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東京記念展望&オーバルスプリント回顧

  • 2013年09月17日(火) 18時00分
◆東京記念展望
(9月18日 大井 サラ3歳以上 地方競馬交流 別定 南関東SII 2400m)

「東京記念」は昭和39年(1964年)創設、今年第50回の節目を迎える。言わずもがな同年東京五輪開催、それを祝した新重賞で、実際1〜14回までは「東京オリンピック記念」の名称で施行された。そして先ごろ、2度目の東京五輪決定(2020年)。50年の月日とは、かくも速いものなのか。時代変遷、競馬の趨勢…、記者自身の年齢(加齢)も合わせ、改めてため息が出てしまう。

 ともあれ「東京記念」は、大井競馬一つの看板レースとして長く歴史を作ってきた。最も象徴的といえば昭和60年、ロッキータイガー、テツノカチドキ、火の出るような一騎打ちか。当時この一戦は「ジャパンカップ」地方代表決定戦となっており、佐々木竹見=カチドキ、桑島孝春=ロッキー、人馬ともまさしく完全燃焼だったと振り返る。結果“鼻差”で出走権を得たロッキータイガーが、続く本番も皇帝シンボリルドルフの2着と迫った。役者がそろった南関東黄金時代、確かにそうだが、昨今それにしても…の思いはやはりある。いずれにせよ東京記念は、GI級、本格派の中〜長距離型を育てる位置付け。話は先走るが、暮れの「東京大賞典」。対ホッコータルマエ、ローマンレジェンド、ハタノヴァンクールを脅かす馬の出現が今回ほしい。追記すれば、その昭和60年はハンデ戦で、ロッキー59キロ、カチドキに至っては60.5キロの極量を背負っていた。

 (1)…小波乱。1人気[4-2-0-4]、2人気[0-3-3-5]、3人気[5-1-1-3]。1〜3人気、そろって消えるケースは少ないが、さりとて人気馬同士でも決まりにくい。昨年は3→2人気の決着ながら馬単=10510円の高配当。

 (2)…船橋VS大井。船橋=5勝、2着6、3着2、大井=5勝、2着4、3着5とほぼ互角。ただここ2年はテラザクラウド、スマートインパルスと地元大井が連勝している。川崎は一昨年ボランタスなど3着3。なかなか連対に届かない。

 (3)…リピーター。20〜22年ルースリンド(1・1・2着)、17〜18年ボンネビルレコード(1・2着)、21〜22年セレン(2・1着)など、リピーターの活躍が顕著。同時に高齢馬が強いことも特徴で、過去10年、7〜9歳馬が7頭まで連対している。

 (4)…好位差し。逃げ=1、先行=8、差し=8、追込=1。連対馬の脚質はさまざまだが、長丁場二千四百、おおむねスローに流れ、前々がやはり理想か。ジョッキーでは(今回騎乗)、今野、石崎駿、張田京騎手の好成績が特筆できる。

 ※データ推奨馬
 ◎スターシップ…船橋所属9歳馬。昨年3/4馬身差2着。JRA時から典型的なステイヤー(千八〜二千百=7勝)で、ややジリっぽい半面、いったんエンジンがかかっていい脚を長く使う。石崎駿騎手はこのレース4度の騎乗で3・4・1・2着。

       ☆       ☆

 ◎インサイドザパーク   56左海
 ○プレティオラス     56本橋
 ▲アートサハラ      56岡部誠
 △フォーティファイド   58御神本
 △トーセンルーチェ    58張田京
 △スターシップ      58石崎駿
 △テラザクラウド     56今野
  パワーストラグル    56和田
  ピエールタイガー    58真島
  マグニフィカ      56山崎誠
  アドマイヤシャトル   56的場文

 3歳インサイドザパークを狙う。近年希少になった南関東生え抜きの東京ダービー馬。アウトジェネラル、グランドジェネラル、さらにカイカヨソウ、手強い道営出身馬を下しただけに快挙といえ、続く「JDダービー=GI」4着(地方最先着)で、ひとまず全国クラス通用も実証した。一貫末脚勝負、個性あふれるレースぶり。タイムパラドックス×サッカーボーイの血筋からも、本質中〜長距離型のイメージだろう。今夏ハードデイズナイト、トラバージョなどのブレイクを見る限り、きわめてハイレベルを予感させる3歳世代。古馬初対戦でも、素質、上昇度からはあっさりが浮かぶ。

 プレティオラス、アートサハラは一昨年、前者「東京ダービー」、後者「羽田盃」を制している。両者ややスランプはあったものの、8月「オーガスト賞=A2下」でワンツーを決め復活宣言。ともに大井二千は条件ベストで、当時の時計も含め世代レベルはしっかりしている。インサイドザパーク同様、個性的な存在(中〜長距離型)だけに、ここで新境地を期待したい。フォーティファイドは前々走「大井記念」を10馬身差大楽勝。ただ続く「帝王賞」は現実に無抵抗の8着で、二千=2分06秒台の時計もすでに3歳馬に追いつかれている。それならトーセンルーチェ、スターシップ、テラザクラウド、実績があるステイヤーの方に注目したい。あえて大穴なら、ピエールタイガー、マグニフィカの逃げ。思わぬ一人旅で完全燃焼も考えられる。

◆オーバルスプリント回顧
(9月12日 サラ3歳以上 別定 JpnIII 1400m良)

 ▲(1)セイントメモリー   1分26秒9
 ◎(2)タイセイレジェンド    2
 △(3)ジョーメテオ       11/2
 △(4)エーシンウェズン      1/2
 ○(5)ガンジス         11/2
 ………………
 △(6)ダイショウジェット
 △(7)ナイキマドリード

  単860円  馬複2080円  馬単4220円  3連複9940円  3連単50050円

 セイントメモリーが力の競馬で交流Gをもぎ取った。道中スムーズな折り合いで2番手キープ。3〜4コーナー、並んできたタイセイレジェンドに合わせて抜け出し、直線余裕十分に突き放した。自身54キロ、レジェンド59キロ、確かに斤量こそ恵まれたが、GIウィナー相手に2馬身差完勝はまさしく快挙。そもそも南関東馬の交流V自体、昨春「関東オークス=アスカリーブル」以来1年3か月ぶりのできごとだった。「終始砂をかぶったし、けっして楽な展開ではなかったが、最後もうひと脚使ってくれた。素晴らしい馬。一戦ごとに新しい面をみせている」(本橋孝太騎手)。ジョッキーの言う新しい面とは、今日の場合“番手がきいた”ということだろう。逃げにこだわる…単調なイメージを見事に払拭。ここにきての成長力がとにかく凄い。

 セイントメモリーは、アフリート×ヘイローの6歳牡馬。一貫慎重なステップで使われオープンへの道が遠かったが、今季「京成盃GM」→「サンタアニタT」→「オーバルSP」と重賞3タテ。一気に短〜マイル路線、その主役に躍り出た。前躯がガッシリと力強い典型的なスピード体型。天性の“速さ”が磨かれたことはもちろん、さまざま経験を積みながら精神面も飛躍的に充実した。「正直今回は無欲の挑戦。驚きと嬉しさが一緒にある。でも頑張っていれば気持ちは届く。それを馬が教えてくれた」(月岡健二調教師)。千四=1分26秒9の時計も、昨年アースサウンド=28秒0だから水準以上のレベルだろう。次走未定とされたが、仮に大きな目標を想定すれば「フェブラリーS」。左回り適性を味方に善戦はイメージできる。

 タイセイレジェンドは立派な2着。「勝ち馬(メモリー)をマークして競馬をしたが、最後5キロ差が出てしまった」(内田博J)。それでも地方ダートは依然連対10割を確保した。この条件なら今後も安定勢力として信頼できる。3着ジョーメテオは3〜4コーナー外から抜群の行き脚をみせ、しかし直線の伸びは案外だった。ゆとりのない競馬になったということ。JRA実績(千七〜千八・4勝)からも、短距離は本質的に合っていない。4着エーシンウェズンは早めに動いて直線失速。ゲートで不利があった5着ガンジスとともに、地方遠征、初コース、まだキャリア不足と納得する。本来の捲りが打てなかったダイショウジェットはさすがに高齢。インで包まれ気味に失速したナイキマドリードも先行きが怪しくなった。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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