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勝島王冠展望&浦和記念回顧

  • 2013年11月26日(火) 18時00分


◆勝島王冠展望
(11月27日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1800m)

「勝島王冠」は平成21年、準重賞から昇格した3歳以上1800m=SIII。歴史こそ浅いものの、その位置付け、ポジションは年々高くなりつつあり、とりわけ今年は古豪、上昇馬、3歳新鋭、にぎやかなメンバーが顔をそろえた(フルゲート16頭で7頭除外)。記者個人的にはそのうち何頭か、めぼしい馬(たとえばガンマーバースト、スターシップなど)は、先週「浦和記念=GII」に挑戦してほしかったが、レベル差が開きすぎた(と各陣営が認識する)昨今の情勢では、それも虚しき空論……になるのだろう。ともあれ馬券的にはどこからでも狙えるレースで面白い。

 過去4回のデータからは、(1)…波乱含み、(2)…大井VS船橋、(3)…若い成長株、(4)…差し馬有利――がひとまずセオリー。できるだけ絞って馬複か、あるいは手広く馬単、3連単か。こうしたケース、まず馬券の種類をしっかり決めておかないと、武運なくハズれた際に傷口が大きくなる(記者経験則)。

※データ推奨馬
 ◎ソルテ…大井所属3歳馬、クラシック実績がある点(3冠2、3、6着)など、昨年優勝プーラヴィーダとまったく同じ。常に反応よく好位キープ、なおかつ終い確実に伸びるレースぶりも好走馬条件と合致する。コンビ2戦目で呼吸がつかめそうな和田譲治騎手。別定56キロも実績比較からはきわめて有利だ。

       ☆       ☆

◎ガンマーバースト  58森
○プレティオラス   58本橋
▲ソルテ       56和田
△スターシップ    58石崎駿
△テラザクラウド   58今野
△ベルモントガリバー 55真島
△シーズザゴールド  58柏木
 ピエールタイガー  58服部茂
 フォーティファイド 58御神本
 アドマイヤシャトル 57山崎誠
 ヒラボクワイルド  57左海

 ガンマーバーストに期待する。転入後5戦3勝、それも前走SIII「埼玉栄冠賞」はほぼ持ったままひと捲り、一頭別次元の強さをみせた。道中前へ前への気迫、闘志が印象的で、それでいて上がり38秒3、余裕たっぷりのフィニッシュだから(5馬身差)、レースぶり全体、十分バランスがとれている。スペシャルウィーク×ジャイアンツコーズウェイ、堂々たる血統背景。JRA実績(5勝)以上に転入後充実したことは間違いなく、今回大井初コースも、過去右回り中山1800mでの3勝を思えばまったく問題ないだろう。呼吸をつかんだ鞍上が流れに応じ自在に捌く。

 プレティオラスは鬼脚復活の2連勝。とりわけ前走「東京記念」、上がり37秒9の大外一気は昨春の東京ダービーを想起させ、奥の深い血統も含め個性派としてもう一段ステップアップが想像できる。

 3歳ソルテは、今回改めて正念場の一戦だろう。クラシック三冠2、3、6着。今回56キロも有利だが、記者印象としては前走「マイルGP」3着に不満が残った。絶好1番枠から終始手応えよく進みながら、いざ追って伸びひと息。当時3か月ぶりが響いたか、あるいは本質マイラーか。父タイムパラドックスにしてはやや早熟のきらいもある。

 それなら高齢はさておき、中〜長距離重賞ロードで一貫崩れないスターシップ、JRA4勝、前走鮮やかなイン強襲を決めたベルモントガリバーに魅力を感じる。テラザクラウド、シーズザゴールドは、久々でも適条件(大井1800m)を狙った復帰。気配しだいで底力を買う手はある。

◆浦和記念回顧
(11月20日 浦和 サラ3歳以上 別定 JpnII 2000m良)

△(1)ランフォルセ    2分07秒6
◎(2)シビルウォー      1
○(3)エーシンモアオバー   8
 (4)グランシュヴァリエ  2.1/2
△(5)ダイショウジェット   5
………………
 (6)ハリマノワタリドリ
△(7)トーセンマドローナ
▲(8)マグニフィカ

単720円 馬複530円 馬単1410円 3連複130円 3連単1960円

 ランフォルセが激しい叩き合いを制し、久々の勝利をあげた。2周目3コーナー、前を行くエーシンモアオバーを並ぶところなく交して先頭。そのまましぶとい二の脚で押し切った。中団外から捲り上げ、いったん馬体がぴたりと合ったシビルウォーに、最後再び1馬身差。流れ、展開などは相手有利とみえただけに、なおさら今回の勝利は胸が張れる。「描いていた通り早め先頭、理想的なレースができた。3度乗って(交流G=5、3、3着)手応えはつかんでいたし、何より今日は状態がよかった」(戸崎騎手)。およそ1年半、何ともじれったい競馬が続いたが、昨春「ダイオライト記念=船橋2400m」勝ちは、ワンダーアキュート(4着)との先行争いを凌いだもの。改めて地力の高い中〜長距離型と認識する。

 ランフォルセは、シンボリクリスエス×ソニンク(マキャベリアン)の7歳牡馬。JRA、地方交流を含め[9-6-4-11]、一進一退のイメージながら、適条件(2000m前後)では確かな戦歴を残してきた。ひと息入れ(短期放牧)馬体がふっくら戻った(9キロ増)こと。GIIで顔ぶれがだいぶ楽になったこと。鞍上が最高の騎乗をしたこと。終わってみれば、今回好材料がすべて見事に噛み合った結果といえる。同じ父を持つダート巧者、サクセスブロッケンにどう追いつくかが今後のテーマ。筋肉質、それでいてバランスがよくのびやかな馬体など、いわゆる馬っぷりはランフォルセが、シンボリクリスエス代表産駒にふさわしい(記者印象)。当日明言されなかったが、ごく常識的には「東京大賞典」→「川崎記念」の路線が浮かぶ。

 2着シビルウォー。道中気合をつけながら進出するパターンはいつもと同じ。「勝てるデキにあったと思うし、自分の仕掛けが少し遅れた」(内田博騎手)。自省的なコメントは彼らしい謙虚さだが、この日の場合、ランフォルセの好走、終始インを回った戸崎Jのファインプレーと納得できる。結果一騎打ちなら、地力と安定性は十分示した。

 エーシンモアオバーはスタートひと息。内マグニフィカに突っ張られ、終始リズムの悪い競馬になった。微妙なタイミングで、最後極端な結果が出てしまう地方競馬の統一G。今回8馬身差は忘れてしまってもいいと思う。いちるの望みを託したマグニフィカ8着。徹底先行はいいとして、1000m通過63秒1のスローに持ち込みながら向正面失速はどうしたものか。GI馬である。グランシュヴァリエ、ダイショウジェット、正直このあたりには先着してほしかった。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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