◆黒潮盃展望
(8月14日　大井　サラ3歳　地方競馬交流　別定　南関東SIII　1800m)

「黒潮盃」は、今年第46回目を迎える3歳重賞。かつては春クラシック最終TR(京浜盃→黒潮盃→羽田盃)として行なわれ、ホスピタリティ、アウトランセイコー、さらにジョージタイセイ、ナイキジャガー、何頭ものビッグネームが制してきた。しかし平成11年、8月に施行時季移行。以後、上昇馬が主役になる“秋へのステップレース”へ、位置付けが大きく変わった。加えて17年“地方競馬交流”と条件改定。現実に19年マルヨフェニックス(笠松)、23年オオエライジン(園田)優勝、昨年もエスワンプリンス(佐賀)3着だから、レース自体“いい進化”をとげたといえるだろう。

　ともあれ、黒潮盃を文字通り“出世レース”にしたのは、17年ボンネビルレコード。同馬はここで初タイトルを得て軌道に乗り、結局重賞8勝、うちGI2勝(帝王賞・かしわ記念)。“稀代の鬼脚”と呼ばれるまでに成長した。見渡して今年のメンバー。春のクラシック上位組はこぞって回避、例年にも増して上昇馬、成長株に、期待と興味が集中する。「JDダービー」圧勝、交流Gレベルで一歩抜け出たクリソライトに、今後迫ってくるライバルがあればいったい何か。先日新潟「レパードS」の結果からは、JRA勢(3歳馬)の力関係もまだ混沌。改めて南関東勢(他地区含め)、その奮起に期待したい。

　(1)…波乱含み。1人気[4-2-1-3]は水準以上だが、2人気[1-1-2-6]、3人気[1-0-0-9]と心もとない。昨年も1→10人気の決着で、馬単6410円。アタマが堅くてもヒモが狂う典型パターン。

　(2)…近年船橋。過去10年トータルは、大井=4勝、2着3、3着4とリードだが、近年船橋=3勝、2着5、3着3と追い上げている。他地区遠征馬[2-0-2-25]。確立こそ高くないが、十分脈あり。

　(3)…経験必要。連対20頭中10頭までが牡馬クラシックを経験。純粋な昇り馬(重賞初挑戦)の優勝はアスターバジル1頭だけ。一見悪くない牝馬[2-1-2-12]も、優勝はツクシヒメ、アスカリーブル。確かな実績がないと厳しい。

　(4)…差し有利。逃げ=3、先行=3、差し=10、追込=4。近年おおむねフルゲート、ペースがあまり緩まない傾向で、好位〜中団からの差しが主流。ジョッキーでは今野J、的場文Jがそれぞれ2勝。

　※データ推奨馬
　◎キタサンオーゴン…東京ダービー→JDダービーを経験した船橋所属馬。大井通算[0-0-0-5]ながら、ハイセイコー記念5着、雲取賞4着を思えば減点はない。エンジンかかっていい脚を長く使うパワー型で、血統背景(マーベラスサンデー×ブライアンズタイム)からも千八向き。山田信騎手は21年ツクシヒメ、佐藤賢二調教師は20年ギャンブルオンミーで優勝している。

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　◎トラバージョ　　　　　56石崎駿
　○リアライズリンクス　　56左海
　▲イワミノキズナ　　　　56本橋
　△カガヤキダンスオー　　56的場文
　△ブラックワード　　　　56柏木
　△キタサンオーゴン　　　56山田信
　△トーセンギネスオー　　56江川
　　エスケイロード　　　　56張田京
　　ハブアストロール　　　56真島
　　オグリタイム　　　　　56坂井
　　エーシンクリアー　　　56田中学
　　フォレノワール　　　　54森

　トラバージョの素質と勢いに期待する。今春大井→船橋転厩、そこから一気に頭角を現わした成長株。5〜6月、川崎特別戦(千六)を圧倒的な強さで連勝し、前走いきなり挑んだGI「ジャパンダートダービー」も、結果7着ながら上がり39秒8、馬場の大外を確かな末脚で伸びてきた。血統(ワイルドラッシュ×ラムタラ)、馬格(490キロ超)を含め、いかにも骨太、逞しいイメージ。この顔ぶれで外千八なら、3〜4コーナー行き脚がついたところで捲り勝負か。鞍上・石崎駿Jとのコンビ[3-0-2-0]。

　出走16頭を眺め、改めてどこからでも狙えるメンバーと実感する。ただ記者予想、今回は“上昇馬重視”をテーマにした。デビューから6戦4勝、天才肌のスピードとセンスがあるリアライズリンクス、福山[6-6-2-0]で南関移籍、前走古馬相手に大外一気のパフォーマンスをみせたイワミノキズナ。さらに、デビューから一貫的場文Jがその手綱を放さないカガヤキダンスオー、中距離型としての資質を感じるブラックワード、逃げて一発トーセンギネスオー…と序列をつけた。キタサンオーゴン、エスケイロード、クラシック善戦組には正念場。遠征馬では、園田No.2、息の長い末脚を誇るエーシンクリアーをマークしたい。