「荒れる金杯」という言葉があるように、中山金杯というのはどうも素直には収まってくれないレースである。
その原因はいろいろあるが、本質的な力量差がないままハンデ戦として施行されることも理由のひとつではないかと思われる。
私はよく「ハンデ戦は敢えて斤量の重い方から買え」ということを書く。現代の競馬では斤量で実力差を埋めきることはできず(上限が低く抑えられているため)、相対的に実力馬が有利になるからである。しかし、中山金杯というのはその法則にあてはまらない。
正確にいうと、58キロ以上を背負わされるような本物の実力馬はそれなりに好走しているのだが、55.5〜57キロの馬が単複とも回収率が20%台というありさまなのである(集計は牡馬のみが対象)。
なぜこのようなことになるかというと、55.5〜57キロの斤量帯になったのべ34頭の牡馬のうち、3着以内に入った7頭は全て1・2番人気だったからである。1番人気は[3-1-1-1]、2番人気は[0-2-0-1]だから悪くないが、穴馬が全く馬券に絡んでいないので回収率が伸びない。
理由はいろいろあろうが、上がり馬が見込まれすぎてこの斤量になっているか、不振の続く馬の斤量が下がりきらずここにとどまっているか、いずれかのケースが多いのだろう。
なんにしても、本命党の方はこの傾向を逆手に取り、55.5〜57キロの牡馬が1番人気になったらそれを軸にすればよい。穴党はもっと上か下の斤量帯を物色し、そこにボックスの1頭として前述した対象馬を入れればいいと思う。
最後に成績から分かる明快な傾向をもうひとつ。前走オープン勝ちの馬は不振だが、前走オープン・重賞2着馬は成績がよい。これは前走に比べて斤量が上がるか上がらないかによるものだろう。一方で、前走条件戦勝ち馬も成績は比較的よい。「オープンの壁」を想定した斤量差が設けられる一方で、待ち受けるオープン定着組にそれほどの実力がないためであろう。