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3歳馬人気を信じるべきか?

  • 2003年11月10日(月) 17時26分
 エリザベス女王杯は、スティルインラブ・アドマイヤグルーヴの両3歳馬が人気を集めそうな情勢である。

 その背景にあるのは4歳世代の不振だ。この世代は早期引退馬や早熟傾向にあった馬が多く、年を越してからの成績が全く奮っていない。唯一、頼みの綱であったはずのファインモーションは今回回避予定だし、同馬も年明けは2戦して2敗。その結果、この世代は今年、芝1800m以上の重賞を1勝もしていないことになる。2着もファインモーションのクイーンSとテンエイウイングの中山牝馬Sしかなく、「失われた世代」といってもいいだろう。

 4歳がダメとあれば残る選択肢は「3歳」「5歳」「外国馬」しかないわけで、そのため冒頭で書いたように3歳馬が人気になっているわけである。

 ただ、その3歳世代も全幅の信頼を置いてよいかどうかは疑問だ。古馬開放されて以降、3歳馬の成績は[1-2-1-35]。3着は繰り上がりでのもので、実質的に馬券に絡んだ馬は39頭中3頭、しかもそのうち1番人気・2番人気が各1頭だから、馬券上の「うまみ」は全くない。

 さらに、スティルインラブとアドマイヤグルーヴはまだ古馬との対戦歴がない。「展開に恵まれたオースミハルカがファインモーションに勝った」というあたりを物差しにする手はあるが、この人気が正しいという保証はない。

 レディパステルが不調ということで5歳勢も雲行きがあやしいが、3歳勢に人気で水を開けられるくらいならローズバドあたりに◎を打つ手もあるだろう。ただ、脚質的にアタマは狙いづらく、3歳のどちらか→ローズバド、という馬単がメインになる。

 その他では、アナマリーが面白い。ジリ脚タイプなので1着には狙いづらいが、レーティングが示すだけの実績は残してきている。「実は3歳世代のレベルがそう高くなかった」というシナリオになったケースでは、馬券に絡む可能性も高い。

 いずれにしても、3歳馬だけの馬券を組むよりは5歳馬や外国馬を混ぜ込んだ方が期待値は高そうだ。そういう意味では「買い方のうまさ」が問われるレースでもある。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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