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相当な混戦、マイルCS

  • 2003年11月17日(月) 12時29分
 「難解な一戦」という言葉があり、まあたいていの場合馬券というのは難解なものなわけだが、それにしても今年のマイルCSは予想の付けづらいレースとなった。

 難しさのひとつの原因は「王様」がいなくなったことである。ニホンピロウイナーに始まりタイキシャトルまで、ほとんどの時期スプリント〜マイル路線には「王様」がいた。その取捨と相手の取り方だけを考えれば予想が組み立てられたわけである。

 ところが、1999年あたりからマイル路線は共和制に移行してしまったというか、断然たる存在はいなくなってしまった。しかも外国馬フェアリーキングプローンが勝ったり、万能度の高いアグネスデジタルが勝ったりすることで、話はますますややこしくなっている。

 逆に言えばそんな状況は穴党にとって追い風なはずなのだが、今年のマイルCSはさらに別な難しさが加わっている。「このコースを得意そうな馬」が少ないのだ。

 京都芝コースで3勝以上をあげている馬はサイドワインダーとテイエムサンデーだけ。

 しかも、トニービン産駒とサンデーサイレンス産駒全体の回収率ベースで京都芝1600m外回りコースの成績をとると、
            単勝  複勝
トニービン        28%  70%
サンデーサイレンス 69%  77%
と、トニービンの単以外は平凡な数値でしかない。単勝回収率は指標として複勝回収率よりは信頼性が低い(簡単に変動しやすい)だけに、トニービンで決め打ちというわけにもいかない。

 しかも、今回はSSとTBの産駒がやたらと多い。この2種牡馬以外から候補を探すとなると、フサイチコンコルドやタイキシャトルのようにサンプル不足の種牡馬か、トニービンと同様「単だけ高く、複が低い」というリンドシェーバーのような種牡馬しかいない。

 以上の状況だけを見ても、とりあえず「混戦である」ということだけは確かである。どうせここまでの混戦なら、わざわざ本命サイドの馬を買わず、中〜大穴にこだわる前提で考えた方がよいだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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