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優駿スプリント展望&京成盃グランドマイラーズ回顧

  • 2013年06月24日(月) 18時00分
◆優駿スプリント展望
(6月25日 大井 サラ3歳 別定 南関東SIII 1200m)

 「優駿スプリント」は一昨年新設された3歳SIII。電撃6ハロン、JRAなら「ニュージーランドトロフィー」に匹敵し、近年の趨勢(スピード志向)がよく表われた番組といえるだろう。なるほど第1〜2回とも迫力に満ちた好レースとなり、勝ちタイムも想像以上に速かった。記者個人、ダート競馬=スプリント…という選択(番組作成)にはノスタルジーを含め異論もあるが、実際地方(南関東)競馬は、昨今そんな流れでひとまず活路を見い出している。とすればこのレース命題は、GI「JBCスプリント」に結びつくこと。対セイクリムズン、タイセイレジェンド、セレスハント、ティアップワイルド…。超えられないほど高いハードルではないとも正直思う。現実にラブミーチャンは、ムラながらたびたびGIで偉業、大仕事を達成してきた。

 23年
 1着ミヤサンキューティ  53真島  1分11秒6  2人気  好位抜出
 2着セントマーチ     55今野   3/4     4人気  中位鋭伸
 3着リバーキンタロー   55森    3     7人気  中位伸も
 4着リアライズブラボー  55左海   11/2    5人気  中位差詰
 5着ゴーディー      55的場文  3/4     3人気  先行退く
  1人気…ロードガバナンス 11着  逃げた馬…ラブビジョン 15着

 24年
 1着ゴールドキャヴィア  55御神本  1分12秒2  4人気  好位抜出
 2着コウヨウタレイア   54真島     2    2人気   中位伸び
 3着オゼキング      56的場文   11/2    3人気  中位伸び
 4着メビュースラヴ    54町田     3/4    10人気  後方伸び
 5着メイクアミラクル   54酒井     首
  1人気…チャンピオンヤマト 14着  逃げた馬…チャンピオンヤマト 14着

 当然まだ“データ”はないに等しい段階だが、予測のつく範囲でレース傾向をイメージする。

 (1)波乱含み…一昨年2→4→7番人気、昨年4→2→3番人気の決着で中波乱。実績、持ち時計はアテにならず、むしろ素質、上昇度が勝負を分けた。

 (2)牝馬注目…連対(1〜2着)4頭中牝馬が3頭。スプリンターの資質があれば互角以上に評価できる。対して牡馬はクラシック大敗組が多く、レベル自体やや低い。

 (3)差し馬…過去2年とも逃げた馬大敗。2番手を進んだ馬もふるわない(5、9着)。近年の大井1200mは仮に道悪でも中団以降の差しが届く。ズブいくらいのタイプが穴。

 ※データ推奨馬
 ◎サブノハゴロモ…TR3着。2歳時「ゴールドジュニアー」2着、「東京2歳優駿牝馬」3着の地力があり、常に流れなり、相手なりの自在性を備えている。逃げ争いの直後から動くイメージ。接戦になれば地の利が大きい。

       ☆       ☆

 ◎ハードデイズナイト 55山崎誠
 ○カイロス      57御神本
 ▲ドリームタイム   56柏木
 △ワールドステルス  56矢野
 △サブノハゴロモ   55真島
 △リコーシルエット  54町田
 △オグリタイム    56森
  オキナワレッド   54見沢
  ヴィクトリーケルブ 56今野

 ハードデイズナイトの勢い、充実度をそのまま買った。道営1勝(新馬1000m)で南関転入。当初イメージは“いい脚一瞬の牝馬”だったが、どうして以後タフなキャリアを積み大きく成長。4月末あえて遠征した水沢「留守杯日高賞=限定交流」圧勝、続く前走「優駿スプリントTR」も、後方待機から直線大外を矢のように突き抜けた。さまざまなタイプの駿馬を輩出、なおかつ成長力も伝えていく父サウスヴィグラス。ハードデイズ自身も“進化する快速馬”、その典型といえるだろう。ベストの舞台(条件)へ、最高潮のデキで臨む。

 同TR2着カイロスが相手本線。福山13勝、当地ダービーも制したNo.1ホースで、転入後もう一段力をつけた。こちらも父サウスヴィグラス、本質スプリンターと判断できる。逆にドリームタイムは父サイレントディールの奥手血統。それでいてデビューから一貫短距離で崩れないあたり、スケール、将来性を感じさせる。以下、1200m3勝の内容に混戦向きのパワー、勝負強さがみてとれるワールドステルス(父マイネルセレクト)、データ欄推奨、完成度が高くレースが巧いサブノハゴロモ。人気が割れそうな顔ぶれで、記者自身はハードデイズナイトから手広く流す。

◆京成盃グランドマイラーズ回顧
(6月19日 船橋 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1600m梢重)

 △(1)セイントメモリー   1分38秒7
 ◎(2)プレファシオ       4
 △(3)アスカリーブル      1
  (4)トーセンアドミラル    1/2
 ▲(5)スマートジョーカー    1/2
 ……………………
  (6)スターシップ
 △(7)カキツバタロイヤル
 △(8)ピエールタイガー
  (10)マグニフィカ
 ○(11)ナイキマドリード

  単3070円  馬複5000円  馬単16090円  3連複77030円  3連単490340円

 セイントメモリーが徹底先行で押し切った。好スタート。内枠の同型マグニフィ
カ、ピエールタイガーにハナを切る意思がなく、結果的にそれが大きく幸いした。36
秒1〜48秒4〜60秒1は軽い馬場の1600mとしてもかなり速い。しかしセイントメモリーの場合、ペースうんぬんより気分優先。道中テンポよく飛ばし、セーフティリー
ドを保ったまま4コーナーから直線。鞍上のGOサインと同時にもうひと脚使ってみ
せた。「思惑通りの競馬はできたけれど、ずっと後ろ(追撃)が気になってヒヤヒヤ
した。結果4馬身差だから強い。この馬には驚かされる、教えられることが多いで
す」(本橋孝太騎手)。このコンビ、4月大井「北斗七星賞」から3戦3勝。人馬と
も、今季大きな波に乗っている。

 セイントメモリーは、アフリート×ソラーティカ(ヘイロー)の6歳馬。大井生え抜き、新進・月岡厩舎所属で元より短〜マイラーの資質は相当高い。29戦12勝。もまれ弱い気性で足踏みしたが、過去ボク、スターボードを完封した準重賞2勝など、一連快時計を含め、本来交流Gで好勝負になる資質がある。「厳しい展開を考えていたから、逃げが打てたのは逆に少し驚いた。馬の能力と状態は自信があったし、鞍上も上手に乗ってくれました」(月岡健二調教師)。次走はサンタアニタT(7月31日・大井1600m)と明言された。今回船橋1600m=1分38秒7も、数字的には水準以上。あとは、レースぶりの幅、展開に左右されない精神力ということになるのだろう。実際、現南関東には、素質がありながら一つ壁を超えられない短〜マイラーが、かなり多数存在する。この日に限っても、ピエールタイガー、マグニフィカあたりはたぶんそうだ。

 2着プレファシオは本質的に1600mは忙しい。勝ちを意識して乗った鞍上・森泰斗J、早め早めは当然だが、結果それが末脚を鈍らせた。ただパドックの堂々たる馬体など、船橋転入(出川克厩舎)は間違いなく正解で、今後中〜長距離路線にうまくハマれば、それこそ大躍進の期待がある。3着アスカリーブルは、直線あと1Fをしぶとく伸びて地力アピール。ただ現実に2冠牝馬、一世代上のクラーベセクレタと実績は互角だから、終わってみれば少し不思議な低評価(11番人気)だったかもしれない。スマートジョーカーは末脚勝負。元々当たり外れの面があり、まくり不発のナイキマドリードも含め、今回凡走だけで評価は落ちない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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