毎日王冠でファインモーションが負けた直後にこの原稿を書いている。
「人気がかぶり過ぎた時は黙って消し」という主義を持つ私は全く買っていなかったのだが、それにしても、想像以上の大敗だった。レースVTRを振り返ってもかなり乗り方が難しそうな印象で、やはり自分より弱い牝馬と戦うケースと、対牡馬戦を戦うケースでは事情が異なるようだ。
競馬は機械が走るわけではなく、アクセルを踏んだら伸び、ブレーキを踏んだら止まるというものでもない。そこが面白いところであり、馬券の上では怖いところなわけである。馬の持つ、「アテにならなさ」は競馬が含有するテーマとして、ある種永遠だ。
さて、機械ではないと言っておきながらこの原稿ではデジタルで物事を分析しなければならないのだが、種牡馬における「人気でのアテにならなさ」について、数字で見てみることにしたい。
というのも、秋華賞(そしてたぶん菊花賞でも)では上位人気をSS産駒が占めることになりそうで、しかもSS産駒といえば気性的に難しい要素を孕んでいるからだ。
今回の調査方法はこう。毎日王冠週は含まず、1993年以降の10年間強で平地オープン・重賞の1番人気に推された馬のうち、単勝オッズが1倍台だった馬について種牡馬別成績を採取する。
ちなみに、総合成績は勝率49.5%・連対率68.5%、単勝回収率76%・複勝回収率86%であり、これが評価の基準となる。
これに対し、いわゆる3強種牡馬の成績はこうなる。
馬名 (勝率−連対率−単回収−複回収)
・サンデーサイレンス (48.7%−64.6%−73%−82%)
・ブライアンズタイム (63.9%−77.8%−91%−95%)
・トニービン (56.7%−80.0%−89%−101%)
SS産駒は全ての指標で3強種牡馬中最低となっただけでなく、平均も下回った。差はわずかとお思いだろうが、単勝1倍台の馬だけが対象なので収束も早いと思われ、それだけにデータの信憑性は高い。
これがイコール「SS産駒はアテにならない」というわけではなく、「人気しすぎ」という可能性もあるが、いずれにしても馬券上はマイナスの要素だ。特に秋華賞は荒れるレースだけに、SSどうしの組み合わせは極力取らないように心がけてみたい。