キロ減)を基準に緩やかな賞金別定。その優勝馬、ネームヴァリュー、エスプリシーズ、ナイキアディライト、さらにセレンと並べても、格の低い重賞ではけっしてない。近年どこか影が薄くなってしまったのは、かしわ記念、帝王賞の間に位置しGI級の参戦が望めないこと、短距離重賞、牝馬重賞が次々と創られ、それに対しオープン馬の質と量が追いつかないこと。ただ今年のメンバーは、見渡してごく素直にワクワクした。出走16頭中9頭まで重賞勝ち馬、他も大半がフレッシュな魅力と可能性を持っている。人気自体が読めず、同時にどこからでも狙える状況。こういうとき、予想者はやはり少し武者震いしたりする。少なくとも気持ちはそうだ。

 (1)…波乱含み。1人気[4-2-0-3]、2人気[3-0-2-4]は合格点だが、ワンツーに限ると1度(連複)しかない。3人気[0-3-1-5]。昨年は8→1人気で、馬単12530円。

 (2)…地元優勢。船橋=8勝、2着4回、3着3回と断然リード。以下、川崎=1勝、2着1回、3着5回、浦和=2着2回、大井=2着1回、3着1回。近年だけとれば船橋→浦和が一つパターン。

 (3)…性齢多様。4歳=4勝、2着1回、3着2回と優勢だが、7歳=2勝、2着1回。5、6、8歳馬もそれぞれ1勝をあげている。牝馬は[0-1-0-4]。03年ジーナフォンテン2着。

 (4)…マイル適性。過去9年、連対18頭中、11頭がその時点で1600m3勝以上をあげていた。逃げ=4、先行=5、差し=6、追込=3。位置取りはさておき、メリハリのあるタイプ。

 ※データ推奨馬
 ◎カキツバタロイヤル…地元船橋所属、円熟期の7歳馬。過去1600mを6勝、内3つが重賞(サンタアニタトロフィー連覇・川崎マイラーズ)だけに価値がある。好位から息の長い末脚が武器で、とりわけ並んでからが勝負強い。今回内田利Jとのコンビ(初騎乗)も魅力。

       ☆       ☆

 ◎プレファシオ    56森
 ○ナイキマドリード  57川島
 ▲スマートジョーカー 56御神本
 △ピエールタイガー  56真島
 △カキツバタロイヤル 56内田利
 △セイントメモリー  56本橋
 △アスカリーブル   54吉原
  スターシップ    56石崎駿
  マグニフィカ    56的場文
  トーセンアドミラル 56今野
  ルクレルク     56戸崎
  ディアーウィッシュ 56繁田

 プレファシオを狙う。JRAダート5勝、3歳時出世レース「昇竜S」を制した期待馬。以後何度か休養がありオープン定着を果たせなかったが、それでも、グラッツィア(川崎記念3着)と接戦した昨夏小倉「KBC杯=クビ差2着」など、潜在能力は相当高い。そして前走船橋転入初戦、準重賞「皐月盃」を豪快な差し切り。道中中団をスムーズに進み、直線GOサインから圧倒的な爆発力で突き抜けた。500キロ超、ゆったり幅のある好馬体、クロフネ×サンデーサイレンスの血統背景。もうひと花…というより、むしろ新星登場のイメージだろう。予想されるハイペースも前走の末脚からはプラスととれる。

 ナイキマドリードは前走「さきたま杯」3着で地力健在をアピールした。スプリンターとマイラー、ちょうど中間に属するタイプだが、南関同士なら実績面で再上位。ここは激しい逃げ争いを前にみて、3〜4コーナー外から捲る作戦だろう。目下8連勝、前走「川崎マイラーズ」でタイトル奪取スマートジョーカーも、勢いと切れは互角以上。相手のレベルは一段上がるが、今のデキならじっくり差す自分の競馬ができそうだ。ピエールタイガー、セイントメモリー、マグニフィカ、さらにトーセンアドミラルとズラリそろった先行馬。中では好調さと粘っこさ、ピエールが最も脈ありと判断した。データ欄推奨カキツバタロイヤルはややズブさが出ている近況で、時計のかかる混戦が条件になる。

◆関東オークス回顧
(6月12日 川崎 サラ3歳牝馬 定量54キロ JpnII 2100m重)

 △(1)アムールポエジー   2分15秒7
 ○(2)オメガインベガス     5
 ▲(3)モンシュシュ       4
 ◎(4)フォレノワール      1/2
  (5)エイシンルンディー    3
 ……………………
 △(6)ケンブリッジナイス
 △(7)イチリュウ
 △(11)ティズトレメンダス

  単400円  馬複360円  馬単890円  3連複490円  3連単2240円

 アムールポエジーが圧勝した。道中2番手をスムーズに進み、2周目3コーナーから自然流の先頭。そのまま後続を大きくちぎった。「まだ気持ちに弱い面があるので、外からかぶされないように乗った。走る能力は高い。あとはレースに対する集中力がついてくれば…」(岩田騎手)。2100m2分15秒7(昨年アスカリーブル=14秒1)、走りやすい馬場を思うと物足りないが、それでも5馬身差のパフォーマンスは素質、絶対能力があってこそ。ライバルの凡走はさておき、同馬自身の可能性は十分示したといえるだろう。鞍上はラヴェリータ、カラフルデイズに続きこのレース3勝目。記者個人的印象ながら、岩田J=川崎コース好相性…をしばしば感じる。

 アムールポエジーは、ネオユニヴァース×ハッピーリクエスト(トニービン)。半兄ミリオンディスク(父アフリート)は優秀な短距離馬だが、アムールの場合、おそらくタイプが大きく違う。平均ペースの先行型。エンジンかかっていい脚を長く使う。「自分の形(すんなり先行)に持ち込めたから、これならと思いました。まだ心身とも途上の馬。ここで結果が出せれば視界が大きく広がってくる」(野中賢二調教師)。ともあれパドックの同馬など現実に落ち着き払った周回で、しかも鞍上が跨ると、ハミをグッととり一転した気合をみせた。次走は「しばらく放牧充電。状態と番組を勘案して」とコメントされた。現時点で対古馬などつかみづらいが、新女王候補の1頭ではもちろんある。

 オメガインベガスは好位追走から2着確保。キャリア3戦、鞍上戸崎Jコメントは「もう少し伸びると思った…」だが、初コース、初ナイターなど厳しい条件も内包していた。良血、好馬体。勝者アムールと能力差はないはずで、何より現在4戦2勝、ダート連対10割の3歳馬。父スペシャルウィークからも器は大きい。期待したフォレノワールは好位追走でもう一つ伸び切れなかった。ただパドックで見た馬体、雰囲気など、さすが良血といってよく、次走が文字通り試金石だ。南関期待のイチリュウは、スタートひと息が影響したか、当初作戦が当たらなかったか。いずれにせよ、不満、不完全燃焼が本音ではある。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング