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穴党を悩ませるスプリンターズS

  • 2003年09月29日(月) 19時02分
 私はふだん自分で買う馬券も公式に出す予想も、できるだけ穴寄りにしたいと思っている人間だが、穴寄りにしたくてもなかなかその術自体が無いということもある。スプリンターズSは、レースそのものの持つ傾向としてそういうところがある。

 かつて12月に行われていた頃には、マイルCSからというローテーションで臨む馬が多く、それだけに1600m→1200mの距離短縮というテーマが、レースに波乱性を持たせてきた。

 ところが秋口に移ると、番組の事情から「前走も1200m」というシェアの馬が多くなり、それに伴って前走好走馬がそのまま来てしまう傾向が強くなってしまった。

 唯一の例外は2000年のダイタクヤマトだが、同馬でさえ2走前には函館スプリントSで2着している。近いところに同距離での好走例はあったのだ。

 同じ年2着だったアグネスワールド(前走ジュライC1着)、3着ブラックホーク(前走セントウルS2着)、2001年2着の2着メジロダーリング(前走アイビスSD1着)、3着ダイタクヤマト(前走セントウルS2着)、そして昨年の1着ビリーヴ(前走セントウルS1着)、ショウナンカンプ(前走は函館スプリントS4着だが前々走は高松宮記念1着)…と、3着以内の馬は軒並み、前走か前々走でスプリント重賞連対を果たしている。

 実は12月以前にも似た傾向はあった。前2走ともスプリント重賞を大敗しながら本番で巻き返した馬はおらず、ソーファクチュアル(95年3着)、フラワーパーク(96年1着)、エイシンワシントン(同2着)、スギノハヤカゼ(97年2着)、アグネスワールド(99年2着)といった馬たちは、全て前述の条件を満たしている。

 つまり、今回穴を探そうにも前走スプリント重賞3着以下の馬は取り辛いということだ。しかし、そうなると他に有力候補はいるだろうか?前走が初スプリント戦だったアドマイヤマックスを「例外」とするか、連勝中のレディブロンドを抜擢するか、その辺りが選択肢になりそうだが、いずれにしても穴党にとっては頭が痛い。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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