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平和賞展望&埼玉新聞栄冠賞回顧

  • 2013年10月29日(火) 18時00分
◆平和賞展望
(10月30日 サラ2歳 定量 地方競馬交流 南関東SIII 1600m)

「平和賞」は今年第58回目、南関東では「全日本2歳優駿=川崎・今年第63回目」と並ぶ伝統の2歳重賞。近年その優勝馬、好走馬からシーチャリオット、フリオーソ、さらにインサイドザパーク…と明春タイトル馬が出現し、“クラシックに結びつかない”ジンクス(イメージ)も、一挙に解消されてきた。平成18年から全国地方交流に条件変更。元よりレースの格自体は、大井「ハイセイコー記念=南関東限定」よりワンランク上といえるだろう。加えて“左回り千六”が舞台であること。その観点からも今回平和賞が、GI「全日本2歳優駿=12月18日・川崎」へ向け最も有力なトライアルとして意味を持つ。ただ今年は、実績上位の道営馬が軒並み回避。鎌倉記念→ハイセイコー記念→平和賞の間隔が短いこと、11月7日に交流GIII「北海道2歳優駿=門別千七」があること。結局今回焦点は、南関東、他地区遠征馬、素質と成長力をどう比較するかに落ち着いた。記者現時点での南関東2歳レベル評価は、船橋→大井→川崎→浦和の順。そう考えると、ここは“船橋新星”に期待感が大きくなる。

 (1)…波乱含み。1人気は[5-1-2-2]と強いが、2人気[0-3-1-6]、3人気[1-2-2-5]は心もとない。ひとたび荒れると大きい(19年・馬単10780円)傾向。

 (2)…船橋VS道営。船橋=6勝、2着4、道営=4勝、2着4。かなり極端な結果といえ、例外は大井、川崎それぞれ2着が1度あるだけ。3着も道営5頭、船橋4頭。

 (3)…素質重視。優勝馬の平均キャリア=3・5戦、同2着4・5戦。16年シーチャリオット、22年ヴァインバッハはデビュー2戦目の重賞勝ち。素質が経験よりモノをいう。

 (4)…決定打。逃げ=6、先行=3、差し=9、追込=2。脚質の定まらない2歳戦だが、要はメリハリのあるタイプということか。ジョッキーでは通算3勝、昨年も勝った左海騎手。

 ※データ推奨馬
 ▲ソードオブホロウ…地元船橋2戦2勝。しかも前々走千六特別戦を横綱相撲で勝っている。前走川崎「鎌倉記念」大敗(11着)は、力関係以前に出遅れが大きく響いた。このレース、抜群に相性がいい左海騎手。父ホールウォーカーは耳慣れないが、浦和、大井で4勝をあげたエイシンサンディ産駒。好馬体、未完の大器という評価があり、南関東でいい仔を出しそうなムードを持つ。

       ☆       ☆

 ◎ファイト     55張田京
 ○シオサイ     54山本
 ▲ウィーゴー    55山崎誠
 △ナイトバロン   55本田重
 △エスティドゥーラ 55見沢
 △フラッシュモブ  54尾島
 △ライブリーソウル 55真島
  ソードオブホロウ 55左海
  エスティロックオン55酒井
  リュウノファイト 55坂井
  ブラックピアド  55的場文

 ファイトの素質に注目した。デビュー戦(千m)こそ惜敗(1馬身差2着)したが、以後千二→千六と2連勝。いずれも道中折り合った逃げから直線二の脚で後続を突き離した。とりわけ前走千六=1分42秒8は、同日古馬C1(オリオンローザ=43秒6)との比較から内容十分。500キロを優に超す巨漢ながら、テンからスムーズに加速がつく俊敏さと競馬センス。すぐ上の兄にアメイジア(クラウンC・東京湾C勝ち)がおり、しかし父が変わったぶん(イーグルカフェ→マイネルセレクト)、完成度、マイル適性など、一枚上といえるだろう。今回2〜3番手から差して勝てれば、全国級(統一G)に夢がつながる。

 シオサイは、新馬戦でそのファイトを一騎打ちの末にねじ伏せた。続く千五もゴールぎわ激戦を制して2連勝。牝馬ながら勝負根性が印象的で、ファスリエフ×サンデーサイレンスの背景も2歳戦向きを思わせる。ウィーゴーは改めて試金石。前走鎌倉記念3着をどう評価するかだが、道中終始カカリ気味、勝ち馬に早めに来られる展開からは善戦、健闘の見方もできる。プレティオラスの半弟。記者的には思い入れの強い馬だ。今回道営からは一線級が出走せず、それでもナイトバロン、ライブリーソウルとも、レベル上軽視できない。とりわけ前者は新馬完勝後、千二→千七を2、2着。父ティズナウ(米ブリーダーズC2連覇)の成長力にも注目できる。経験を積んで力をつけたエスティドゥーラ、前走出遅れ、手の合う尾島騎手で臨むフラッシュモブが穴。

◆埼玉新聞栄冠賞回顧
(10月23日 浦和 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1900m梢重)

 ▲(1)ガンマーバースト   2分01秒7
 ○(2)スターシップ       5
 △(3)カキツバタロイヤル    首
 △(4)サイオン         頭
  (5)マグニフィカ
 ……………
 ◎(6)ジョーメテオ
 △(8)フォーティファイド
 △(10)アドマイヤシャトル

  単360円  馬複970円  馬単1790円  3連複1980円  3連単8430円

 ガンマーバーストが直線独走、1頭別次元の強さをみせた。道中先行するマグニフィカ、サイオンの3番手。前半ややカカるシーンもあったが、結果的にはそれだけ馬が走る気に満ちていたということ。3〜4コーナー、鞍上が手綱を緩めるや一気に加速し、最後は余裕残しで後続を5馬身ちぎった。「転入初戦(報知グランプリC5着)から手応えを感じていた馬。(自分が)能力を引き出せず歯がゆかったが、今日は胸のつかえがとれました」(森泰斗騎手)。千九百=2分01秒7、昨年トーセンアレス(01秒6)とほぼ互角。何より自らレースを作っての圧勝だけに、人馬とも収穫と自信がきわめて大きい。

 ガンマーバーストは、スペシャルウィーク×ジャイアンツコーズウェイの6歳牡馬。JRA5勝は千四〜千八と幅広く、本質スピード型ながら折り合い一つで中距離でも我慢がきく。「能力があること、状態がいいこと。(距離は)正直半信半疑だったが、鞍上がうまく乗った。これで選択肢も広がりました」(出川克己調教師)。選択肢が広がったとは、今回勝利で賞金上積み。少なくとも南関東重賞(SII〜III)では“除外”の恐れがなくなったことを指す。次走は優先出走権を得たGII「浦和記念=11月20日」、あるいは一つハードルを下げてSIII「勝島王冠=大井11月27日」。いずれにせよ左回り得意、距離万能を今回はっきり実証した。記者的にはむろん前者挑戦を期待する。

 2着スターシップ。中団からじわりと追い上げ、結果相手の大駆けにあったものの自身地力と個性は十分示した。カキツバタロイヤル3着はベテラン石崎隆Jらしい冷静な直線勝負。上がり38秒1(メンバー中第2位)だから、現時点で完全燃焼といえるだろう。期待したジョーメテオ6着。道中終始行きたがる素ぶりで折り合いを欠き、いざ勝負どころでスムーズに発進できなかった。潜在能力からは何とも不本意。転入3戦、短〜マイル力走で、今回馬に戸惑いが出たうらみがある。典型的な先行馬ペース(千通過63秒8)だけに、サイオン、マグニフィカの入着は、そう大きく評価できない。フォーティファイド、アドマイヤシャトルは後方のまま見せ場がなかった。不器用なアドマイヤシャトルは仕方ないとして、フォーティファイドは本来捲りのきくタイプ。パドックの気配もモッサリ冴えず、今季状態自体に疑問が残る。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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