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比較的低い「東京新聞杯の壁」

  • 2004年01月26日(月) 16時56分
 オープンの壁とか重賞の壁という言葉がある。

 条件クラスがそれぞれ一定水準の馬だけで構成されているのに対し、オープンというのは理論上は実力青天井の世界である。それだけにオープン入りしてすぐ結果を出すことは難しいはずなのだが、実際にはレースによって事情が異なる。

 前走条件戦を走っていた馬でもすぐ好走できるレースがある一方で、重賞の壁を思い知らされることの多いレースもある。

 では東京新聞杯はというと、比較的「壁」の低いレースである。

 前走条件戦から東京新聞杯に向かった馬の成績は、平成以降[1-2-3-19]。前走1000万条件だった2頭を除けば、[1-2-3-17]で、連対率は13.0%だ。

 これは全馬ベースの連対率15.1%より少し低いのだが、前走準オープンで負けていた馬も含まれていることを忘れてはならない。前走準オープンを勝っていた馬に限れば成績は[1-2-3-8]で、連対率は21.4%。前走オープン・重賞で好走していた馬とそう変わらない水準になる。

 一方、前走準オープンで負けていた馬は3着以内も無いので、オープンの壁を越えるためには前走勝ちが条件だと言っていいだろう。

 さて、先ほどの「前走準オープン勝ち馬」だが、回収率ベースで見ると単勝58%・複勝91%となっている。もちろんこれだけでは買えないわけだが、東京新聞杯は全体的に本命傾向が強く、全体の回収率も低い。ちなみに、平成以降の全馬ベース回収率は単勝72%・複勝57%である。より信頼度の高い指標である複勝回収率を見る限り、昇級となる馬が少なくとも馬単2着付け・3連複の軸として魅力的なことはお分かりいただけるだろう。

 今年も何頭か「前走準オープン勝ち」の馬が登録しているが、いずれももともとオープン級の素質を感じさせていた面々であり、何らかの形で買い目に入れたいところだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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