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独特なハンデ重賞、アルゼンチン共和国杯

  • 2003年11月03日(月) 12時06分
 今週はG1の谷間、関東のメインはアルゼンチン共和国杯だ。

 同じG2でも毎日王冠あたりはその後のG1へ向けピリピリした感じがあるが、アルゼンチン共和国杯あたりはハンデ戦ということもあり、「G2らしいG2」の趣。どこかのんびりしたムードさえ漂っている。

 さて、ハンデ戦といえば、私がしつこいほどにあちらこちらで書き、そして喋っているのが「ハンデ戦は敢えて斤量の重い方から買え」だ。

 一般に、出走馬の実力差は現行の斤量帯では埋めることができず、勝率・連対率ベースでも回収率ベースでも重い斤量の馬を買うのが有利、という説である。

 中距離以上のレースにはかなりの度合いで当てはまる話なのだが、不思議と東京芝2500mで行われるハンデ重賞=目黒記念とアルゼンチン共和国杯ではこれが当てはまらない。

 過去10年(今年の目黒記念も含む)、牡馬・セン馬を対象に見てみると、連対率ベースでは「斤量の重い馬ほどいい」が当てはまる。しかし、回収率ベースでは波乱レースが多いこともあり、53キロ以上のあらゆる斤量帯で高回収率が見られる。

 しかも、いちばん回収率を稼いでいるのは53キロで、単223%・複144%となっている。41走を消化しての数字だから、それなりに尊重しなくてはならないだろう。

 ここで斤量を離れてもうひとつ明らかな傾向を出しておこう。年齢である。7歳以上は回収率が低いので3〜6歳を見ると、連対率ベースでは3歳が最上位・6歳が最下位と単調現象しているのに対し、回収率では5歳が最も高く、6歳の単回収率も158%と高い。

 以上をまとめると、まず軸にするには「若くして斤量を背負っている実績馬」がいいだろう。これ自体の期待値は高くないが、さりとて低いわけではなく、収束を早めるために有効な軸となる。

 期待値を高めるには、そこから「5歳・6歳で53キロかそれより少し重い斤量の馬」に流していけばいいのだ。付け加えるならこのレース条件は「前走オープン惨敗か、下級条件で連対」した馬の回収率も高いので、その条件にも当てはまるとなおよい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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