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入ってきて放せ!と叫び、ゴールしてハーツ!と叫ぶ。

  • 2014年12月25日(木) 12時00分


ここで決めなきゃどこで決める!
たとえ大外に入ったとしても、ここで決めなきゃどこで決める!
っていうか、これで引退のようだから、もう他に決める場所はない!
とにかくここで決めるしかない!

最後の直線で投げることばはもう決まっている。

「放せ〜〜〜〜!!」

「差せ!」じゃない。
「放せ!」。

もっと正確に言うなら、
直線に入って、「差せ!」と少し叫び、直線半ばからは「放せ!」と連呼する。
そしてゴールして、「ブラボー!」と叫ぶ。

もし、万が一、
その状況が微塵も生まれなきゃ、
「バカ!」
と叫ばせてもらう。
「バカ! バカバカバカバカバカ、バカ〜〜〜〜〜〜!!」
とね。
もちろんバカとは己、自分自身を刺す叫び。
そこ(凡走)を読めなかった自分自身への悪態だ。
で、静かにうつ伏せに倒れ、そのまま1時間くらいじっとして、気持ちを静めて、クールダウン。
一時間くらいなのは翌日の東京大賞典で挽回しないといけないから。そうそうパンチドランクしてられないんであります。

もちろん声援対象馬はジャスタウェイ。

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ジャスタウェイを見ていると、ヴィクトワールピサと重なってしょうがない。
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ジャスタウェイのこの一年の成績を見ていると、ヴィクトワールピサの中期〜後期前半の成績を思い出さずにはいられない。
一部成績の入れ替え作業は必要だ。必要だけれど、自分には被りに被る。

ヴィクトワールピサの中期〜後期前半の成績
凱旋門賞       7着
ジャパンカップ 8人気3着
有馬記念    2人気1着
中山記念    1人気1着
ドバイワールドC   1着

「中山記念〜ドバイワールドC」を凱旋門賞の前に配置させてみる。
中山記念    1人気1着
ドバイワールドC   1着
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凱旋門賞       7着
ジャパンカップ 8人気3着
有馬記念    2人気1着

お〜〜〜! ジャスタウェイっぽい!

ジャスタウェイのこの1年の成績
中山記念    2人気1着
ドバイDF      1着
安田記念    1人気1着
凱旋門賞       8着
ジャパンカップ 3人気2着
有馬記念

ん〜〜〜ヴィクトワールピサっぽい!

このサンプリングだけで十分だ。
ジャスタウェイは有馬記念を1着せずにはいられない!
いられないでしょう!

ポイントは中山記念か?
ヴィクトワールピサは、0.4差で中山記念を圧勝するような馬だった。
ジャスタウェイは、中山記念を0.6差で圧勝した。

中山1800で、圧勝する競馬ができて、ロンシャン2400を7,8着できて、東京2400を好走する力があれば、中山2500で勝ち負けできるのではないか? そんな想像がヴィクトワールピサを通して描ける。

実際、ジャスタウェイのジャパンカップの走りは、上々で、凱旋門賞の敗戦ショックは感じられなかった。むしろ1人気のジェンティルドンナをマークしすぎて、仕掛けが遅れたようにも見えた。
コメントでは「完璧」な競馬だったようだけど、1人気をマークして、その1人気を打ち負かすという意味で完璧だっただけで、勝負するという意味ではまだ余力があったようにも思えた。

つまり、ジャスタウェイは有馬記念で1着せずにはいられない流れの真っ只中にいると思うわけだ。

心配な点は、福永騎手では1人気で勝ったことがない点か。安田記念を1人気で勝ったけれど、鞍上は福永騎手ではなく、柴田の善さんだった。
ちなみにヴィクトワールピサは1人気で、6-1-1-0だった。

それでも、たった一度でもG1を1人気で勝った意味は大きい。
っていうか、だからこそ、有馬記念では1人気に支持されるべきとも思っている。

1人気になることで、背中を押されることもある。
1人気には1人気の競馬があって、そういう状況下に追い込まれることが必要なときもあると思うからだ。

ジャスタウェイのここ1年の走りを見る限り、1人気の競馬で力が発揮できない馬には思えない。
理由は、千切る競馬のできる馬だからだ。千切る競馬はできそうで、できない。新馬や未勝利ではときどきあるけれど、それは千切ったというよりレベル差で相手が勝手に遅れたとも言える。G1レベルで千切る競馬ができるということは、ポテンシャルが高いだけでなく、抜け出して、1頭で先頭になっても加速できるということだ。

福永騎手はジャスタウェイを1人気で勝利に導いたことはないけれど、ド派手に勝ったことは2回もある。それもG1で。

ジャスタウェイのド派手ランキング
1位 ドバイデューティーフリー 6馬身差 福永
2位 天皇賞秋 4馬身 福永
3位 中山記念 3馬身1/2 横山典

それゆえに、掛け声は差せ!ではなく、放せ!

突き放す競馬を見せていただきたいんであります。

そういう競馬を余すところなく見せていただくのに「1人気」は必要なツールではないか? 今回にかぎってはそう思う。それゆえに1人気に押し出されちゃえ!なんであります。

放せ!放せ!突き放せ!
そういう構えでいる以上は、馬群に沈むようなものなら、バカ!バカバカバカバカ、バカ〜〜〜!!
と叫ばすにはいられないんであります。

何度も書くけど、これは馬に浴びせる悪態ではない。
その凡走を読めなかった自分自身に浴びせる悪態だ。ダメだったときは、自分で自分にとどめを刺して、一時間ほどうつ伏せているつもりだ。

直線に入って、放せ!と叫び、ゴールしてブラボー!と叫ぶ。
そういう競馬を願っています。

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有馬記念、もはや1着せざるをえない馬
ジャスタウェイ
だから差せではない。放せ〜〜!
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今年は枠番ドラフトがあるから、今の予想オッズが枠番次第で、一変するかもしれない。
初めての枠番ドラフト。初めてのテレビ中継。おそらくかつてないほどに枠番にスポットが当たるはず。今まで枠をさほど気にしてなかった人でも、今回はその情報をいやでも目にするはず。
今人気のない馬が内枠を引いて、評価をあげたり、今人気のある馬が大外に入って、評価を下げたり……。うは。

ヘタすると、内枠から順番に人気になったりして、うひょ。趣味・オッズ鑑賞の自分にはたまらないシチュエーションだ。

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有馬記念・オッズ鑑賞用参考文献
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競馬王1月号を読んでいただいた方は承知と思いますが、有馬記念のオッズ的な面白さは「奥オッズ」の頑張りにある。
天皇賞秋の当コラムで「バカオッズ(0オッズ)」について書いた。でも、それはあくまでも天皇賞秋の特徴であって、有馬記念はまた別だ。
ちなみに富士Sは「美オッズ」で、ほんとうにうっとりするほど美しくて、美味しい。

とにかく奥。有馬は奥の層にいる馬が大好評、絶賛だいたい稼働中だ。
以下はここ10年の1着〜5着までの馬の単オッズ。
奥(単30倍以上〜100倍未満)の馬が頑張っている様子を書き出してみた。

2013有馬記念
1着オルフェーヴル 1.6 1人気
2着ウインバリアシオン 16.1 4人気
3着ゴールドシップ 4.4 2人気
4着ラブイズブーシェ 63.7 12人気 奥 惜しい!
5着タマモベストプレイ 113.7 16人気 奥秩父!

2012 
1着ゴールドシップ 2.7 1人気 
2着オーシャンブルー 27.6 10人気
3着ルーラーシップ 3.7 2人気
4着エイシンフラッシュ 10.0 3人気
5着スカイディグニティ 16.7 7人気 

2011
1着オルフェーヴル 2.2 1人気
2着エイシンフラッシュ 26.8 7人気
3着トゥザグローリー 47.1 9人気 奥! やったー!
4着ルーラーシップ 52.9 11人気 奥! 超惜しい!
5着トーセンジョーダン 9.2 3人気

2010
1着ヴィクトワールピサ 8.4 2人気
2着ブエナビスタ 1.7 1人気
3着トゥザグローリー 75.9 14人気 奥! やったー!
4着ペルーサ 8.9 3人気
5着トーセンジョーダン 20.0 7人気

2009
1着ドリームジャーニー 4.0 2人気
2着ブエナビスタ 3.4 1人気
3着エアシェイディ 32.0 11人気 奥! やったー!
4着フォゲッタブル 9.6 4人気 
5着マイネルキッツ 33.2 12人気 奥! 頑張った!

2008
1着ダイワスカーレット 2.6 1人気
2着アドマイヤモナーク 90.2 14人気 奥! ビックリした!
3着エアシェイディ 36.1 10人気 奥! やったー!
4着ドリームジャーニー 24.1 7人気
5着スクリーンヒーロー 6.4 3人気

2007
1着マツリダゴッホ 52.3 9人気 奥! やったー!
2着ダイワスカーレット 8.1 5人気
3着ダイワメジャー 15.2 6人気
4着ロックドゥカンブ 7.5 4人気
5着ポップロック 5.0 2人気

2006
1着ディープインパクト 1.2 1人気
2着ポップロック 31.1 6人気 奥! やったー!
3着ダイワメジャー 15.1 3人気
4着ドリームパスポート 13.1 2人気
5着メイショウサムソン 21.4 4人気

2005
1着ハーツクライ 17.1 4人気
2着ディープインパクト 1.3 1人気
3着リンカーン 34.0 6人気 奥! やったー!
4着コスモバルク 85.3 10人気 奥! おしん!
5着コイントス 207.3 16人気 奥秩父!

2004
1着 ゼンノロブロイ 2.0 1人気
2着 タップダンスシチー 8.8 3人気
3着 シルクフェイマス 27.3 9人気
4着 ダイタクバートラム 11.2 5人気
5着 デルタブルース 8.9 4人気

10年で7回、8頭の奥の馬が馬券に絡んでいる。
1人気は10年で9回馬券になっている。

もう、これだけでちょっとした馬券術の完成だ。
1人気から、奥の馬にワイド。
これだけで10年で6回的中だ。

単25倍以上を有馬記念限定で「奥」として認定してしまえば、1人気との組み合わせで、10年で8回的中することになる。

もちろん奥の馬は1頭ではない。数頭いる(だいたい5、6頭)。だから場合によっては絞り込みも必要かもしれない。ただ5、6頭から穴を探すのは簡単とは言わないけど、難儀な作業とも思わない。むしろ吟味するのにちょーどいい数とも言える。

抽選会前の予想は参考にならないかもしれないけど、あくまでも例として、
水曜日夕方の予想オッズで解説すると、こうなる。

奥(30〜100倍未満)の馬
9人気 トゥザワールド 30.6 池江厩舎・外国人
10人気 トーセンラー  31.3 藤原英厩舎
11人気 ラキシス    47.0 角居厩舎・外国人
12人気 サトノノブレス 56.8 池江厩舎
13人気 フェイムゲーム 80.6 除外対象

もし、仮にフェイムゲームを除いた4頭が本当にこの位置にいたとしたら、自分はもう絞らない!
この4頭から1人気にワイドと馬連を取りあえず買ってしまう。
それくらい魅力的な4頭だ。

池江厩舎は現在5年連続馬券圏内に馬を送りこんでいる。しかも人気薄でも3頭送り出している。トゥザワールドもいいけれど、サトノノブレスだって見限れない。
藤原英厩舎のトーセンラーは京都大賞典→マイルチャンピオンを勝った。逆もまた真なり。藤原英厩舎なら、マイルチャンピオン→有馬記念も容易くやりとげてしまいそうだ。
池江厩舎と角居厩舎の外国人配置は抜群に上手い。それだけでこわい。

上記4頭が本オッズでもここにいるとは思えないけれど、枠順次第では、何頭かいてもおかしくない。っていうか、予想とはいえ、上記のような馬がナイガシロにされる、もしくは引き出されてしまうのも有馬記念だからだろう。奥の馬が、ただ奥にいるだけで走ってしまう理由もそこにあるのかもしれない。

あ〜枠番抽選が楽しみだ(このコラムがアップされる時間に枠番抽選会ははじまる)。
はたして、どのような空気が生まれるのか? そしてその空気がどうオッズに反映されるのか?
今年も、いや今年は例年以上に有馬記念のオッズ鑑賞が楽しみでしょうがない。

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有馬記念注目馬
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1着で期待 ジャスタウェイ
オッズで採集 奥の馬

まだわからない ワンアンドオンリー

ワンアンドオンリーは神戸新聞杯を1人気で1着した。
(神戸新聞杯が今の条件になって以後)、
神戸新聞杯を1人気で1着した馬が菊花賞に進むと自動的に1人気になって、みんな勝っていた
神戸新聞杯を1人気で1着した馬が天皇賞秋に進むと馬券圏内で好走していた。

そう、神戸新聞杯を1人気で1着する馬は強い馬という認識だった。
しかしワンアンドオンリーは菊花賞で1人気になって、9着に負けた。神戸新聞杯で負かした2着馬、3着馬は菊花賞で2着、1着だから、決して相手が弱かったわけではない。

だからずっと気になっている。
神戸新聞杯でのあの強さはなんだったのだろう。

神戸新聞杯 14-14-13-4 1着(16頭立て)
菊花賞    7-7-5-6   9着

この闘い方はディープインパクトの闘い方にそっくりだ。

ディープインパクト
神戸新聞杯 12-12-11-5 1着(13頭立て)
菊花賞    7-7-7-7   1着

ディープインパクトっぽい攻め方をして、神戸新聞杯では成功したけれど、菊花賞では成功しなかった。
言うまでもなく、ワンアンドオンリーはディープインパクトではないし、ディープインパクトほどのスーパーホースでもない。だけど、百戦錬磨の横山典騎手が何の手応えもなくディープインパクトっぽいレースをするのだろうか?(たとえディープを意識してなくて、結果的にそういう乗り方になっただけだとしても、意味があると判断)
(菊花賞のパドックでワンアンドオンリーは発汗が酷かったというのは、主旨と違うからここでは置いておく)

ワンアンドオンリー 
阪神3-1-0-0
京都0-1-0-1

もしかしたら、時計の速い馬場は苦手なのかもしれない。

ダービー  2:24:6 1着
神戸新聞杯 2:24:4 1着
ジャパンC 2:24:2 7着

こう考えるとレコード決着だった菊花賞で負けたことも、2:23:1で決着したジャパンCで負けたことも納得できるし、力が衰えているわけでもないこともわかる。

中山では弥生賞2着、皐月賞4着と勝利はない。
けれど、両レースともに上がりは1位だった。

だからまだわからない。
ワンアンドオンリーは中山では上がりのレベルが上がってくる可能性があるからだ。
レベルとはもちろん、速さのことではない。東京、京都より時計のかかる中山だから発揮される上がりの強さのことだ。その強さが結果的に中山での上がりの速さにつながると言えばいいだろうか。

そして、その強さが有馬記念で如何なく発揮されたら………
うむ、まだわからない。

結局、注目馬はジャスタウェイとワンアンドオンリーになってしまった。どっちもハーツだ。

おしまいはハーツ。それも悪くない。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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