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人気の一角を「消し」勝負で!/アイビスサマーダッシュ

  • 2014年07月30日(水) 18時00分
■アイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m直)フルゲート18頭/登録17頭

【コース基本情報】新潟芝1000m直
・コース回収率
 [やや低め] 単勝67%・複勝70% 人気薄は来るとしても2着以下の場合がほとんど

・馬連万馬券出現率
 [高め] 14.9%(平均値↑2.5% 馬連平均配当7741円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜3枠] 勝率 4.4% 連対率 7.9% 複勝率12.5% 複回率 59% 枠番値+0.1
 [4枠〜6枠] 勝率 6.6% 連対率13.5% 複勝率19.1% 複回率 76% 枠番値+0.1
 [7枠〜8枠] 勝率 6.4% 連対率13.8% 複勝率21.1% 複回率 72% 枠番値-0.3
 →外枠有利ではなく「内枠不利」が正しい認識。美味しいのはセンターか。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>差し>追込 差しも決まるが有利なのはやはり先行勢

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 21.7-32.5=54.2 2ハロン目が非常に速くラスト1ハロンは根性比べ

 コース全体の回収率は単勝67%、複勝70%とやや低めの水準なのだが、馬連万馬券の発生率は14.9%と非常に高いコース。これでも少し落ち着いてきたほうで、かつては「異常」といっても過言ではないほど、高配当が続出していた。順当に決まるか、さもなくば波乱決着という、両極端な結果が出やすいコースといえそうだ。

 一昔前には「外枠だけ買っていれば儲かる」とまでいわれていた新潟芝1000mだが、このところはそこまで極端に外有利ではないというのが実際の話。連対率や複勝率が高いのに枠番値がもっとも低いというのは、いまだに過剰人気となるケースが多いことを示している。内枠不利であるのは間違いないが、外枠を過剰評価するのは禁物である。

 レースの流れは前傾の完全なスプリント戦で、最後の1ハロンでは全馬がバテているような状態。イメージ以上に差せるコースではあるのだが、それでも前有利というのが短距離戦の鉄則だ。最も信頼できるのは「中枠〜外枠から前付けできる」タイプの馬で、後方からの一気の差しを期待するのは厳しい。

 2ハロン目が10秒を切るようなペースとなり、そこからも厳しい流れが続くコース。最後は「いかにバテないか」の持久力勝負となる。だからこそ差しが決まるのだが、そうそうバタッとは止まらないのが、重賞級のスプリンター。逃げ切りでの決着も十分にあると想定して、予想を進めるべきコースである。

【レース基本情報】アイビスSD(G3)過去10年
・レース平均配当
 単勝1619円 馬連5474円 3連複2万7897円

・1番人気馬成績
 [3-1-0-6] 勝率30.0% 連対率40.0% 複勝率40.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-6-1-18] 勝率16.7% 連対率36.7% 複勝率40.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [4-3-7-46] 勝率 6.7% 連対率11.7% 複勝率23.3%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-70] 勝率 1.4% 連対率 2.7% 複勝率 5.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 50.0% [先行] 20.0% [差し] 30.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 30.0% [先行] 30.0% [差し] 30.0% [追込] 10.0%

・年齢別成績
 [3歳馬] 2-1-2-10 連対率20.0% 複勝率33.3%
 [4歳馬] 3-4-2-13 連対率31.8% 複勝率40.9%
 [5歳馬] 3-3-4-35 連対率13.3% 複勝率22.2%
 [6歳馬] 2-2-2-34 連対率10.0% 複勝率15.0%
 [7歳↑] 0-0-0-42 連対率 0% 複勝率 0%
 ───────────────────────
 [4歳以下] 5-5-4-23 連対率27.0% 複勝率37.8%
 [5歳以上] 5-5-6-111 連対率 7.9% 複勝率12.6%

・性別成績
 [牡馬] 3-6-5-87 連対率 8.9% 複勝率13.9%
 [牝馬] 7-4-5-47 連対率17.5% 複勝率25.4%

・牡馬斤量別成績
 [52〜53キロ] 0-0-1-7 連対率 0% 複勝率12.5%
 [56〜57キロ] 3-6-4-75 連対率10.2% 複勝率14.8%
 [58キロ以上] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%

・牝馬斤量別成績
 [50〜51キロ] 2-1-1-3 連対率42.9% 複勝率57.1%
 [54〜55キロ] 5-3-4-43 連対率14.5% 複勝率21.8%
 [56キロ以上] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 1.9% 連対率 5.7% 複勝率13.2% 複回率 69% 枠番値+0.3
 [4枠〜6枠] 勝率 5.1% 連対率10.2% 複勝率11.9% 複回率 33% 枠番値-1.3
 [7枠〜8枠] 勝率11.5% 連対率21.2% 複勝率30.8% 複回率108% 枠番値+1.2

・厩舎所属別成績
 [美浦] 1-8-5-65 連対率11.4% 複勝率17.7%
 [栗東] 9-2-4-67 連対率13.4% 複勝率18.3%

・前走距離別成績
 [芝1000m] 2-2-2-10 連対率25.0% 複勝率37.5%
 [芝1200m] 7-8-6-95 連対率12.9% 複勝率18.1%
 [芝1400m] 0-0-1-6 連対率 0% 複勝率14.3%
 [芝1600m] 0-0-1-7 連対率 0% 複勝率12.5%
 [芝2000m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 1-0-0-15 連対率 6.3% 複勝率 6.3%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%
 [中央G2] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [中央G3] 5-4-0-37 連対率19.6% 複勝率19.6%
 [OP特別] 2-4-5-54 連対率 9.2% 複勝率16.9%
 [条件戦] 3-2-4-31 連対率12.5% 複勝率22.5%

・注目出走パターン
 [絶好] 4歳以下の牝馬(連対率43.8%、複勝率56.3%)
 [絶好] 前走4角をトップで通過(連対率34.6%、複勝率42.3%)
 [買い] 前走芝1000m戦出走馬(連対率25.0% 複勝率37.5%)
 [買い] 4歳以下馬(連対率27.0%、複勝率37.8%)
 [買い] 前走で最速上がりをマーク(連対率23.1%、複勝率38.5%)
 [不振] 中8週よりも長い間隔で出走(1-0-1-31)
 [全滅] 7歳以上馬(0-0-0-42)

 単勝1619円、3連複2万7897円という平均配当を見てもわかるように、波乱度は高めのレース。3番人気以内馬の勝率が16.7%と低いのも特徴で、過去10年のうち5回が7番人気以下の伏兵がアタマに突っ込んできている。中穴重視の姿勢で取捨を進めたほうが、好結果を呼び込めそうな印象だ。

 逃げ切りが非常に多いのも特徴で、勝ち馬は先行勢から出ることがほとんど。ある程度は前に行ける速力がないと、ここでの勝ち負けは難しいといえる。また、4歳以下馬が非常に強いのもポイント。トータル[5-5-4-23]で連対率27.0%、複勝率37.8%という信頼度の高さであり、若くて勢いのある馬を重視すべきだといえる。

 暑い真夏の重賞でもあり、牝馬の強さも目立っているところ。なかでも強いのが4歳以下の牝馬で、こちらはなんと複勝率50%オーバー! あとは、斤量が51キロ以下の牝馬も[2-1-1-3]で複勝率57.1%という、驚異的な結果を残している。若くてイキのいい先行力のある牝馬は、どんな人気薄でも必ず押さえておくべきだろう。

 次に枠番についてだが、コースデータとは違ってレースデータでは、露骨なまでに外枠有利。連対率や複勝率のみならず、回収率や枠番値でも圧倒的な差が出ている。なんだかんだで、やはり外枠は「買い」のようである。内枠に入った人気馬は、他に何かポジティブな材料でもないかぎり、信用しないほうがいい。

 あとは、前走でも芝1000m戦に出走していた馬が強いことや、前走で最速上がりをマークしていた馬が意外なほど好走すること、前走4角をトップで通過していた馬が超高信頼度であることなども、レース攻略の大きな武器となりそうなデータ。ポジティブな材料を持つ馬ならば、人気薄でも積極的に買いジャッジを下したい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開幕週で絶好の馬場コンディション。内枠でも問題はなさそうだが、どうか。

・天候予測
 週末まで降雨はなさそうで、気温は連日30度以上。パンパンの良馬場。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率6.1% 連対率15.8% 複勝率22.8%

・著者の注目血統
 ファルブラヴ産駒◎、アドマイヤコジーン産駒○、ディープインパクト産駒△、クロフネ産駒△

 開幕週で、しかも降雨の気配を感じない天気図。実際に降雨予報も週末まで出ておらず、パンパンの良馬場で究極レベルのスピード比べが行われそうだ。となると、レースデータで成績イマイチである内枠でも、意外にやれる可能性アリか。ラチを頼れる最内枠あたりは、外枠と互角に張り合えるかもしれない。

 血統面ではファルブラヴ産駒、アドマイヤコジーン産駒を高評価。とくにファルブラヴ産駒は、集計期間内[2-5-2-9]で連対率38.9%、複勝率50.0%という超抜級の信頼度を誇っている。実際にこのレースでも、エーシンヴァーゴウとフォーエバーマークが好走。そのコース適性の高さは群を抜いている。

★総論×各論

 登録がフルゲート以下というのもあり、現時点からでも人気が読みやすい、今年のアイビスサマーダッシュ。2走前に当コースで勝っているセイコーライコウが、新潟芝実績のよさも買われて、ここは人気の中心となりそうだ。あとはフォーエバーマーク、アースソニックあたりも上位人気の一角か。

 ところが、そのセイコーライコウがじつに危なっかしい。韋駄天Sでは中団から最速上がりで差して勝利をモノにしたが、これが新潟芝1000mに向く勝ち方かといえば、さにあらず。同じようなレースをして今回も勝てると考えるのは、楽観的に過ぎる。7歳牡馬というのも大きな割引材料で、ここはプラス材料よりもマイナス材料のほうが目立つ一戦。勇気を持って「消し」ジャッジを下したい。

 トップ評価は、昨年の2着馬であるフォーエバーマーク。気になるのは6歳という年齢くらいのもので、それ以外は血統から臨戦過程など、プラス評価となった項目のオンパレードだ。同じ人気馬でも、好走期待度は格段に高いと判断。ここも積極的な競馬で、勝利をもぎ取ってもらいたいものだ。

 僅差の二番手評価にフクノドリーム。このコースは初出走だが、51キロの最軽量で先行力も十分に備えている上に、まだ伸び盛りの3歳牝馬。古馬との初対戦だった前走でも、コンマ4秒差の5着に踏ん張っている。中穴人気になりそうなのも、このレースにおいてはプラス評価となる材料。けっして侮れない存在といえそうだ。

 あとは、アンバルブライベンバーバラも上位評価組。以下はアンゲネーム、アースソニック、リトルゲルダまでが押さえ評価となった。セイコーライコウを消すだけで馬券はかなり買いやすくなるだろうし、買い目の組み合わせ次第では高配当も狙えるはず。あとは、枠番を加味した上で最終的な判断を行いたい。

■クイーンS(G3・札幌芝1800m)フルゲート14頭/登録16頭

 スマートレイアーにキャトルフィーユ、ケイアイエレガントといったヴィクトリアマイル出走組に、前走マーメイドSを快勝のディアデラマドレ、巴賞を制してここに臨むアロマティコなど、こちらもかなり面白いメンバー構成。超人気薄が意外なほど馬券に絡む波乱度の高いレースでもあり、馬券的にもかなり楽しめそうだ。

 クイーンSは前走G1組が非常に強いレースで、該当馬はトータル[4-3-2-23]で連対率21.9%、複勝率28.1%と高い信頼度を誇っている。また、5歳以上馬が[2-6-5-48]という成績であるのに対して、4歳以下馬が[7-3-4-47]と大きく勝ち越しているのも、このレースの特徴だ。アタマで狙うなら4歳以下馬のほうがベターなのは、言うまでもない。

 あとは、昨年も紹介した「関東馬は人気で強く関西馬は穴で怖い」という法則を、今年もぜひ活用したいところ。今年は人気が関西馬に偏りそうだが、ケイアイエレガントやマーブルカテドラルがソコソコ人気に推されるようなら、関西馬とも互角以上に張り合える可能性アリだ。

 と言うわけで、人気サイドではケイアイエレガント、キャトルフィーユ、オツウ、スマートレイアーの4頭を。人気薄では、ケイティバローズ、サンシャイン、マコトブリジャールの3頭を注目馬にあげておこう。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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