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馬券の基本は「前から」

  • 2003年10月06日(月) 16時11分
 スプリンターズSはデュランダルが見事な追い込みを決めて優勝したが、馬券を買う側の論理だけで言うなら、「競馬は前から」が大原則である。特に、穴党は「逃げそう」というだけの理由でその馬を買い目に入れてもいいほどだ。

 脚質・戦法別成績を取ると、ほとんどのコースにおいて「逃げた馬(脚質としての逃げではなく、結果としてハナを奪えた馬)」の回収率は単複ともプラスになる。稀にならない場合でもどちらか片方(主に単)はプラスになるし、ならないとすれば相当な追い込み優位コースだ。

 この毎日王冠においても、これまで多くの逃げ馬・逃げた馬が馬券に貢献してきている。95年(スガノオージ・ドージマムテキ)、96年(アヌスミラビリス・トーヨーリファール)と連続して「行った行った」に近い結果となったこともあった。

 平成以降の成績をとっても、「逃げた馬」(2頭雁行の場合は両方ともカウント)の成績は(5-2-3-6)単勝回収率489%・複勝回収率236%と文句のない内容になっている。開幕週でもあるわけだし、「逃げそう」だけで重いシルシを打っても全くおかしくはない。

 今年の毎日王冠登録馬ではキングフィデリアとゴーステディが逃げ候補だが、この2頭は大きく性格が異なる。キングフィデリアはハナにこだわるわけではなく、逃げる時もタメ逃げの類。一方、ゴーステディは勢いよく行って後続を離すタイプの逃げだ。

 リスクとしては前者の方が小さく、事実ゴーステディは「歩いてしまう時」の負け方がハンパではないのだが、今回に限ってはゴーステディの方が魅力的である。

 なぜなら、ファインモーションがいるからだ。ファインモーションが強さを発揮する場合、「ちょっとだけ前にいる逃げ・先行馬」は簡単に捲られてしまう。「あんなに無茶な逃げ方をしてる馬を追っかけちゃいけないな」というムードにしてこそ、粘り込みのチャンスは生まれるのである。

 ゴーステディは無茶さ加減にだけは定評のある馬だけに、一発を期待したい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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