スマートフォン版へ

戸塚記念展望&アフター5スター賞回顧

  • 2013年09月03日(火) 18時00分
◆戸塚記念展望
(9月4日 サラ3歳 別定 南関東SII 2100m)

「戸塚記念」は昭和46年創設、今年第42回目。過去のみどころ、焦点は、この時季らしくクラシック上位組VS夏の上昇馬…というものだが、近年そのイメージが大きく変わった。次々開催「ロジータ記念」(今年は11月13日)目標の牝馬が相当数出走すること、このレース1〜3着(牝)馬に優先出走権が与えられること。現実に、22年ハーミア、23年ナターレ、24年アスカリーブルと連続制覇、しかも昨年は2着シラヤマヒメ、何とも見事な牝馬ワンツーで決着した。さて今年。世代No.1牝馬カイカヨソウが出てきた以上、当然“V4”の可能性が現実味を帯びてくる。対して牡馬トラバージュ、イヴアルブ、キタサンオーゴンら“第2勢力”が、ここでどう反撃するか。記者個人的には、今年の場合、正直そちらに期待したい気分だが。

 (1)…伏兵台頭。1人気[3-1-1-5]と頼りなく、2人気も[1-1-2-6]とアテにできない。3人気[3-1-0-6]だが、近3年は6・4・7着。波乱含みが前提。

 (2)…地元優勢。川崎=6勝、2着6、3着4と断然優勢。以下、船橋=3勝、2着3、3着3、大井=1勝、2着1、3着3と続く。おおむねスローの二千百で、走り慣れた地元馬有利。

 (3)…勢い重視。クラシック出走歴のない純粋な昇り馬が過去10年3勝、2着5。実績より勢い重視が鉄則か。前述通り牝馬が強く、トータル[3-2-2-19]は十分な重みがある。

 (4)…捲るタイプ。逃げ=3、先行=5、差し=10、追込=2。差しタイプ優勢だが、3〜4角から捲る機動力がほしいところ。ジョッキーでは今野騎手=2勝、2着2が大きく光る。

 ※データ推奨馬
 ◎カイカヨソウ…言わずもがな、ポスト・クラーベセクレタをめざす3歳No.1牝馬。プリンセス賞(千八)完勝、東京ダービー(二千)4着からは、女傑級(昨年覇者・アスカリーブル)と遜色ないレベルにある。ややぎこちない、左回りでの折り合いが鍵だろう。ただ鞍上はこのレース、抜群の実績がある今野J。

       ☆       ☆

 ◎トラバージョ    石崎駿
 ○イヴアルブ     戸崎圭
 ▲カイカヨソウ    今野
 △キタサンオーゴン  山田信
 △エスケイロード   張田
 △ミカドアクアラグナ 岡部誠
 △ドリームキングダム 真島
  カガヤキダンスオー 的場文
  ハブアストロール  本橋
  トーセンギネスオー 御神訓

 トラバージョの重賞連破に期待する。前走大井「黒潮盃」はひとこと圧巻の勝ちっぷり。道中混み合う馬群の中で悠然と折り合い、直線外から一頭別次元の瞬発力で突き抜けた。最後おつりを残した4馬身差。クラシック上位組不在にせよ、このパフォーマンスを見せられれば、新星誕生の言葉がそのまま当たる。ワイルドラッシュ×ラムタラ、デビュー時から中〜長距離志向。今回二千百は格好の舞台といえ、しかも川崎コース2戦2勝。予測されるスローなら、勝負どころで一気に捲る競馬だろう。

 カイカヨソウは今回▲、改めて試金石の評価とした。「プリンセス賞」完勝、「東京ダービー」4着からは、昨年アスカリーブルに遜色ないレベルだが、半面「桜花賞」、断然人気で不発(1.5秒差3着)など、気性面にまだ危うさを残している。少し癖がある(コーナー鋭角)川崎コース。はたして闘志に火がつくかどうか、微妙な印象は否めない。

 対抗にとったイヴアルプは末脚勝負の本格派。デビュー3連勝後、初重賞「東京湾カップ」を小差3着。レースぶりなどまだ粗削りだが、こと潜在能力、中〜長距離適性は相当高い。キタサンオーゴン、エスケイロードも混戦向きの切れ者だが、この両馬はゲート難を含めいかにも不器用。自ら勝ちに行けない弱みがある。それなら充実度、勢いでミカドアクアラグナ、ドリームキングダムに食指が動く。とりわけ前者は今夏川崎転厩後3連勝。左回りで馬が変わった感がある。

◆アフター5スター賞回顧
(8月28日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1200m良)

 ○(1)ハードデイズナイト  1分11秒5
 △(2)アイディンパワー     2
  (3)サイオン         3/4
 ▲(4)コウギョウダグラス    3
 ◎(5)ミヤサンキューティ    1/2
 ……………
 △(6)スターボード
  (7)クリスタルボーイ
  (9)マグニフィカ
 △(9)コアレスピューマ
 △(12)フジノウェーブ

  単290円  馬複1700円  馬単2460円  3連複4120円  3連単15910円

 ハードデイズナイトが完勝した。絶好のスタートをいったん下げて4〜5番手。道中しびれるような手応えで、直線GOサインが出るや、それこそ一瞬のうちに突き抜けた。3歳馬の勢い、50キロの軽量がぴたり噛み合った見事な勝利。「テンから行き脚が素晴らしかったし、会心のレースができた。(自分の)減量は正直少しきつかったけれど、結果が出せてホッとしてます」(山崎誠士騎手)。千二=1分11秒5。さして軽くない馬場、それも3歳牝馬の時計とすれば合格点以上がつく(昨年ジーエスライカー=11秒7)。

 ハードデイズナイトは父サウスヴィグラス。道営1勝(新馬千m)のみの実績で昨暮れ転入。しかし以後、意欲的なキャリア(岩手遠征など)を積みながら飛躍的に成長した。道中タメる競馬を覚えたこと、その形で瞬発力が磨かれたこと。「(軽量で)チャンスだとは思ったけれど、イメージ以上に強かった。充実している。今後状態がよければ東京盃(10月2日)へ…」(佐々木仁調教師)。文字通りシンデレラガール。現実になれば、東京盃は同じ父のラブミーチャンに胸を借りることになる。何度か書いたことだが、Sヴィグラス産駒は早熟ではけっしてない。総じて“進化する快速馬”だ。

 2着アイディンパワー。例によってスタートはモタついたが、直線的場文Jの“檄”に応えてしっかり伸びた。JRA4勝の7歳馬、いかにも歴戦の逞しさ。ただ時計の速い競馬には限界があるかもしれない。転入初戦サイオン3着。実績から千四〜千六ベストのようで、この日は追走に脚を使った。持ち駒豊富な川島正行厩舎。今後どんな戦略に出てくるか。期待したミヤサンキューティは、スタート、加速ともひと息で、後手後手を踏みながら競馬が終わった。大外を回って上がり37秒5。改めての期待は持てる。逆にコウギョウダグラスは、好枠からソツのない競馬とみえたが追って案外伸びなかった。ここが天井になるのかどうか。潜在能力からはもう一段ステップアップがあっていい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング