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スパーキングサマーC展望&黒潮盃回顧

  • 2013年08月20日(火) 18時00分
◆スパーキングサマーC展望
(8月21日 川崎 サラ3歳以上 地方競馬交流 別定 南関東SIII 1600m)

「スパーキングサマーカップ」は、平成16年新設。今年第10回の節目を迎える。4年目19年から“地方交流”に条件変更。格は南関東SIIIながら、にぎやかかつ多彩なメンバー…が、レースの歴史、伝統に定着した。他地区遠征馬がいかにも手薄な今年だが、反面南関東所属馬は多士済々。1番人気がどれになるか、予想も馬券も、まずそこから迷わされる。ただ例年の傾向は、実績上位馬より昇り馬優勢。斤量など前者有利(牡馬58キロ、牝馬56キロが天井)だけに、おそらくこれは“夏競馬のセオリー”ということだろう。当日の気配重視は言うまでもない。

 (1)…上位拮抗。1人気[3-1-2-3]、2人気[4-1-0-4]、3人気[0-2-0-7]。人気馬はそれなりのアベレージだが、総じてすんなりとは決まらない。昨年は1→7人気の決着で、馬単2900円。

 (2)…船橋優勢。船橋=7勝、2着4、3着6。優勢というより断然に近い。次いで地元川崎=1勝、2着4、3着2。他地区勢も21年マルヨフェニックス優勝など脈ありだが、今年は前述通り、出走自体トウホクビジンただ1頭。

 (3)…好調馬。年齢別では、6歳=3勝、2着2、3着2と一歩リード。ただ4・5・7歳も2勝ずつで遜色ない。連対18頭中10頭が、直前1〜2着だから好調度重視か。TR「サマーチャレンジ」優勝馬は過去7年、8・1・不・不・5・3・8着と微妙な数字。

 (4)…自在型。逃げ=4、先行=5、差し=6、追込=3。どちらかといえば差し有利だが、昨年はクラーベセクレタ→ルクレルク、行ったままで決着した。ジョッキーでは、石崎駿騎手=2勝、2着1、3着1と抜群の成績を残している。

  ※データ推奨馬。
  ◎プレファシオ…船橋所属、6歳馬。今春JRA→船橋へ転入し、3戦122着と地力、南関東ダート適性を示している。好位から息の長い脚が使えるタイプ。石崎駿Jはこのレース2勝、出川克己調教師も20年ベルモントサンダー、22年ディアーウィッシュで2勝している。

       ☆       ☆

  ◎ジュウクリュウオウ   56御神本
  〇プレファシオ       57石崎駿
  ▲トーセンアドミラル    57川島
  △ジョーメテオ       57見澤
  △ピエールタイガー    57真島
  △ガンマーバースト    57森
  △ナターレ         55的場文
   ガイエスブルク      56坂井
   トウホクビジン      54佐藤友
   トーセンピングス     57江川
   エナージバイオ      57今野

 ジュウクリュウオウの“旬”をそのまま買う。地方通算[13-2-1-4]、一戦必勝のステップでじっくり力をつけた上昇馬。とりわけ川崎千六は絶対の自信があり、前走TR「サマーチャレンジ」も出遅れを外々から一気に捲る豪快な勝利だった。父キングへイローは今季メイデイア(牝馬G3連勝)を輩出、南関東ダート適性を実証している。先行争いを見ながら動ける外枠(12番)有利。A1馬より1キロ軽い56キロも接戦になって大きな味方だ。

 プレファシオは前述通り、今回完璧なデータを持っている。逃げ馬を捕え切れなかった前2走など千六はやや忙しい感もあるが、JRA4勝、オープン経験も豊富で地力上位。追って達者な鞍上が持ち味を引き出しそうだ。ジョーメテオも前走サンタアニタT、いきなり2着からは転入成功。元来プレファシオ以上に中〜長距離志向が強い馬だが、そのぶん力の要る地方ダートが合っている。前2走ブリンカー着用で新境地を開いたトーセンアドミラル、意外性のある逃げ馬ナターレが、今回馬券上の盲点か。ガンマーバーストはひと息入れて仕上がり微妙。ガイエスブルクも絶好調ながら、さすがにここは相手がそろった。

◆黒潮盃回顧
(8月14日 大井 サラ3歳 地方競馬交流 別定 南関東SIII 1800m良)

 ◎(1)トラバージョ    1分54秒5
  (2)オグリタイム      4
 △(3)キタサンオーゴン   1/2
  (4)ミカドアクアラグナ  11/2
  (5)エスケイロード    11/2
  ……………………
 △(6)カガヤキダンスオー
 △(9)トーセンギネスオー
 ▲(11)イワミノキズナ
 ○(13)リアライズリンクス

  単280円  馬複2880円  馬単3790円  3連複11490円  3連単44170円

 トラバージョが圧勝した。道中中団より少し前、混み合う馬群の中で、そう楽なポジションとも思えなかったが、直線鞍上は躊躇なく外に持ち出し、それこそ一瞬のうちに突き抜けた。千通過62秒5の先行馬ペース、自身上がり39秒3。あくまで“南関レベル”としても、その切れ味には胸が張れる。「(勝てる)感触はあったから、あとは位置取りと折り合い。手応え通り伸びてくれた。心身とも成長しています」(石崎駿騎手)。この日の場合、フルゲート16頭の最内枠。それをごく自然なレースぶりで勝ち切った点に収穫が大きいだろう。

 トラバージョは、ワイルドラッシュ×ラムタラ、中〜長距離志向の本格派。今春、大井→船橋転厩できっかけをつかみ、以後4戦3勝。前々走「JDダービー=GI」でも、インサイドザパーク、ソルテに次ぐ、地方3番手入線(7着)を果たしている。エンジンかかって息の長い末脚。この夜のパドックも、ハチ切れるような馬体で、それでいてゆったり、リラックスした雰囲気があった。「長いところが向いている。まだ全体に途上の馬だが、終わってみれば器が違うということでしょう」(佐藤賢二調教師)。今後再び相手強化して、どこまで対応力が出てくるか。素質自体は交流G級にも届くとみたい。

 オグリタイム2着。勝ち馬より終始1〜2馬身前々で、何とも隙のない競馬をした。大物感は薄れたが、完成度が高くレース上手。本質的にマイル前後がいいかもくしれない。逆に3着キタサンオーゴンはレースぶりが粗っぽい。前半カカリ気味でスムーズさを欠き、直線は大外。正味1ハロンの競馬しかできなかった。精神面の成長が課題だろう。格下ミカドアクアラグナが、しぶとい末脚で4着健闘。母系(ブライアンズタイム)一流、好馬体も印象的で、今後目が離せない存在になった。リアライズリンクスは、道中トーセンギネスオーと終始競り合う展開で若さが出たか。正直負けすぎの13着だが、このタイプはすんなり行ければ一変する。イワミノキズナは後方のまま見せ場なし。転入後押せ押せの5戦目で、あるいは少し疲れがあったかもしれない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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