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伝統か世代か。人気馬か大穴か。突撃か休息か。カツ丼か七草がゆか。

  • 2015年01月15日(木) 12時00分


今年は暮の有馬記念からほぼ休むことなく新年の金杯を迎えた。しかも金杯の週は日・月開催で、中4日で翌週の競馬を迎え、しかもそれが三日間開催だった。
一気に駆け抜けた感じだ。

年が明けて、7日目の朝食に食べる七草がゆには、その年の無病息災を祈るだけではなく、正月の祝飲祝食などで疲れた胃を休める目的もある。
その風習を競馬に当てはめるなら、今年の七草“馬券”がゆは今週末あたりかな?
よし、決めた! 今週は胃を休め、静かに馬券を買うことにしよう。

まあ勝負事、賭け事には気の流れみたいなものもあって、その流れを掴めている人には休息は必要ない。むしろ今週も駆け抜けるべきだ。勝てるときに勝ち切ることはひじょ〜に大事だからだ。乗ってる戦士には休息はいらない。カツ丼一丁!
しかし、幸いなことに(?)自分は先週月曜のフェアリーSを胃に疲れが出る感じで外した(ディープ産を2連系馬券で買って、2着・3着でドボン!)。胃と書いたけれど、正確には背骨だ。自分はギリで外すと背骨が折れそうになるタイプだからだ。

今週の重賞は京成杯と日経新春杯。
この両重賞は、傾向がはっきりしていて、自分からドタバタしなければ、散らからない整理しやすいレースだ。七草がゆるには持って来いだ。

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京成杯は2択の七草・1人気か2人気を軸にすれば、超だいたい当たる…
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基本的には1番人気か2番人気を大事にするレースだ。
→1番人気か2番人気、どちらかがこの12年で11回連対。
→例外は雪で一週延びた13年のみ(1人気10着、2人気5着)。

ただし1番人気、2番人気での決着はこの12年で1回のみ。
「1番人気!!!」ならば「2番人気???」
「2番人気!!!」ならば「1番人気???」
2連レベルでは、どちらかを大切にし、どちらかをないがしろにすることが馬券効率をあげそう。うむ、適度な刺激もあって、馬券的エキサイティングさも残っていて、いい。

1番人気成績(4-3-2-3)
2番人気成績(4-1-1-6)
安定の1番人気、勝ちか着外の2番人気といったところか。

つまり京成杯は、お天道様を見上げて、ごくふつうの冬空だったならば、1人気か2人気をチェックし、天の神様の言う通りに軸を選んでもほぼ50:50(フィフティー:フィフティー)で当たるレースというわけだ。
うむ、楽ちんだ。
2択でいいなんて、疲れた胃にやさしい。ありがとう、いい薬です。

つまり、それはアプローチ次第では、50:50を60:40、80:20、95:5くらいにまで精度をあげられるということだ。
言うまでもなく自分は天の神様の言うとおりには動けないタイプだ。胃を休めながらもガヤガヤとニギニギとしてみたい。

1・2人気馬はなんだろう。

予想
1人気 クラージュシチー 3.8
2人気 ベルーフ     3.9
3人気 ソールインパクト 4.6
4人気 ブラックバゴ   4.7

ムムム…。けっこう混戦だ。
この4頭で人気を争いそう。
1人気で予想3.8、4人気で予想4.7。
差は0.9。
この0.9に4頭がひしめき合っている。
週中の予想といえども接戦感いっぱいだ。

そういえば、今年の世代は重賞で1人気馬がなかなか勝ち切れない世代だった。
朝日杯FSで1人気のダノンプラチナがようやく勝ったけれど、2着には14人気のアルマワイオリが突っ込んで来た。この世代は人気薄も平然と突っ込んで来るんだった。

フェアリーS 左から1着・2着・3着(以後同)
11人気ノットフォーマル・8人気ローデッド・3人気テンダリーヴォイス

シンザン記念
2人気グァンチャーレ・9人気ロードフェリーチェ・3人気ナヴィオン

ホープフルS
2人気シャイニングレイ・8人気コメート・9人気ブラックバゴ

朝日杯FS 
1人気ダノンプラチナ・14人気アルマワイオリ・3人気クラリティスカイ

阪神JF 
5人気ショウナンアデラ・2人気レッツゴードンキ・4人気ココロノアイ

京都2歳S
6人気ベルラップ・2人気ダノンメジャー・5人気シュヴァルグラン

東スポ杯 
4人気サトノクラウン・1人気アヴニールマルシェ・9人気ソールインパクト

デイリー杯 
5人気タガノエスプレッソ・2人気アッシュゴールド・1人気ナヴィオン
 
京王杯   
11人気セカンドテーブル・4人気サフィロス・1人気ニシノラッシュ

ファンタジーS 
14人気クールホタルビ・1人気ダノングラシアス・3人気ウインソワレ

アルテミスS 
9人気ココロノアイ・1人気レッツゴードンキ・11人気トーセンラーク

いちょうS 
4人気クラリティスカイ・2人気ネオルミエール・3人気ミッキーユニバース

小倉2歳 
15人気オーミアリス・1人気レオパルディナ・2人気スノーエンジェル

札幌2歳 
5人気ブライトエンブレム・11人気マイネルシュバリエ・7人気レッツゴードンキ

新潟2歳 
3人気ミュゼスルタン・1人気アヴニールマルシェ・6人気ニシノラッシュ

函館2歳 
4人気アクティブミノル・11人気タケデンタイガー・2人気トウショウピスト

1人気 1-5-2-8
2人気 2-4-2-8

1人気が勝ちきれてないのがわかる。
今週も、上位人気が拮抗するなら、よくて2着ではなかろうか?

しかも10人気以下の馬が8頭も馬券になっている。9人気の馬も入れたら12頭だ。
上位人気と下位人気の実力差がそれほど開いてないのもわかる。

京成杯の1人気か2人気が、それでも強い磁力を持っているのならば、どちらかは連対するはず。
それでもこれだけは言える。
今年1人気になるのはソンだ。
京成杯の傾向と世代の傾向と上位人気接戦の状況を加味すると、ソンとしか言いようがない。
押し出され感が剥き出しだ。
もはや2人気でいいように思える。
ただその2人気がよくわからない。締め切り数分前まで変動するように思えてならない。

1人気 クラージュシチー 3.8
2人気 ベルーフ     3.9
3人気 ソールインパクト 4.6
4人気 ブラックバゴ   4.7

これならば、予想3人気のソールインパクトや4人気のブラックバゴを買いたくなる。
もしこの2頭が京成杯で走る運命にあるならば、2人気に押し上げられるはず。

この4頭は騎手の被りが多いのも見逃せない。

クラージュシチー 柴田善→菱田→戸崎→「菱田」
ベルーフ     川田→ブドー→「川田」
ソールインパクト 蛯名→福永→「戸崎」
ブラックバゴ   北村宏→川田→戸崎→「蛯名」

戸崎はクラージュシチー、ブラックバゴに騎乗経験があるけれど、今回初騎乗のソールインパクトに騎乗する。ホープフルSでブラックバゴに騎乗し(3着)、ソールインパクトに先着した(4着)。にも関わらずソールインパクトに騎乗する。

蛯名はソールインパクトに2回騎乗したことがあるけど、今回は初騎乗のブラックバゴに騎乗する。

川田はブラックバゴに騎乗経験があって、今回は騎乗経験のあるベルーフに騎乗する。

馬の選択は、騎手自身がすべて決めるわけではない。事情や都合が付きまとうことはわかっている。それでも単純に考えると、川田と戸崎が騎乗しないブラックバゴと戸崎が騎乗しないクラージュシチーと蛯名が騎乗しないソールインパクトには何かが足りないようにも思えてしまう。
ならば、川田が再騎乗するベルーフでいいじゃないか! そんな気になる。

ただそのベルーフも川田は一度ブドーに渡している。クラシックを狙える逸材をそう簡単に手放すはずはない。いろいろ事情はあるにせよ、川田のベルーフへのこだわりが特別強いとは思えない。
つまり、どの馬も何かが足りない可能性がある。
だとすると……やっぱり危うい1人気であり、この世代特有の穴馬のぶっ込みも十分考えられる。

ちなみに登録メンバーでデビューから騎手が替わらないのは、
柴田大のマイネルシュバリエ(5戦目)と江田照のオトコギイッポン(2戦目)だけ。
ならばこの2頭を大事にしたいところだけど、オトコギイッポンはダート1戦1勝馬で、マイネルシュバリエはここ2戦の負け方が少々気になって、買いにくい。

う〜む……騎手の落ち着かない感じだけを見ても、今年の京成杯は全体的に何かが足りないメンバーの集まりにも思えてくる。

こうなると締め切り数分前にならないと見えてこない1・2人気馬を買うよりも、穴馬から1〜4人気へ流したほうがいいように思えてくる。

京成杯の傾向を重視するなら、1・2人気の2択だけど、
世代の傾向を重視するなら、大穴が狙える。

伝統か世代か。あ〜別の2択が出現してしまった。

シンプルに1人気か2人気から流したいのに、なかなか上手く行かない。ぜんぜん七草がゆれない。カツ丼一丁!

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京成杯注目馬
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1人気・2人気の2択→今年は2人気!
でもすぐには見えて来なさそうだから、今年は穴馬から1〜4人気へ!
伝統と世代の融合を狙ってみる。

2人気になって欲しい馬・ブラックバゴ
戸崎・川田に振られたとしても、蛯名に回ってきたことには意味があると思いたい。
斎藤厩舎と蛯名の関係はとても薄く、ここ2年で5回しか騎乗経験はない。
2014 0-0-0-3
2013 0-0-0-2
騎乗はほぼローカル(夏の新潟)だけだから、本当にお付き合い程度だろう。

3歳早春の時期の重賞、それも牡馬で、人気のありそうな馬に、蛯名が乗る。
しかも通常の関係性では薄い厩舎の馬に。
たまんないね。買える動機に満ちあふれている。

関係性の薄い厩舎が、トップランクの騎手に、しかも誰がどう見てもダービーを目指している騎手に、3歳牡馬を依頼するからには、それなりのデキにあるはず! と思い込みたい。
戸崎に振られたことよりも、蛯名を招聘したことに重きを置いてみたい。

伏兵・穴候補
ザイディックメア ブノワ
ブライトバローズ ベリー
クルーガー    内田博
ディアコンチェルト 大野

上の3頭は騎手の変換に興味あり。
ザイディックメア ブドー→ビュイック→「ブノワ」
ブライトバローズ ムーア→ベリー→「ベリー」
クルーガー    ブドー→ブドー→ビュイック→「内田博」

ザイディックメアはデビュー以来3戦すべてテン乗り外国人
ブライトバローズはベリーの連続騎乗
クルーガーは初めての日本人騎手

ディアコンチェルトの成績を見ていたら、ベンチャーナインを思い出しちゃって。
それ以外の理由は見つからない。

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日経新春杯注目馬
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日経新春杯の七草
#1 単勝10倍未満の人気馬をナイガシロにしない。馬券圏内に2頭はやって来る(ここさえ守れば3連複は当る。儲かるかはわからないけれど、的中はできる)。
#2 57、58キロのトップハンデ馬は苦戦。
#3 フルゲートの方が人気薄が飛び込んで来る確率は上がる。
#4 前走1000万1着の4歳馬は52キロがいい。
#5 前走1600万1着の馬は54キロが望ましい。
#6 ディープインパクトはナイガシロにできない。
#7 外国人騎手好走例多し。

以上の七草を取り入れたり、取り入れなかったりして(当日にならないとわからないこともあるし、人気になりそうな馬はここでは外した)、
今注目しているのは以下の2頭。

ラングレー(除外対象だけれども)
ビービートレイター(除外対象だけれども)

一番の除外対象馬であることはわかっているけれど、ラングレーには興味津々だ。
矢作厩舎で、前走1000万を勝って、52キロは2年前1着したカポーティスターと同じパターンで、狙い撃ち感さえ漂う。しかも好走例の目立つ外国人騎手が鞍上(バルジュー)。
揃いに揃っている。

ただし、心配な点もある。こっちの興味も大きい。

#8 矢作厩舎の外国人騎手成績の波は激しい(あ〜八草になっちゃった!)

矢作厩舎の外国人騎手成績は、良い年と悪い年の成績の差が激しい。
特にリーディングを取った去年は悪い波の年だった。なんせ外国人騎手を乗せた成績が厩舎の成績より低かったのだから。

過去5年の矢作厩舎の外国人騎手成績

2014 4-1-4-33  42回 
外国人騎乗時  勝率.095 連対率.119 複勝率.214
矢作厩舎の成績 勝率.103 連対率.164 複勝率.256 勝ち!

2013 8-5-3-29 45回 
.177 .288 .355 勝ち!
.101 .216 .276

2012 4-6-1-10 21回 
.190 .476 .523 圧倒的に勝ち!
.098 .233 .292

2011 2-4-0-26 32回 
.062 .187 .187
.080 .169 .251 勝ち!

2010 5-6-1-10 22回 
.227 .500 .545 圧倒的に勝ち!
.087 .212 .292

外国人騎手の成績に波があるのがわかる。去年と11年は悪く、10年、12年、13年はよかった。
っていうか去年は外国人騎手に頼らずに54勝したことになるのだから、すごいし、立派だ。
ただ13年とほぼ同じ回数騎乗依頼をして、約半分の成績に落ちたのは気になる。
なんせ去年はムーアでさえ0-0-0-4と矢作厩舎の馬では勝てなかった。
もしかして、外国人騎手の新しい使い方を発見したのか?
たとえば外国人騎手で仕込んで、日本人騎手で勝負する、そんなニュー・スタイルを。

ちなみに今年は2回外国人騎手が騎乗し、11着、15着。
1/4 京都7R スパイスシャワー バルジュー 2人気15着
1/12 中山6R サトノミラクル  ベリー   7人気11着

まだ2回だ。年が変わったからといって、すぐに方針が変わるものでもないし、たとえ方針が変わったとしても、すぐに結果が出るものでもない。こういうものはグラデーションのように変わっていくものだろう(あくまでもそういう方針があればの話ですが)。

ラングレーは52キロで、鞍上バルジュー。
52キロで騎乗できる外国人騎手は少ない。ある意味、貴重だ。

買いか、消しか、除外か。
出走のハードルを越えてからの2択。

こういう場合は人気を見るにかぎるけど、自分は単10倍〜15倍だったら買ってみたいと思っている。
おそらく出走となったら、カポーティスターのサンプルは確実に取り上げられるはずで、しかもディープ産で、外国人騎手騎乗で、52キロで、それなりに注目はされるはず。それなのに単15倍以上ついてしまったら、デキに問題ありと判断できる。
また単10倍未満だったら、人気になりすぎてるようにも思えるし、もろもろの理由で妙味はないとも判断できる。
5、6人気で単10倍ちょっとが理想ではないか。
あくまでも出走できればの話ですけど…。

ビービートレイターは前走WSJSのプロミネントJTで1人気に支持されて、4着したレースっぷりが気に入っている。
あくまでも出走できればの話ですけど…。

今週は、過去の傾向なんぞを踏まえながら、静かに気持ちを休めるように馬券を買う予定だったけれど、なんだか今週末もドタバタしそうな気がして来た。せめてジタバタしないようにしよう。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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