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函館芝1200m戦と斤量

  • 2014年06月17日(火) 12時00分


◆特に斤量が気になる函館芝1200m

 函館スプリントSになると私が毎年書いているのが「牝馬重視」「斤量の軽い馬重視」である。何年も同じことを書くのは気が引けるので、今年はちょっと切り口を変えてみようと思う。

 斤量は各馬の属性やハンデ戦の場合は実力によって決められているはずのもの。ただセックスアローワンスは距離を問わず一定だし、定量戦の重量もレース条件にいちいち沿っているわけではない。結果として、斤量差が効きすぎるということもありうるはずだ。

 サマースプリントシリーズ全体を通してそのような傾向はあるように思うのだが、中でも函館芝1200mでは斤量が気になる。

 まずは牡牝での2キロ差がどのくらい効いているか。期間内の、牡馬も出られるレースのみを対象に性別成績を調べると、以下のようになる(ただし函館2歳戦はセックスアローワンが無いので除く)。

表
 明らかに牝馬のほうが馬券的には良い。勝率や複勝率以上に回収率が伸びているので、それだけ穴を出していることも分かる。

 続いて3歳上戦における年齢別成績。

表
 これは5歳馬が良い数値を出してしまって評価が難しいところだが、回収率で4歳馬より3歳馬のほうが良いのは明らかだし、5歳馬に対して勝率や複勝率は優位。4歳馬に負けるのは降級馬がいることを考えると仕方ない。ちなみに、前走で3歳限定戦(未勝利からダービーまでいろいろあるが)に出ていた3歳馬に限定すると、回収率が単137%・複94%に達する。古馬の壁に対し、1200m定量戦で3キロ差というような斤量設定は、ちゃんと能力差を埋めてくれている印象だ。

最後に前走からの斤量増減。前走も今回も減量騎手の起用が無いケースを対象にすると、以下のようになる。

表
 こちらは差が小さいが、一応「今回減」が「今回増」を各指標で上回っているし、単穴も出している。別定とハンデの行き来によって生ずる斤量増減にも注目してみたい。

 以上を見ると、斤量差というよりは結局牡牝の差が大きいように見えるが、牡馬限定で見ても例えば3歳馬の健闘など上で紹介した傾向は似ている、牡牝を評価のメインにするにしても、「迷ったら斤量の軽い方」という尺度は持っておいてよいだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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