■ヴィクトリアマイル(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録26頭
【コース基本情報】東京芝1600m Bコース使用
※コースデータは2009年以降に行われた「牝馬限定戦」を集計対象としています
・コース回収率
[標準] 単勝76%・複勝79% 1着馬の75%以上が4番人気以内とわりと堅め
・馬連万馬券出現率
[高め] 18.4%(平均値↑6.0% 馬連平均配当8492円)
・枠番別複勝率(18頭立て)
[1枠〜3枠] 勝率 6.1% 連対率13.3% 複勝率21.7% 複回率109% 枠番値-0.1
[4枠〜6枠] 勝率 5.6% 連対率11.7% 複勝率16.1% 複回率116% 枠番値+0.4
[7枠〜8枠] 勝率 5.0% 連対率 8.4% 複勝率12.3% 複回率 48% 枠番値-0.3
→信頼度、回収率、枠番値ともに外枠が見劣る結果。やや割引が必要か。
・脚質別信頼度
先行>差し>逃げ>追込 混合戦の場合よりも前が残っている印象を受ける
・推定ラップ&タイム
[底力] 34.3-24.2-34.6=1.33.1 序盤から終盤まで一貫して速い厳しい流れ
Bコースに替わるが、コースデータ自体は
先週のNHKマイルC分析とほとんど変わらない。同じような解説を繰り返してもあまり意味はないので、今週は当コースにおける「牝馬限定戦」のデータだけを抽出して、分析を行っている。
まず言えるのが、混合戦の場合よりも波乱傾向が強まるということ。馬連万馬券の出現率だけで比較しても、コース全体では13.5%だったものが、18.4%まで一気に上昇している。1着馬に関しては人気サイドが強い条件なのだが、それでいて馬連平均配当は、8492円という高水準。頭は堅いのに配当が高いのだから、それだけヒモが荒れているのだ。
また、外枠に入った馬の成績が混合戦の場合よりも落ち込んでいるのも、気になるポイント。複勝率ベースの比較では、1枠〜3枠が21.7%に対して7枠〜8枠は12.3%と、じつに9.4%もの大差が出ている。枠番値や複勝回収率も格段に低く、割り引いたほうが正解。軸馬も、内枠〜中枠からチョイスするようにしたい。
基本的にはかなり「差し優勢」のコースだが、牝馬限定戦では先行勢の1着率が一気にアップ。混合戦の場合よりも差せない、と考えたほうがよさそうだ。もっとも、G1ともなれば厳しいペースになるし、先週のミッキーアイルのように最後まで踏ん張り通すのは、牝馬にはかなり難しいはず。牝馬限定戦のほうが少しだけ前が残りやすい、くらいの認識でいいと思われる。
【レース基本情報】ヴィクトリアマイル(G1) 過去8年
・レース平均配当
単勝1190円 馬連6873円 3連複4万2210円
・1番人気馬成績
[3-2-0-3] 勝率37.5% 連対率62.5% 複勝率62.5%
・3番人気以内馬成績
[5-3-2-14] 勝率20.8% 連対率33.3% 複勝率41.7%
・4番人気〜9番人気馬成績
[2-3-5-38] 勝率 4.2% 連対率10.4% 複勝率20.8%
・10番人気以下馬成績
[1-2-1-67] 勝率 1.4% 連対率 4.2% 複勝率 5.6%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 0% [先行] 37.5% [差し] 62.5% [追込] 0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 8.3% [先行] 37.5% [差し] 41.7% [追込] 12.5%
・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
[1枠〜3枠] 4-3-5-36 連対率14.6% 複勝率25.0% 枠番値+0.4
[4枠〜6枠] 3-2-1-42 連対率10.4% 複勝率12.5% 枠番値+0.3
[7枠〜8枠] 1-3-2-41 連対率 8.5% 複勝率12.8% 枠番値-0.7
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[01番〜09番] 4-5-5-58 連対率12.5% 複勝率19.4% 枠番値+0.4
[10番〜18番] 4-3-3-61 連対率 9.9% 複勝率14.1% 枠番値-0.4
・厩舎所属別成績
[美浦] 4-2-2-44 連対率11.5% 複勝率15.4%
[栗東] 4-6-6-75 連対率11.0% 複勝率17.6%
・年齢別成績
[4歳馬] 6-6-3-59 連対率16.2% 複勝率20.3%
[5歳馬] 2-2-3-33 連対率10.0% 複勝率17.5%
[6歳馬] 0-0-2-19 連対率 0% 複勝率 9.5%
[7歳上] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%
・前走距離別成績
[芝1200m] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
[芝1400m] 1-4-2-46 連対率 9.4% 複勝率13.2%
[芝1600m] 3-0-3-14 連対率15.0% 複勝率30.0%
[芝1800m] 1-2-3-43 連対率 6.1% 複勝率12.2%
[芝2000m] 1-0-0-5 連対率16.7% 複勝率16.7%
[芝2200↑] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
[ダート戦] 0-1-0-4 連対率20.0% 複勝率20.0%
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[距離延長] 1-4-2-50 連対率 8.8% 複勝率12.3%
[同距離戦] 3-0-3-14 連対率15.0% 複勝率30.0%
[距離短縮] 4-3-3-51 連対率11.5% 複勝率16.4%
・前走クラス別成績
[中央G1] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
[中央G2] 4-4-3-51 連対率12.9% 複勝率17.7%
[中央G3] 2-2-4-45 連対率 7.5% 複勝率15.1%
[OP特別] 0-0-0-7 連対率 0% 複勝率 0%
[条件戦] 0-0-1-7 連対率 0% 複勝率12.5%
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[牝馬限定] 2-6-5-86 連対率 8.1% 複勝率13.1%
[牡馬混合] 6-2-3-33 連対率18.2% 複勝率25.0%
・主要ステップ別成績
[マイラーズ] 2-0-1-8 連対率18.2% 複勝率27.3%
[阪神牝馬S] 1-4-2-41 連対率10.4% 複勝率14.6%
[中山牝馬S] 1-1-2-7 連対率18.2% 複勝率36.4%
[福島牝馬S] 0-1-1-33 連対率 2.9% 複勝率 5.7%
[上記以外R] 4-2-2-30 連対率15.8% 複勝率21.1%
・注目出走パターン
[買い] 前走芝マイル戦で4着以内(連対率30.0%、複勝率50.0%)
[買い] 前走で牡馬混合の重賞に出走(複勝率26.1%、複勝回収率125%)
[買い] 前走2着以内馬(複勝率27.9%、複勝回収率131%)
[全滅] 前走中央G1に出走(0-0-0-6)
[不振] 前走牝馬限定戦で3番人気以下かつ2着以下(0-3-1-56)
[不振] 前走阪神牝馬Sで6番人気以下(0-1-0-18)
[不振] 連闘〜中2週での出走(0-1-1-47)
[不振] 福島牝馬Sからのローテ(0-1-1-33)
[不振] 前走中央のレースで上がり順位2位以内(0-1-4-65)
[不振] ディープインパクト産駒以外の馬体重459キロ以下馬(1-1-2-54)
1番人気馬こそ[3-2-0-3]となかなかの結果を残しているが、それ以外の上位人気はそれほどアテにならない印象。4番人気〜9番人気の中穴ゾーンや、思い切って10番人気〜12番人気の大穴ゾーンを狙っていく手もありそうだ。脚質については、コースデータ分析の結果とほぼ同じ。「差し優勢ながら先行馬も残せる」といった認識で大丈夫だろう。
続いて枠番だが、こちらもコースデータとほぼ同じ傾向。1枠〜3枠の「内枠」が複勝率25.0%ともっとも信頼度が高く、枠番値も上々の数値。「内枠>中枠>外枠」の順番で有利になるという、競馬の基本に忠実な結果となった。また、関東馬が関西馬と互角以上に張り合っているというのも、このレースの特色といえる。
年齢別成績も、非常にわかりやすい。もっとも成績がいいのが4歳馬で、次いで5歳馬と、年齢が若い馬のほうが強いという傾向が色濃く出ている。あとは、前走距離別成績で、前走からの距離延長組が苦戦しているのも、ぜひ押さえておきたいポイント。阪神牝馬S組が主立ったところだが、過去に勝ち馬が1頭しか出ていないように、関連性が強いローテとは言いがたい。積極的に割り引いていきたいところだ。
あとは、牝馬限定G1の「定番」だが、牡馬を相手に戦ってきた馬のほうが強いというのも、データにクッキリとあらわれている。前走で牝馬限定戦に出走していた組と比較すると、その信頼度の高さは比較にならないほど。連対率も複勝率も2倍近いのだから、どちらを高く評価すべきかは明白である。
ニッチなところでは、前走での上がり3F順位が優秀だった馬が総コケに近い結果に終わっていることや、ディープインパクト産駒以外の小柄な馬がサッパリ走ってないというのも、このレースの特徴。ふるいにかけられるデータが多いレースなので、事前にしっかり取捨を行っておきたい。
【現在の馬場&血統情報】・現在の馬場
Aコース→Bコース。相変わらず大きなバイアスを感じないフラットな状況。
・天候予測
現在の雨も週末までには回復しそう。気温も高く良馬場前提で。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率11.8% 連対率23.7% 複勝率33.1%
・著者の注目血統
ディープインパクト産駒◎、ダイワメジャー産駒○、クロフネ産駒△、キングカメハメハ産駒△
先週のNHKマイルCもミッキーアイルが制したように、現在芝マイル戦線で無類の強さを誇るディープインパクト産駒。当然ながら当コースでもかなり強いが、それでも「強すぎる」というほどではなく、ダイワメジャー産駒やクロフネ産駒ならば互角に張り合えると見たい。
そしてレースの登録馬に目を移すと、そのほとんどがコース適性の高い種牡馬の産駒。判断が難しいのはゴールドアリュール産駒のフーラブライド、スズカマンボ産駒のメイショウマンボくらいのもので、じつはほとんどの馬がプラス評価になってしまう。つまり、母父は牝系まで精査するような血統派ならいざ知らず、ほとんどのファンは血統というファクターを気にする必要ナシということだ。
また、馬場についてもそれほど気を配る必要はなさそう。今週からのBコース替わりでどのように変化するかだが、現在は時計も全体的に速すぎず遅すぎず、通る場所によっての有利・不利もないという、きわめてフラットな馬場コンディション。ぜひ、このまま日曜日を迎えてほしいものである。
★総論×各論 東京芝マイルの適性が異様なほど高いホエールキャプチャに、いかにもこの父らしい末脚の鋭さを持つスマートレイアー、叩き良化型であるメイショウマンボ、ジャパンCでジェンティルドンナにハナ差まで迫ったデニムアンドルビーなど、なかなか悩ましいメンツが揃った今年のヴィクトリアマイル。面白いが、そのぶん非常に難しい。
当データ分析の結果も、上位からしてほとんど横並び。ハナ差でトップ評価となったのが、昨年の2着馬である
ホエールキャプチャだ。6歳という年齢や、前走での上がり3F順位が2位以内であることなど、気になるファクターはある。しかし、臨戦過程などはまさに「満点」であり、マイナスを補ってあまりある。
二番手に
ラキシスで、こちらはマイナス材料のなさが目立っている。中距離以上を主戦場としてきた馬だけにマイルという距離が不安材料だが、牡馬相手に2戦連続で健闘したという事実は、それ以上に高く評価すべきポイント。自在性や血統面もこの馬の強みで、初のG1タイトルをここで獲得する可能性も十分ありそうだ。
以下は三番手に
メイショウマンボ、四番手に
フーラブライドで、ここまでが上位評価組。以下は、デニムアンドルビー、ストレイトガール、ケイアイエレガントという評価順となる。人気の一角となりそうなスマートレイアーはこの次の評価順であり、このレースに関してはけっこう危なっかしいと見ている。また、ウリウリやエクセラントカーヴも、データからの評価はそれほど高くはならなかった。
人気薄での注目馬をあげるなら、六番手評価にあげたストレイトガール。高松宮記念3着からの距離延長でもあり強気にはなれないのだが、過去のレースぶりから「徹頭徹尾スプリンター」というタイプには思えず、距離延長にもアッサリ対応してしまう可能性を秘めている。イメージとしては、昨年の安田記念におけるロードカナロアに近い。
あとは枠番次第、オッズ次第だが、コースデータ的にもレースデータ的にも、ここは多少の紛れがあって当たり前。人気薄の取捨は、かなり丁寧に行うように心がけたい。
■京王杯スプリングC(G2・東京芝1400m)フルゲート18頭/登録25頭 昨年ようやくダイワマッジョーレが人気に応えたが、それまでは1番人気が豪快にコケまくっていた京王杯スプリングC。今年はトーセンラー、コパノリチャードのいずれかが1番人気に推されそうだが、この2頭でキッチリ決まるような結果はとても考えづらい。どちらかといえば、2頭とも飛ぶ可能性のほうが(個人的には)高いと思われる。
というのも、このレースは「前走で前に行っていた馬」が非常に弱いレースだから。昨年こそトライアンフマーチ、ガルボと前走で先行していた馬が馬券に絡んでいるが、1番人気馬が勝ったことも含めて、過去の傾向からは思いっきり外れている。前走先行勢=消し、くらいの開き直ったスタンスのほうが、好結果を呼び込めるレースである。
そして今年の登録馬に目を移すと、コパノリチャード、トーセンラー、クラレントの3頭がいずれも「前走4角4番手以内」という、信用できないパターンに該当。さすがに総コケまではないと思うが、それでも1コケや2コケならばありうる。思い切って人気薄から入って、人気馬を押さえつつ飛ぶのを願う──といったスタンスのほうがよさそうだ。
というわけで、ここは
インプロヴァイズ、
エールブリーズ、
シャイニープリンスの3頭を注目馬に。人気サイドでどれか1頭を選ぶなら、前走マイル戦出走組で東京実績もある
クラレントだ。かなり波乱含みのレースと見て、ブンブン振り回していきたい。
※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。