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中穴人気馬を徹底的に狙うべし!/函館記念

  • 2014年07月16日(水) 18時00分
■函館記念(G3・函館芝2000m)フルゲート16頭/登録23頭

【コース基本情報】函館芝2000m Bコース使用
・コース回収率
 [高め] 単勝100%・複勝89% 人気薄の勝率が意外なほど高いコース

・馬連万馬券出現率
 [高め] 16.0%(平均値↑3.6% 馬連平均配当7813円)

・枠番別複勝率(16頭立て)
 [1枠〜2枠] 勝率 9.0% 連対率19.0% 複勝率27.0% 複回率106% 枠番値+1.0
 [3枠〜4枠] 勝率 6.0% 連対率11.0% 複勝率20.0% 複回率 69% 枠番値+0.2
 [5枠〜6枠] 勝率 3.0% 連対率10.0% 複勝率14.0% 複回率 92% 枠番値-0.7
 [7枠〜8枠] 勝率 7.0% 連対率10.0% 複勝率14.0% 複回率 61% 枠番値-0.5
 ────────────────────────────────────
 [01番〜08番] 勝率 7.5% 連対率15.0% 複勝率23.5% 複回率 87% 枠番値+0.6
 [09番〜16番] 勝率 5.0% 連対率10.0% 複勝率14.0% 複回率 77% 枠番値-0.6
 →内枠である1枠〜2枠が突出した好成績。枠番値も高くきわめて有利。

・脚質別信頼度
 先行≧差し>逃げ>>>追込 勝ち負けには最悪でも中団の位置が必要

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 35.0-49.2-36.1=2.00.3 芝の中距離戦ながら前傾ラップが基本

 札幌競馬場のスタンド新設工事のため、昨年はロングラン開催となり、終盤では芝とは思えないタイムのレースが続出した函館の芝コース。これまでのレース結果を見るかぎり、今開催は「一昨年までのフツーの函館芝」であり、馬場もそこまで傷んでいない印象を受ける。いい状態でレースを迎えることができそうだ。

 まず驚かされるのが、意外に波乱傾向が強いということ。コース全体での回収率が単勝100%、複勝89%というのは非常に高い数値で、馬連万馬券の出現率も16.0%と高水準。馬連平均配当が7813円もあるのだから、万馬券が出やすくて当たり前である。順当決着傾向が強い北海道シリーズのなかでも、ちょっと異質なコースといえるだろう。

 オーバルなコース形態自体は札幌競馬場によく似ているが、コーナーの進入角度は函館のほうが大幅にキツめ。小回りなのでコーナー部分で加速しづらく、しかも最後の直線が短いので、自然と前残り決着が多くなる。馬場の内が荒れてきている状態ならともかく、今年くらいの馬場コンディションでは「内ラチ沿いを走れる先行勢」の優位は揺るがない。差し脚質や追い込み脚質を軸に買うのは、正直なところオススメできない。

 というわけで、脚質についてはハッキリと先行優勢。序盤から厳しいラップが刻まれるケースもありうるが「それでも前が残る」くらいに思っておいたほうがいい。瞬発力よりも持久力、スピードよりもパワーが求められるフィールドであり、末脚のキレに頼るタイプは割引が必要。洋芝実績の有無についても、しっかりチェックしておきたい。

【レース基本情報】函館記念(G3) 函館過去10年
・レース平均配当
 単勝902円 馬連6234円 3連複1万9962円

・1番人気馬成績
 [1-3-0-5] 勝率11.1% 連対率44.4% 複勝率44.4%

・3番人気以内馬成績
 [4-5-3-15] 勝率14.8% 連対率33.3% 複勝率44.4%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [5-3-6-40] 勝率 9.3% 連対率14.8% 複勝率25.9%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-0-47] 勝率 0% 連対率 2.1% 複勝率 2.1%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 11.1% [先行] 22.2% [差し] 55.6% [追込] 11.1%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 7.4% [先行] 40.7% [差し] 40.7% [追込] 11.1%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [4歳馬] 3-3-2-9 連対率35.3% 複勝率47.1%
 [5歳馬] 2-4-3-24 連対率18.2% 複勝率27.3%
 [6歳馬] 1-0-3-33 連対率 2.7% 複勝率10.8%
 [7歳↑] 3-2-1-35 連対率12.2% 複勝率14.6%
 ───────────────────────
 [5歳以下] 5-7-5-34 連対率23.5% 複勝率33.3%
 [6歳以上] 4-2-4-68 連対率 7.7% 複勝率12.8%

・性別成績
 [牡馬] 9-7-9-97 連対率13.1% 複勝率20.5%
 [牝馬] 0-2-0-5 連対率28.6% 複勝率28.6%

・牡馬斤量別成績
 [48〜51キロ] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [52〜53キロ] 0-2-1-13 連対率12.5% 複勝率18.8%
 [54〜55キロ] 4-2-3-39 連対率12.5% 複勝率18.8%
 [56〜57キロ] 4-3-5-32 連対率15.9% 複勝率27.3%
 [57.5キロ↑] 1-0-0-7 連対率12.5% 複勝率12.5%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 3-3-2-20 連対率21.4% 複勝率28.6% 枠番値+0.1
 [3枠〜4枠] 5-2-2-23 連対率21.9% 複勝率28.1% 枠番値+0.5
 [5枠〜6枠] 1-2-2-29 連対率 8.8% 複勝率14.7% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 0-2-3-30 連対率 5.7% 複勝率14.3% 枠番値-0.7
 ──────────────────────────────
 [01番〜08番] 9-5-6-42 連対率22.6% 複勝率32.3% 枠番値+0.4
 [09番〜16番] 0-4-3-60 連対率 6.0% 複勝率10.4% 枠番値-0.4

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-3-2-48 連対率 9.1% 複勝率12.7%
 [栗東] 7-6-7-54 連対率17.6% 複勝率27.0%

・前走距離別成績
 [芝1400m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1600m] 0-1-1-1 連対率33.3% 複勝率66.7%
 [芝1800m] 5-7-5-60 連対率15.6% 複勝率22.1%
 [芝2000m] 3-0-2-21 連対率11.5% 複勝率11.5%
 [芝2200m] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝2400m] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝2500m] 1-0-1-6 連対率12.5% 複勝率25.0%
 [芝2600〜] 0-1-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [ダート戦] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 ──────────────────────────
 [距離延長] 5-8-6-62 連対率16.0% 複勝率23.5%
 [同距離戦] 3-0-2-21 連対率11.5% 複勝率11.5%
 [距離短縮] 1-1-1-18 連対率 9.5% 複勝率14.%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 0-2-1-11 連対率14.3% 複勝率21.4%
 [中央G2] 1-0-2-10 連対率 7.7% 複勝率23.1%
 [中央G3] 3-0-2-14 連対率15.8% 複勝率26.3%
 [OP特別] 5-7-2-55 連対率17.4% 複勝率20.3%
 [条件戦] 0-0-2-11 連対率 0% 複勝率15.4%

・注目出走パターン
 [買い] 前走で中央重賞に出走の5歳以下馬(連対率31.3%、複勝率43.8%)
 [買い] 前走巴賞3番人気以内馬(連対率26.3%、複勝率36.8%)
 [買い] 前走巴賞出走の関西馬(連対率23.3%、複勝率30.0%)
 [不振] 前走2番人気以下の関東馬(0-2-2-44)
 [不振] ハンデ57.5キロ以上馬(1-0-0-7)
 [不振] 前走4番人気以下のハンデ56キロ牡馬(1-0-1-11)

 昨年も3連複2万馬券、3連単10万馬券での決着と、3年連続で波乱決着となった函館記念。単勝平均配当902円とアタマはそれなりに堅いのだが、これは2番人気や3番人気の健闘によるところが大きく、1番人気馬の信頼度は[1-3-0-5]とイマイチ。また、ヒモが「適度に」荒れるのも特徴で、10番人気以下馬は[0-1-0-47]と絶不調だというのに、4番人気〜9番人気の中穴ゾーンが異様なほど強いのである。

 脚質については「コースデータよりは差せる」という結果に。道中のペースが厳しいので当たり前といえば当たり前だが、それでも優勢というほどではない。4角10番手以下のポジションからでは[0-0-1-37]とまったく勝負にならず、4角をひとケタ順位で回るのは勝ち負けの必要条件。やはり、先行勢のほうが買いやすいとの結論となる。

 2011年や2012年のように高齢馬が上位を占めることもままあるレースだが、馬券の中心に据えるべきは、信頼度の高い5歳以下馬。6歳以上馬と比較すると、連対率ベースで15%以上、複勝率ベースでは20%以上もの大差が出ている。また、暑い時期の重賞でもあり、出走数の少ない牝馬が好成績を残しているのもポイントといえそうだ。

 きわめて重く受け止める必要があるのが、枠番別データ。コースデータにおいても1枠〜2枠が圧倒的好成績を残していたが、レースデータでは内枠有利の傾向がさらに加速している感がある。勝ち馬はすべて馬番1番〜8番であり、単純に内外を比較するだけでも、その差は歴然。回収率や枠番値も完全に「内>外」の図式なのだから、ふたケタ馬番に入った馬はかなりキツいと考えるべき。軸候補も必ず、ひとケタ馬番からチョイスしたい。

 ローテに関しては、巴賞組をどう扱うかがカギとなる。もっとも信頼できるパターンではあるのだが、出走数が多いのでベタ買いでは効率が悪く、ひと絞りが必要。注目出走パターンにあげた「巴賞3番人気以内馬」や「巴賞出走の関西馬」あたりは高確率で馬券絡みが期待できるので、ひとケタ人気であればしっかり押さえておこう。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きBコース。時計も標準で見た目にも荒れておらず、内枠&先行優勢か。

・天候予測
 週末にかけて天候が崩れそう。レース当日も多少の降雨があるかも。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率14.5% 連対率27.3% 複勝率36.4%

・著者の注目血統
 キングカメハメハ産駒◎、アグネスタキオン産駒△

 期間内の勝利数トップがキングカメハメハ産駒で、2位がシンボリクリスエス産駒というあたりが、いかにも洋芝。芝中距離の三羽ガラスであるディープインパクト、ハーツクライ、ステイゴールドの産駒は、いずれも「悪くはないが良くもなし」といった成績であり、少なくともプラス評価の対象とはならない。キレとパワーのバランスで、少しパワー方向に振った血統や配合のほうが相性のいい馬場である。

 昨年にしても「ゴールドヘイロー×ミルジョージ」のトウケイヘイローが1着で、2着のアンコイルドやアスカクリチャンも、血統の字面はかなり重め。昨年好走の2頭以外ではシングスピール産駒のアドマイヤタイシやキングカメハメハ産駒のゼロス、アグネスタキオン産駒のグランデッツァとリルダヴァルあたりが、血統面からの注目馬となるか。

★総論×各論

 昨年の好走馬であるアンコイルドとアスカクリチャンに、紅一点の3歳牝馬バウンスシャッセ、春には重賞で上位に食い込んだアドマイヤタイシとラブイズブーシェなどなど、いかにも函館記念らしい大混戦。現時点では、どの馬が上位人気になるかすら読めない。函館開催のフィナーレを飾るにふさわしい、かなりの好カードとなりそうだ。

 枠番による影響が非常に大きいだけに現時点での予想が難しいが、当データ分析からのトップ推奨は、昨年2着のアンコイルド。ハンデ57キロを背負う関西の5歳馬で、前走で巴賞に2番人気で出走と、函館記念を好走する上で必要な条件をしっかり備えている。海外遠征明けだった前走をひと叩きされて気配も上向きそうで、ここはぜひ昨年以上の結果を期待したい。

 二番手評価は、函館記念と相性イマイチの関東馬ながら、好走可能なプロフィルを備えているステラウインド。スタート直後にスッと好位へとつけられる競馬センスのよさは、このコースでは大きな武器となる。小回りにさえ適応できれば、今回も好走可能と見る。

 以下、三番手にゼロス、四番手にトウカイパラダイス、五番手ラブイズブーシェと、ここまでが上位評価組。押さえ候補については、シゲルササグリ、リルダヴァル、グランデッツァ、バウンスシャッセ、アドマイヤフライトまであげておきたい。頭数がいつになく多いのは、枠番によって評価を大幅に上げ下げする必要があるからだ。

 対照的に、人気を集めそうにもかかわらず評価が伸びなかったのが、アスカクリチャン、アドマイヤタイシ、ダークシャドウ、ナカヤマナイトの4頭。いずれも実績馬ながら、年齢やハンデ、ローテなどプラス評価となる項目が少なく、かなり割り引いて考えたほうがよさそうな感触である。以上の分析結果から、やはり今年も「中波乱」での決着となる可能性が大。「馬番1番〜8番かつ4番人気〜9番人気」という条件を満たす馬がいれば、そこからガツン!と勝負するのも面白いはずだ。

■函館2歳S(G3・函館芝1200m)フルゲート16頭/登録20頭

 昨年はクリスマス、プラチナティアラ、トーセンシルエットと、牝馬が上位を独占した函館2歳S。函館での過去10年を振り返っても、牡馬が[3-3-5-57]で連対率8.8%に対して、牝馬は[6-6-4-41]で同21.1%と、その差は歴然である。いちばん重要なのが「牝馬は人気薄でも来るが牡馬は人気でしか来ない」というレース傾向。人気薄を狙うなら、迷わず牝馬をチョイスすべきだ。

 騎手の乗り替わりが大幅な割引材料であることや、ソコソコ人気を集めた地方馬がキッチリ結果を残していること、前走でハナに行っていた馬や前走未勝利戦出走組の不振など、レース攻略のポイントはいくつもある。なかでも面白いのが、「前走で単勝1倍台の支持を集めていた馬がイマイチ」というデータだ。

 函館2歳Sでも人気を集めるパターンなのだが、集計期間内に勝った馬は1頭もおらず、信頼度も意外なほど低め。つまり、人気を集めそうなトウショウピストだが、じつは意外に危なっかしいのである。しかも同馬は牡馬でもあり、ここをアタマで買う馬券はビミョーな結果になりそうな印象を受ける。

 除外もあるので、好走が期待できそうな登録馬をズラッと並べておこう。上位評価組は、エンターザスフィアキッズライトオングランドポピークールホタルビティーズアライズの5頭。押さえでトウショウピスト、マイネルエスパス、マコトダッソーと、人気になりそうな牡馬3頭。

※コースデータ&血統データは2010年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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