エリザベス女王杯は、スティルインラブ・アドマイヤグルーヴの両3歳馬が人気を集めそうな情勢である。
その背景にあるのは4歳世代の不振だ。この世代は早期引退馬や早熟傾向にあった馬が多く、年を越してからの成績が全く奮っていない。唯一、頼みの綱であったはずのファインモーションは今回回避予定だし、同馬も年明けは2戦して2敗。その結果、この世代は今年、芝1800m以上の重賞を1勝もしていないことになる。2着もファインモーションのクイーンSとテンエイウイングの中山牝馬Sしかなく、「失われた世代」といってもいいだろう。
4歳がダメとあれば残る選択肢は「3歳」「5歳」「外国馬」しかないわけで、そのため冒頭で書いたように3歳馬が人気になっているわけである。
ただ、その3歳世代も全幅の信頼を置いてよいかどうかは疑問だ。古馬開放されて以降、3歳馬の成績は[1-2-1-35]。3着は繰り上がりでのもので、実質的に馬券に絡んだ馬は39頭中3頭、しかもそのうち1番人気・2番人気が各1頭だから、馬券上の「うまみ」は全くない。
さらに、スティルインラブとアドマイヤグルーヴはまだ古馬との対戦歴がない。「展開に恵まれたオースミハルカがファインモーションに勝った」というあたりを物差しにする手はあるが、この人気が正しいという保証はない。
レディパステルが不調ということで5歳勢も雲行きがあやしいが、3歳勢に人気で水を開けられるくらいならローズバドあたりに◎を打つ手もあるだろう。ただ、脚質的にアタマは狙いづらく、3歳のどちらか→ローズバド、という馬単がメインになる。
その他では、アナマリーが面白い。ジリ脚タイプなので1着には狙いづらいが、レーティングが示すだけの実績は残してきている。「実は3歳世代のレベルがそう高くなかった」というシナリオになったケースでは、馬券に絡む可能性も高い。
いずれにしても、3歳馬だけの馬券を組むよりは5歳馬や外国馬を混ぜ込んだ方が期待値は高そうだ。そういう意味では「買い方のうまさ」が問われるレースでもある。