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アフター5スター賞展望&スパーキングサマーC回顧

  • 2013年08月27日(火) 18時00分
◆アフター5スター賞展望
(8月28日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1200m)

「アフター5スター賞」は平成6年新設。当時“トゥィンクル景気”の中、とにかく重賞を増やそうという意図でスタートし、第1〜9回まで距離1800m、ツキノイチバン、サプライズパワー、イナリコンコルド……今でいうGI級(中距離型)がおおむね主役を務めていた。がしかし平成15年、日本競馬全体、スピード優先の流れもあり電撃6ハロン(1200m)へ舞台一転。以後、翌月「東京盃=GII」TRとして、まったく別の歴史を歩んでいる。リニューアル直後、平成15年優勝がハタノアドニス。同馬はこのレースを5馬身差で制し、続く東京盃も圧倒的な強さで連破した。当時好敵手=サウスヴィグラス…を思うと(今は大種牡馬)、改めてため息が出てしまうことではある。

 さておき、今回は一つ別の話題を付け加える。先週23日、的場文男騎手が川崎競馬第4レースで、地方通算6500勝を達成した。鉄人・佐々木竹見騎手(7151勝)に次ぐ歴代2位。まさしく金字塔、とてつもない記録としか言葉がない。1番人気トーホウドラクロア、直線外に持ち出し豪快な差し切り。デビュー41年目の56歳、それでいて全盛時と寸分も違わない、力いっぱい、完全燃焼の騎乗に改めて驚かされた。天性の強靭な体力、磨きこまれた技術と経験、何より勝負に対する執念というもの。「トレーニングで体力は維持しているし、もうしばらく乗れると思う」そうコメントした上で、「(竹見さんの)7000勝は遠いけど、重賞記録はあと3勝(143勝)まで追いついた。今後はそれが目標かな」と意欲を語った。勝ち星を積み重ねることはもちろん、同時に“質”にもこだわりたいというベテランらしさ。振り返れば、彼は今回「アフター5スター賞」を2勝している。直近では平成21年、ケイアイジンジン(8番人気)、2番手から渾身のステッキで競り勝ったパフォーマンスが印象深い。今年は伏兵アイディンパワーがパートナー。大井の鉄人と、いかにも呼吸が合いそうな追い込み馬だ。

 (1)…波乱含み。1人気[2-2-0-6]と頼りなく、2人気[3-4-1-2]、3人気[2-2-2-4]がそれを補完するケースが多い。ただ昨年は1人気ジーエスライカーの楽勝で、5人気セントラルコースト2着。傾向がつかみづらい。

 (2)…大井VS船橋。大井=6勝・2着6回・3着5回、船橋=3勝・2着4回・3着4回。ほぼこの2場所が良績を独占し、例外は17年川崎ロッキーアピール優勝の1例しかない。21年はホーム大井ワンツースリーの決着だった。

 (3)…年齢広範。8歳=3勝、7歳=2勝、2着3、6歳=2勝、2着2と比較的高齢馬が強い。ただ21年・3歳ケイアイジンジン、22年・4歳ヤサカファインの優勝例もあり、若い成長株(総じて軽量)も軽視できない。

 (4)…差し優勢。逃げ=4、先行=3、差し=9、追込=4。電撃6ハロンながら、4コーナー7番手以降からヤサカファイン、タカオセンチュリーが直線一気を決めている。牝馬は[0-1-1-11]。軽量に恵まれても分が悪い。

 ※データ推奨馬
 ◎アイディンパワー…JRA出身(4勝)、現船橋所属の7歳牡馬。典型的な短距離の追い込み馬で、転入後「スパーキングスプリント=川崎900m」を勝ち、「習志野きらっとスプリント=船橋1000m」を3着している。前述通り的場文男騎手に相性のいい重賞。

       ☆       ☆

 ◎ミヤサンキューティ   56真島
 ○ハードデイズナイト   50山崎誠
 ▲コウギョウダグラス   53柏木
 △コアレスピューマ    57左海
 △アイディンパワー    57的場文
 △スターボード      57戸崎
 △フジノウェーブ     59御神本
  サイオン        57川島
  クリスタルボーイ    57今野
  マグニフィカ      59江川

       ☆       ☆         

 ミヤサンキューティを狙った。父クロフネ、天才型スプリンター。いったん闘志に火がついて抜群の切れがあり、とりわけ大井千二は通算[8-2-0-2]、絶対の自信を持っている。一昨年重賞タイトル「優駿SP」も、3歳夏時点の千二=1分11秒4だけにきわめて優秀。唯一死角は牝馬ゆえの“気難しさ”で、そう考えると今回外枠(14頭立て13番)も、むしろプラスといえるだろう。前走TR「ゆりかもめオープン」を余裕残しの馬体で2着。文字通り完全燃焼の一戦だ。

 ハードデイズナイトは、その「優駿SP」を、前走鮮やかに制した3歳馬。デビュー時(道営)はさして目立たず、しかし南関東転入後、意欲的なキャリア(岩手遠征など)を積み、そこから一挙の開花をとげた。父サウスヴィグラス、天性のスピードを差し脚に転化させた典型例。今回軽量50キロは、3歳馬の“特典”でもある。

 以下、デビューから1200mは[10-3-0-3]、スプリンターとして英才教育を施されたコウギョウダグラス、前走ミヤサンキューティを完封、9歳馬ながら衰えなしを実証したコアレスピューマ。11歳フジノウェーブもなるほど“奇跡の馬”だが、さすがに電撃6Fは忙しくなっている。それなら、データ面で胸が張れるアイディンパワー、あえて戸崎Jを配したスターボードに、よりチャンスが多いと判断した。

◆スパーキングサマーカップ回顧
(8月21日 川崎 サラ3歳以上 地方競馬交流 別定 南関東SIII 1600m良)

 ▲(1)トーセンアドミラル   1分39秒4
 △(2)ジョーメテオ      1/2
 △(3)ガンマーバースト    1/2
 ○(4)プレファシオ      3
  (5)トウホクビジン     3
 …………………
  (6)ガイエスブルク
 △(10)ピエールタイガー
 △(11)ナターレ

 ◎ジュウクリュウオウ     競走除外
  トーセンピングス      出走取消

  単510円  馬複770円  馬単1700円  3連複2010円  3連単9810円

 トーセンアドミラルが3コーナー手前、逃げるピエールタイガーを捕えて先頭、そのまま力強く押し切った。6歳夏、良血らしく再びピークを迎えたこと。3走前から装着したブリンカー効果が大きいこと。「道中ずっと集中して走ってくれて、思い通りの競馬ができた。まだまだ上積みがあるでしょう」(川島正太郎騎手)。千通過60秒6の厳しい流れ。それを2番手から抜け出し、自身上がり38秒8なら時計的にも胸が張れる。現実に千六=1分39秒4はレース史上第3位(過去10年)だ。

 トーセンアドミラルは、キングカメハメハ×サンデーサイレンス、JRA5勝から船橋転入。むろん実力派だが、JRA時の印象は“中〜長距離の逃げ馬”で、そう考えると、この日は新境地開拓という意味で収穫が大きい。「状態は転厩以来最高だったし、鞍上も折り合いをつけて上手に乗った。距離は本来万能に近いと思う」(川島正行調教師)。もっとも次走は当初からの思惑通り9月16日船橋「日本テレビ盃=GII1800m」。JRA勢を含め出走馬レベルしだいだが、自身好調なら完全燃焼の舞台ではある。

 ジョーメテオ2着。4コーナー抜け出した相手に鋭く迫り、最後詰めを欠いたのは前走(サンタアニタТ)とまったく同じ。確かな地力は認めても、本質中〜長距離型ということだろう。道中好位でソツなく進んだガンマーバースト3着はマイル適性も後押ししたか。逆に4着プレファシオは明らかに千六が忙しい。道中気合をつけながら好位ジリ貧。ただ同馬の場合、能力、南関適性は今春船橋初戦「皐月盃」圧勝で実証済みで、記者個人的には「日本テレビ盃」出走なら改めて注目する。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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