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クイーン賞展望&勝島王冠回顧

  • 2013年12月03日(火) 18時00分


◆クイーン賞展望
(12月4日 船橋 サラ3歳以上牝馬 ハンデ JpnIII 1800m)

 「クイーン賞」は、平成9年から交流G昇格。一貫JRA優勢の流れ(16年間で11頭優勝)は言わずもがなだが、中で1つ大きな特徴、傾向というなら、すでに実績を積み上げた“女王”より、ここを契機に昇りつめていく“新星”に分があることか。古くはファストフレンド、プリエミネンス、グラッブユアハート…など。実際ここ3年連続して“3歳馬”が勝っており、とりわけ22年ミラクルレジェンドは、以後牝馬G6勝、1歳上のラヴェリータから女王の座を奪取している。

 さて今年の顔ぶれ。メーデイアが1つ上のハードル(JCダート)に挑戦し、出走13頭大半にチャンスがある図式となった。1番人気はおそらく近況No.2のアクティビューティ。しかしメーデイアとの力量差は歴然で、他陣営、同時に騎手も、それなら…の意気と意欲で臨むだろう。話は前後するが、メーデイアのJCダートは、結果10着ながら胸が張れるレースだったとふり返る。逃げたエスポワールシチー(7着)に食い下がり、結局これと同タイム入線。仮にと思う。ごく普通に「クイーン賞」選択なら、それこそ単勝1.0倍、負ける材料はほとんどなかった。それだけにメーデイアが今回、牝馬を超える牝馬…をめざしたことは重みがある。“勇断”という言葉がふさわしい。そしてその結果、今回クイーン賞は、少なくとも予想段階では主役不在。ストーリーがさまざま浮かぶワクワクする競馬になった――。記者個人的にはそんな思いも感じている。

 (1)…上位拮抗。1番人気は[3-4-2-1]と堅調だが、2番人気[4-0-2-4]と勝率で上回り、この逆転現象がしばしば起こる。3番人気[0-3-1-6]。昨年優勝レッドクラウディアは6番人気。

 (2)…JRA優勢。JRA=7勝、2着6回。次いで船橋=2勝、2着3回、川崎1勝(JRAから移籍したユキチャン)。他地区馬では、17年笠松=クインオブクイン2着、24年高知=アドマイヤインディ3着がある。

 (3)…新星注目。3歳=4勝、2着2回、3着4は特筆に値する。次いで4歳=3勝、2着3回、5歳=2勝、2着3回、6歳=1勝、2着1回。7歳以上の連対は19年メイショウバトラー1例(2着)だけ。

 (4)…先行型。逃げ=4、先行=7、差し=8、追込=1。ペースがあまり上がらない傾向で、好位差しが主流になる。その年の関東オークス馬は優秀で、12年プリエミネンス、19年ホワイトメロディ2頭が優勝。

 ※データ推奨馬
 ◎アムールポエジー…今春関東オークスを5馬身差で圧勝した3歳馬。父ネオユニヴァース、馬格に恵まれ(480キロ台)、パワフルな先行力に特徴がある。岩田騎手は18年レマーズガール、22年ミラクルレジェンドで2度優勝。

       ☆       ☆ 

 ◎カイカヨソウ    53今野
 ○アクティビューティ 55吉田隼
 ▲サクラサクラサクラ 52山崎誠
 △クラーベセクレタ  55戸崎
 △アムールポエジー  54岩田
 △カラフルデイズ   54福永
 △ラフアウェイ    52北村宏
  マニエリスム    52町田
  アドマイヤインディ 51宮川実
  トウホクビジン   51佐藤友

 カイカヨソウに期待した。前走ロジータ記念を制し南関東タイトル4つ目。何より久々に会心の勝ちっぷり(直線だけで3馬身差)を演じた点が注目でき、道中の折り合い、追っての反応、すべて一挙にふっ切れた印象がある。正直時計の裏付けなどまだ頼りない部分を残すが、積み上げてきた戦歴自体は3歳時のクラーベセクレタに準ずるもの。ティンバーカントリー×エリシオの血統背景なら、まだまだ新境地も描けるだろう。稽古で走り慣れた船橋コース、恵量53キロ。ノンプレッシャーの立場も今回大きい。

 “勝つ順番”というなら、むろんアクティビューティ。前走JBCレディスクラシック筆頭に牝馬Gで2着3度。メーデイアの壁は厚いものの、自身末脚に磨きがかかったことは間違いなく、本質的に中〜長距離がイメージに合っている。昨年このレース大敗(8着)は本格化手前の段階、スタートでも安めを売って基準外。強敵が抜けた今回、勝負どころで自ら捲りが打てれば本物の評価だろう。

 ▲サクラサクラサクラは昨年JBCレディスクラシック(川崎)を逃げて3着。以後も休み休みながら随所に非凡なスピードをみせてきた。1800mまで守備範囲。今回好枠(1番)を得ただけに、道中マイペースなら脈が出る。クラーベセクレタは地元1800m、鞍上に戸崎Jを据えて正念場。実績、能力からはあっさりも考えられるが、精神面に破綻が出たとすると計算しづらい。それならパワーと伸びしろがあるアムールポエジー。関東オークス2100m2分15秒7は、その時点でカイカヨソウ(ロジータ記念=16秒3)を凌いでいる。

◆勝島王冠回顧
(11月27日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1800m不良)

 ◎(1)ガンマーバースト  1分51秒5
 △(2)ベルモントガリバー   21/2
  (3)カリバーン        2
  (4)パワーストラグル     首
  (5)フォーティファイド   13/4
…………………
 ▲(6)ソルテ
 △(7)スターシップ
 ○(8)プレティオラス
  (9)ピエールタイガー
 △(10)テラザクラウド
 
  単240円  馬複1380円  馬単1980円  3連複29940円  3連単84620円

 ガンマーバーストが圧勝した。道中2〜3番手外めを絶好の手応えで進み、直線入口早々先頭を奪うと、そのまま余裕十分に押し切った。数字こそ21/2馬身差だが、印象とするとまさしく独走。「折り合いに難しさはあるけれど、スピードが持ち味だからタメずに動いた。強い馬の強い勝ち方。イメージ通りのレースができてホッとしてます」(森泰斗騎手)。1800m=1分51秒5。べつだん軽い馬場でもなく(過去5年中第2位)、上がり37秒7を含め、合格点以上の評価ができる。

 ガンマーバーストはスペシャルウィーク×マジェスティックラニア(ジャイアンツコーズウェイ)の6歳牡馬。JRA5勝を経て昨秋転入、以後6戦4勝、重賞は前走浦和「埼玉栄冠賞」に続く2つ目のタイトルとなった。器自体が大きいこと、南関東(船橋)の水がしっくりくること。ネックといえば道中カカリ気味になる気性だが、反面、常に前へ前へ動いていく気迫と闘志が光っている。「初コース(大井)1800mは正直微妙な気もしたが、鞍上がうまく捌いた。今のデキなら東京大賞典(12月29日・GI)も考えます」。馬優先主義、慎重居士でなる出川克己師から、珍しく強気のコメントが出たあたり、少なくとも馬自身は絶頂期と推測できる。あとは強敵相手、厳しい2000mで上積みがあるかどうか。

 2着ベルモントガリバー。スタート出負けを外から捲り、上がり37秒6(メンバー中最速)だから内容は文句ない。JRA4勝の中〜長距離型。父ティンバーカントリーからも、今後この路線でもうひと花が期待できる。3〜5着には伏兵が食い込んだ。中で注目はカリバーン。ダート未知数の転入だったが、終始勝ち馬をマークする積極策であわや連対のシーンがあった。JRA5勝のデュランダル産駒。本質的にマイル前後がいいかもしれない。4着パワーストラグル、5着フォーティファイドも復調気配。南関SIIIレベルなら展開ひとつで再浮上がある。6着ソルテは道中好位をキープしながら直線失速。距離1800mが長いのか、あるいは多分に早熟なのか。総合評価を落とした感は否めない。プレティオラス9着。まるで凡走の結果だが、四角殿りから上がり37秒9、ひとまず個性は示している。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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