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ゴールドカップ展望&クイーン賞回顧

  • 2013年12月10日(火) 18時00分


◆ゴールドカップ展望
(12月11日 浦和 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1500m)

 「ゴールドカップ」は、平成20年、出走条件、施行距離が一新されたリニューアル重賞(昭和32〜平成13年まで3歳馬による2000m)。今年その第6回目を迎える。大きな特徴は、A1=58、A2=56、A3=54キロ(牝馬2キロ減)、いたってシンプルな別定戦ということで、当然ながら実績上位馬に断然有利。事実、ノースダンデー(21〜22年1、2着)、ナイキマドリード(23〜24年1、1着)と、実力派リピーターが堂々たる強さをみせている。ただ馬券的には波乱含み。例えば一昨年などマドリードの2着にイブロン(9番人気)が飛び込み、馬単12750円。このあたりシーズン終了間際(初冬)、各馬体調維持の難しさ…といえるのだろう。今年はそのマドリードが、近走不振で揺れる評価。好調ジョーメテオ、タマモスクワートらとの差が縮まり、さらに格下でも勢いのあるメイショウパーシア(54キロ)の挑戦など、にぎやかな顔ぶれになった。昨年も書いたこと。南関東同士SIII、全体レベルこそ怪しいものの、さまざま目移り、迷わされる点で、この種のレースは予想も馬券も面白い。同時にいかにも“暮れの浦和らしい”、記者個人的にはそうも思う。

 (1)…波乱含み。1人気=1、1、2、1、1着と強いが、2人気=4、3、3、9、2着、3人気=12、4、9、5、8着と心もとない。前述通り波乱含み、ヒモが狂う傾向と推測できる。人気馬ワンツーの昨年も、3着は9人気ナムラブレッドで、3連単8600円。

 (2)…4場脈あり。船橋=3勝、2着2回、3着2回と優勢だが、大井(チェレブラーレ)、川崎(ボランタス)もそれぞれ1勝。浦和も過去5年中4年まで馬券に絡んでいる(クレイアートビュン、タマモスクワート)。浦和初コースの馬も2頭優勝。

 (3)…年齢広範。4〜9歳馬まで連対(1〜2着)記録があり、年齢は決め手にならない。ただ最も確率がいいのは4歳馬で[2-1-0-4]。20年チェレブラーレは当時A2格付けで56キロ。瞬発力がより生きた印象がある。

 (4)…先行型。逃げ=2、先行=4、差し=3、追込=1。小回り1500m、先行型にやはり分がある。“追込”に分類した22年ボランタスも、3〜4コーナー一気に捲り上げて先団に肉薄。直線入り口、3番手までが勝者の条件。

 ※データ推奨馬
 ◎メイショウパーシー…金沢→名古屋8勝、南関東転入後[6-2-0-1]とさらにブレイクした快速馬。今回A3から格上挑戦だが、前々走浦和1500m1分33秒8(9馬身差独走)など重賞級の時計があり、好位から差す自在性も再三みせた。54キロの恵量。勝負勘と思い切りの良さに定評がある町田直希騎手。

       ☆       ☆

 ◎ジョーメテオ     58坂井
 ○ナイキマドリード   58川島
 ▲タマモスクワート   58見沢
 △スマートジョーカー  58御神本
 △メイショウパーシー  54町田
 △サイオン       58今野
 △ウインペンタゴン   58和田
  スマイルジャック   58山崎誠
  ナムラオウドウ    58酒井

 ジョーメテオの勝機とみた。今夏転入後一貫重賞に挑み、5戦して2、2、3、6、4着。中で最もインパクトが強かったのは9月「オーバルスプリント=浦和1400m」3着で、当時大外から上がり37秒9(メンバー最速)、タイセイレジェンドに11/2馬身差と迫っている。JRA実績(1700〜1800m4勝)から中距離型のイメージだったが、現実にスロー〜平均ペースでは道中強烈にカカってしまい、何ともロスの多いレースぶり。年齢を経たこと、環境が変わったこと、馬自身気持ちの面で変化があったと納得する。今回うってつけの浦和1500m、メンバー的に流れの緩む懸念もない。まさしく正念場といえるだろう。

 ナイキマドリードはこのレース2連覇、それぞれ8、4馬身差圧勝劇。元よりGII「さきたま杯」を制したほどの地力があり、今季低調、3か月ぶりを割り引いても対抗以下には落とせない。勝負どころで本来の捲りが打てるかどうか。別定58キロ、外目の枠順(12頭立て8番)、V3へ向け好材料はそろっている。タマモスクワートは昨年Nマドリードに4馬身差2着。ただ前走船橋オープン特別完勝など状態のよさは強調でき、距離と展開、幅広くこなせる点も頼もしい。今春川崎マイラーズを勝ったスマートジョーカーも決め手互角だが、中間4カ月のブランクがあり(ササ針)、いきなりとなると半信半疑。浦和[9-0-3-1]の適性でどう補うか。メイショウパーシーは前述通り勢いと恵量に可能性。単に時計比較上は逃げ切られて不思議ないが、往々にしてこうしたケースは壁もある。JRA5勝サイオンは依然適条件(距離)を模索中という印象で、今回浦和1500mがどう出るか。


◆クイーン賞回顧
(12月4日 船橋 サラ3歳以上牝馬 ハンデ JpnIII 1800m良)

 ○(1)アクティビューティ   1分52秒6
 ▲(2)サクラサクラサクラ     2
 △(3)カラフルデイズ       11/2
 △(4)アムールポエジー      11/2
 △(5)クラーベセクレタ      首
 …………………
 ◎(6)カイカヨソウ
  (7)トウホクビジン
  (9)マニエリスム
 △   ラフアウェイ        落馬

  単280円  馬複6180円  馬単8500円  3連複11920円  3連単74100円

 アクティビューティが横綱相撲で完勝した。道中快調に逃げるサクラサクラサクラの2番手を付かず離れず。35秒8〜49秒1〜62秒1のペースはやや速く、それを持ったまま追走できるあたりが、好調さと充実度の証しだろう。直線中ほど、軽く気合をつけただけで一気の差し切り。最後“2馬身差”という以上にインパクトが強かった。「今日はゲートもポンと出たし本来がレース上手。強敵(メーデイア)が抜けて逆にプレッシャーはあったけれど、責任が果たせてホッとしてます」(吉田隼人騎手)。No.2がNo.1に昇ろうとするとき、おそらくその重圧は“人”の方にかかってくる。ともあれ1800m=1分52秒6は過去10年第3位(昨年レッドクラウディア=53秒3)。アクティ自身が大きく成長した結果といえる。

 アクティビューティはバゴ×ファンドリオボッコ(ワッスルタッチ)の6歳馬。父バゴは凱旋門賞馬、晩成型中〜長距離タイプと判断でき、そう考えると6歳の今季イメージ通り円熟している。500キロ超、芦毛の巨漢。当日船橋パドックでもパワフルな馬体、悠々堂々とした風格、落ち着きがひときわ目立った。「馬の成長と鞍上の好騎乗がうまく噛み合った。来年はこの路線のトップに立ちたい」(柴田光調教師)。この路線とは言わずもがな、地方競馬主導の牝馬ダートG。明けて「TCK女王盃=大井」→「エンプレス盃=川崎」が続き、今のアクティなら、メーデイア(エンプレスで引退濃厚)とも接戦が可能だろう。ただ記者心情とすると、その域に達した牝馬は、一つ手応えを得た時点で牡馬挑戦が正着とも思ったりする。近年、ラヴェリータ、ミラクルレジェンド(陣営)はひとまずそういう姿勢をみせた。古くホクトベガ、ファストフレンドは、牝馬Gなどそれこそ歯牙にもかけなかった。

 2着サクラサクラサクラ。快ピッチの逃げで終いもしぶとく踏ん張った。今開催の馬場状態(絶好の1枠)、同型不在も味方したが、前述通り1000m通過62秒1の逃げは楽でもない。馬自自身が持つスピード能力、思い切りのよい鞍上。金星は逃がしたものの完全燃焼のレースといえる。3着カラフルデイズは近走芝短距離を中心に使い、それでいて今回地方ダート1800mも正攻法の3着だから地力が高い。出走馬レベルしだいでは改めてチャンスが出る。アムールポエジーは現時点で決め手不足。クラーベセクレタも戸崎騎手鞍上ながら道中反応の鈍いレースぶりで、依然トンネルを脱していない。記者◎カイカヨソウは、スタート不利(落馬ラフアウェイと接触)で、いかにもレース運びが悪かった。四角大外から上がり38秒7だから内容は合格点。ただ同馬の場合、今回ロジータ記念から1か月半、地元で6キロ減はどう評価すかるか難しい。もう一段成長がほしい気はする。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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