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ウィッシュハピネスが人気に応え逃げ切りV/エーデルワイス賞・門別

  • 2014年10月17日(金) 18時00分


◆ゴールドアリュールからまた1頭ダートのスター候補

 昨年はダートで3戦2勝という成績で臨んできた中央のフクノドリームが圧勝し、ほかにもう1頭中央勢には2勝馬がいた。2年前の中央勢はすべて1勝馬で、地元北海道所属馬がワンツーという結果。3年前はデビューからダートで2連勝という中央のシェアースマイルが1番人気にこたえて勝った。やはりキャリアが浅い中央馬でも、この時期ですでに2勝している馬は強い、というのが近年の傾向。

 今年の中央4頭はいずれも1勝馬で、しかもそのうち2頭がキャリア1戦という、やや手薄なメンバーにも思えた。しかしその中央4頭が1、2、4、5番人気という上位人気。理由として考えられるのは、地方競馬IPATの投票によって中央競馬のファンが投票する割合が増えたということがひとつ。もうひとつは、夏のJRA北海道シリーズで、昨年に続いて地方馬が1勝も挙げられなかったということもありそうだ。2013年以降で、地方所属馬が中央で勝ったのは、今年1月の京成杯でのプレイアンドリアルのみという、地方馬にとっては厳しい状況が続いている。

 そして勝ったのは、1番人気に支持されたウィッシュハピネス。しかしそのほかの中央馬は12着以下という結果。JRA北海道シリーズが終了しているこの時期は、美浦か栗東からの輸送となり、当たり前のことだが実戦経験も浅く、2歳牝馬ゆえの不確定要素も少なくない。ただ不確定要素ということでは輸送がない地元馬にもいえることで、掲示板に載った4頭の地元馬は8番人気以下の馬たちだった。

 そうした結果を演出した要因としては、前が止まらない馬場ということがあっただろう。ウィッシュハピネスが先頭に立ち、隣の枠のネガティヴがピタリと2番手。直後の好位に5〜6ほどがごっそりと固まり、ともすれば前が競り合う速いペースにも見えた。前半3Fの通過は34秒7で、稍重の馬場を考えれば、このレースとしては平均的なペース。勝ったウィッシュハピネスの上がり3Fは38秒2とややかかったが、2着に3馬身差をつける完勝。デビュー2戦目の前走、ダートで見せていた、逃げて直線突き放すという、同じように強いレースを見せた。ゴールドアリュールの産駒からまた1頭、ダートのスター候補が現れた。

 ネガティヴが2番手で粘るところ、好位を追走していた1頭、ジュエルクイーンが内から並びかけ、アタマ差交わしてのゴールで、前残りの結果。それゆえ、地方馬ではもっとも人気を集めた(3番人気)ステファニーランは、持ち味の末脚を発揮することができず9着。好スタートを切ったものの、11〜12頭ほどが一団で進む馬群の後方まで下げ、3〜4コーナーでは外に持ち出して追い込みに賭けたものの直線では伸びを見せられなかった。

 しかしステファニーランのお株を奪うかのような追い込みを見せた馬がフィーリンググーだった。フィーリンググーは、スタートであおって最後方からの追走。4コーナーでもほとんど最後方という位置取りから、画面には映らない大外を伸びてきて、3着のネガティヴに3/4馬身差と迫る4着に食い込んだ。勝ったウィッシュハピネスをはじめ上位馬の上がり3Fがいずれも38秒台のなか、フィーリンググーだけは37秒3というメンバー中最速の上がりは際立っていた。前半34秒7というペースを好位で追走して、2着3着に粘ったジュエルクイーン、ネガティヴにはもちろん見どころがあったが、前残りの馬場を1頭だけ追い込んできたフィーリンググーにも収穫のあるレースだった。南関東に遠征や移籍してきたときなどのために覚えておきたい1頭だ。

 あと触れておきたいのは、若手ジョッキーの奮闘だ。2着ジュエルクイーンの鞍上は阪野学騎手。もともと名古屋所属で、以前にも期間限定として門別で騎乗していたが、今年からホッカイドウ競馬に完全移籍。7月のノースクイーンC(ココロバ)で移籍後の重賞初制覇を果たすと、2週後の赤レンガ記念(トミケンヒーロー)も勝利。さらにブリーダーズゴールドジュニアC(オヤコダカ)と、今シーズンだけで重賞3勝を挙げる活躍。3着ネガティヴの阿部龍騎手は、今年で3年目。デビューした一昨年のエーデルワイス賞では、11番人気のピッチシフターを2着にもってきて驚かせた。昨年は北海道2歳優駿で3着(エイシンホクトセイ・10番人気)と、ダートグレードの大舞台で結果を残している。こうした若手騎手の活躍は頼もしい。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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