◆東京シンデレラマイル展望
(12月30日 大井 サラ3歳以上牝馬 別定 南関東SIII 1600m)
「シンデレラマイル」は、平成19年新設、今年第7回目の若い重賞。しかし、すでに暮れの風物詩的な存在感を持っており、南関東ファンの間(記者周辺)でも意外なほど人気が高い。施行日が第1回から12月30日に固定されていること、毎年にぎやかなメンバーがそろうこと。もう一つ、ネーミングのよさも大きい気がする。シンデレラマイル――語感が適当に洒落ていて、しかもタイトルを聞いただけで、そのレース像(年の瀬の牝馬戦)がくっきり浮かぶ。高配当の予感、ワクワクしてゾクゾクする、競馬ファンなら誰もが抱く至上の愉しさ。レース名は大事…とは改めて思う。例えば、「東京スプリング盃」とか「スパーキングサマーカップ」とか、類似品だらけで差別化できないようなタイトルはやはりダメだ。今後さらに重賞新設があるのなら、担当者にはぜひこれは…という渾身のタイトルをお願いしたい。もっともシンデレラマイル。記者個人的には頭の“東京”はいかにもよけいで、毎年それを残念に思ったりするのだが。
(1)…波乱が前提。1人気[1-1-1-3]、2人気[0-3-1-2]、3人気[1-1-1-3]。1人気優勝は22年ザッハーマインしか例がない。予想紙の印でいうと△=○などの決着が目立つ。
(2)…船橋優勢。船橋=5勝、2着3回、3着3回。優勢というより断然に近い(20・23年はワンツースリー)。ただ昨年は大井→大井の決着で、一挙に流れが変わってきそうなムードもある。
(3)…年齢広範。5歳=2勝、2着1回、3着1回とややリードだが、7歳=2勝(3着1回)。4・5歳馬もそれぞれ1勝をあげている。一昨年7→3歳、昨年4→6歳の決着と傾向が定まらない。
(4)…差し有利。逃げ=1、先行=2、差し=7、追込=2。逃げ馬の連対は19年トキノミスオース(2着)1頭だけで、21年パノラマビューティなど四角10番手から大外一気。逆転劇が多い。
データ推奨馬
▲マニエリスム…このレース、前2年3、3着。イメージは伸び悩みだが、父ゼンノロブロイでまだ成長力を残している。5歳の年齢、船橋所属、差し馬…ことデータ面では文句ない。鞍上・石崎駿騎手は19年ベルモントノーヴァで優勝。
☆ ☆
◎ミヤサンキューティ 57真島
○サクラサクラサクラ 56山崎誠
▲ビタースウィート 55佐藤博
△キモンレッド 56服部
△レッドクラウディア 58森
△クラーベセクレタ 58御神本
△ナターレ 57吉原
マニエリスム 57石崎駿
イチリュウ 54的場文
デイジーギャル 53有年
冒頭記した通り、にぎやかな顔ぶれでひとこと激戦。それでも昨年ミヤサンキューティの強さは深く印象に残っている。当時長休明け(5か月ぶり)、大外枠、極端な不良馬場、さまざま不利をものともせず2番手から横綱相撲。サクラサクラサクラを11/2差引き離し、まだまだ手応えに余裕があった。気性面で少々ムラだが、闘志に火がついての爆発力は、父クロフネ、雄大な馬格も含め並みの牝馬を大きく超える。前走韓国馬招待レース、インタラクションカップで2着。道中窮屈な位置取り(1枠)から最後馬群を割ったあたり、文字通り気力復活。ここをあっさり勝てれば来春は牝馬統一Gに夢がつなげる。
サクラサクラサクラは前走久々、いきなり統一Gを徹底先行で連対した。父アッミラーレはハッピースプリントを輩出しブレイク中。同馬自身さまざま経験を積み、逞しさと充実度がひときわ光る。転入2連勝、その切れ味が並みではないビタースウィート、JRA5勝、地方適性も高いキモンレッドがどう迫るか。昨暮れクイーン賞勝ちレッドクラウディアは仕上がりしだいだが、記者印象はやや非力なイメージがある。もうひと花を期待したいクラーベセクレタも近走からは半信半疑。先手をとったときのナターレ、逆に混戦でマニエリスム。イチリュウ。デイジーギャルも、大井1600m適性からは大駆けがあって不思議ない。