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ニューイヤーカップ展望&船橋記念回顧

  • 2014年01月14日(火) 18時00分


◆ニューイヤーカップ展望
(1月15日 サラ3歳 定量56キロ 南関東SIII 1600m)

「ニューイヤーカップ」は新春恒例の3歳SIII。今年第57回目の歴史を重ねる。小回り浦和1600m、そのイメージから一段低く見られがちだが、現実に過去優勝馬を並べるとそうでもない。昭和59年キングハイセイコー、平成元年ロジータ、同7年ヒカリルーファスが、その後クラシックを制し、ここで取りこぼした(3着)形の19年アンパサンドも、本番「東京ダービー」をフリオーソ相手に勝っている。そして昨年ソルテ(9馬身差圧勝)も、春三冠=2、3、6着。以後少し足踏みしたものの、昨暮れ12月31日大井「おおとりオープン」を快勝、改めて一流マイラーへの道を歩み始めた。距離適性を含め多彩なメンバーが集まることが一つ特徴。スピード、切れ、持久力、総合的に問われるあたり、明け3歳馬、走り初めにふさわしい。

 (1)…上位拮抗。1人気[2-2-3-3]、連対率4割だから頼りない。2人気も[1-2-1-6]とあまりふるわず、代わりに3人気[3-2-0-5]が補完する。予想紙の印でいえば▲→△あたりが穴狙いの常道か。

 (2)…船橋優勢。船橋=5勝、2着6、3着3とリードだが、出走頭数を加味したアベレージでは、大井=3勝、川崎=2勝も遜色ない。地元浦和も20年ミサトアンバード、23年キスミープリンスが2着している。

 (3)…経験が必要。過去10年、優勝馬平均キャリア=5・1戦、同2着馬=6・8戦。連対20頭中16頭に重賞経験があった。ハイセイコー記念出走組が優勢。ここ3年優勝馬ドラゴンウィスカー、ゴールドメダル、ソルテはいずれもGI全日本2歳優駿に出走。

 (4)…差しタイプ。逃げ=1、先行=8、差し=10、追込=1。純然たる逃げ切りは1頭もなく、3〜4コーナー捲った馬=1着、一緒に動いた馬=2着が典型パターン。過去10年、優勝馬すべて初コース(2着8頭)という、少し不思議なデータもある。

 ※データ推奨馬
 ◎ブラックヘブン…大井所属、ハイセイコー記念優勝は昨年ソルテと同じ。父は売り出し中の新種牡馬パイロで、おそらくダートのマイル前後ベストだろう。好位から俊敏に動けるタイプ。鷹見厩舎は一昨年ゴールドメダルで優勝。

       ☆       ☆

 ◎ドラゴンエアル    吉原
 ○パンパカパーティ   左海
 ▲ブラックヘブン    有年
 △エイシンホクトセイ  桑村
 △リュウノファイト   森
 △ジュリエットレター  御神本
 △ファイヤープリンス  見沢
  キョウエイアドニス  山崎誠
  グレンデール     真島

 ドラゴンエアルの末脚に注目した。前走「ハイセイコー記念」2着。水の浮く道悪、それも先行馬ペースを追い込んだものだけに価値があり、終始理想的にレースを運んだ勝ち馬(ブラックヘブン)をインパクトの点でむしろ凌いだ。昨年ソルテ、インサイドザパークで一気にブレイクした、父タイムパラドックス。今後成長期にかかることは間違いなく、手応え以上に伸びるレースぶりからも本質的にパワー優先、混戦に強いイメージが浮かぶ。金沢から短期免許、早くも10勝をあげた(1月10日現在)吉原寛人騎手起用。今野J負傷の穴も十分カバーできると判断したい。中間ひと息入れたが乗り込み入念。浦和1600mなら好機に捲る作戦だろう。

 パンパカパーティは道営新馬勝ち。昨秋浦和・小久保厩舎転入後、軽々と2連勝を飾った。いずれも自然流の先行から直線独走。いかにも余裕残しの走りで、スピード、切れ、センス、すべてバランスよく備えた印象がある。父サイレントディールなら成長力の点でも文句なし。ホームで迎え撃つ利。ごく常識的には最も計算できる有力馬だ。▲ブラックヘブンはハイセイコー記念快勝後、GI全日本2歳優駿を経験した(7着)点が一つ強みか。道営2勝、ハッピースプリントとも好勝負があるエイシンホクトセイ、同じく道営出身、転入後2戦して水に慣れたジュリエットスターも流れしだいで脈が出る。以下、6戦3勝、器用なマイラーを思わせるリュウノファイト、前走JRA挑戦をバネにしてファイヤープリンス。

◆船橋記念回顧
(1月8日 船橋 サラ4歳上 別定 南関東SIII 1000m良)

 ○(1)ナイキマドリード    59秒5
 △(2)エーシンジェイワン   11/2
 △(3)リコーシルエット     3/4
 ◎(4)ハードデイズナイト    1
  (5)スマイルジャック     首
 …………………
 △(6)エンドスター
 △(7)ヤサカファイン
 ▲(10)ディープハント

 単440円  馬複980円  馬単1890円  3連複5190円  3連単20320円

 ナイキマドリードが見事な3連覇を達成した。船橋1000m=59秒5(過去9年中第7位)、自身昨年59秒0だけに、数字上の価値は微妙だが、それでも厳しい位置(4コーナー6番手)から馬群を割ったパフォーマンス自体、さすがの格と貫禄を感じさせた。「絶好のスタートが切れたけど、終いの爆発力を信じて直線に賭けた。前がうまくあいてくれた。このところ(自分の)ふがいない乗り方で負けていたからなおさら嬉しい」(川島正太郎騎手)。馬と同時に正太郎Jも3連覇。このコンビ、かつて「JBCスプリント」2着(22年・船橋)もあり、本来抜群に呼吸が合う。記者個人的には、同Jは身体能力と追う技術に優れ、短距離戦得意というイメージを持っている。

 ナイキマドリードはワイルドラッシュ×スイートテイスト(ソルトレイク)の8歳牡馬。通算46戦15勝、重賞は今回7勝目で、23年には交流GII「さきたま杯」も制している。生粋のスプリンターというよりマイラーにむしろ近い(1400m〜1600m・9勝)。ただ船橋1000mだけは相性がよく、前述JBC2着(優勝サマーウィンド)時は、良馬場とすると破格の58秒5をマークした。「オーナーの意向もあり、ずっと大事に使っている馬。今日のレースを見るとまだまだ活力が残っている。今年も適条件ならいい仕事ができると思う」(川島正行調教師)。いずれにせよ同馬は、南関東短〜マイラー成長株にとって、依然高い指標、ハードルであるということ。実績、賞金にかかわらず別定57キロの「船橋記念」は、むろんマドリード自身、来年も大きなターゲットになってくる。

 2着エーシンジェイワン。3番手キープから直線先頭、いったん完全に抜け出したところをマドリードにインから差された。転入初戦、いきなり遠征競馬を思えば上々の発進だろう。JRA5勝、父はBCスプリント勝ち。パドックでも威圧感あふれる馬体が目立った。3着リコーシルエットは格下(B3)ながら渾身の逃げ。初の古馬重賞挑戦で“壁”になりやすいパターンだが、今日は自分の“型”を持っている強みを100%発揮した。ハードデイズナイトは久々の左回りに戸惑ったか行き脚ひと息。直線外を伸びて上がり36秒7(メンバー中第3位)だから内容は合格点か。3キロ増、ふっくらした馬体も次走につながる。1人気に推されたディープハントは、追い上げた3コーナーで前が詰まり戦意喪失。次走どうリズムを戻すか。精神面(落ち込み)にやや不安を残す大敗ではあった。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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