スプリンターズSはデュランダルが見事な追い込みを決めて優勝したが、馬券を買う側の論理だけで言うなら、「競馬は前から」が大原則である。特に、穴党は「逃げそう」というだけの理由でその馬を買い目に入れてもいいほどだ。
脚質・戦法別成績を取ると、ほとんどのコースにおいて「逃げた馬(脚質としての逃げではなく、結果としてハナを奪えた馬)」の回収率は単複ともプラスになる。稀にならない場合でもどちらか片方(主に単)はプラスになるし、ならないとすれば相当な追い込み優位コースだ。
この毎日王冠においても、これまで多くの逃げ馬・逃げた馬が馬券に貢献してきている。95年(スガノオージ・ドージマムテキ)、96年(アヌスミラビリス・トーヨーリファール)と連続して「行った行った」に近い結果となったこともあった。
平成以降の成績をとっても、「逃げた馬」(2頭雁行の場合は両方ともカウント)の成績は(5-2-3-6)単勝回収率489%・複勝回収率236%と文句のない内容になっている。開幕週でもあるわけだし、「逃げそう」だけで重いシルシを打っても全くおかしくはない。
今年の毎日王冠登録馬ではキングフィデリアとゴーステディが逃げ候補だが、この2頭は大きく性格が異なる。キングフィデリアはハナにこだわるわけではなく、逃げる時もタメ逃げの類。一方、ゴーステディは勢いよく行って後続を離すタイプの逃げだ。
リスクとしては前者の方が小さく、事実ゴーステディは「歩いてしまう時」の負け方がハンパではないのだが、今回に限ってはゴーステディの方が魅力的である。
なぜなら、ファインモーションがいるからだ。ファインモーションが強さを発揮する場合、「ちょっとだけ前にいる逃げ・先行馬」は簡単に捲られてしまう。「あんなに無茶な逃げ方をしてる馬を追っかけちゃいけないな」というムードにしてこそ、粘り込みのチャンスは生まれるのである。
ゴーステディは無茶さ加減にだけは定評のある馬だけに、一発を期待したい。