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4歳1人気の境界線とデムーロの呪文

  • 2015年01月29日(木) 12時00分


シルクロードSは、1人気から広げていき、
広げきったら、今度は逆に10〜12人気前後の馬から登っていくレースだと思いこんでいる。

だからまずは1人気を広げるためのイメージ作りから始めてみる。

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1人気の境界線
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この12年の1人気の成績
4-1-2-5

うむ、どうとでも取れるいい感じの成績だ。
4勝しかしてないとも取れるし、ハンデ戦であることを考慮すれば頑張っているとも取れる。
58%で馬券圏内は物足りないとも取れるし、約60%で馬券圏内なら合格とも取れる。
いずれにせよつかみ所のない成績だ。

でもこれを4歳と5歳以上とに分けると、たいそうスッキリする。

4歳1人気
1-1-2-5

5歳以上1人気
3-0-0-0

5歳以上の馬が1人気になれば安心して買えそうだ。
でも過去12年で3回しか1人気になってない。
シルクロードSは4歳に魅かれがちなレースなのだろう。

では今年はどうか?
1人気が5歳以上ならば一丁上がりだ。

予想1人気
エイシンブルズアイ 4歳
予想2人気
アンバルブライベン 6歳

今年も4歳馬の引力は強そうだ。
実際エイシンブルズアイが当日も1人気になる気がする。

前走の淀短距離Sでは、
1着のエイシンブルズアイは55キロだった。今回は56キロ。
2着のアンバルブライベンは57キロだった。今回は55.5キロ。
重量は逆転する。
ふつうに考えたらアンバルブライベン有利だ。

それでもおそらく1人気はエイシンブルズアイだろう。
ここに出走して、人気になる4歳は前走勝って、勢いに乗って出走してくる馬が多い。
レース時期も含めて、期待感をくすぐられやすい環境が整っているのかもしれない。
で、ついつい支持してしまうのではないか。

1人気が4歳エイシンブルズアイだとすると、
馬券的にはやっかいだ。
なんせ4歳は1-1-2-5で、馬券圏内率は半分の50%もない。
だから、もうちょっとイメージを掘り下げる必要がある。

一番簡単な方法は、エイシンブルズアイがロードカナロア級か見極める方法だ。
ロードカナロア級ならば、ここもなんなく勝って、秋にはG1を勝って、さらに海を越えて、香港でも勝つはず。

「ならば、そこは悩むところではない! ロードカナロア級ではないです! ないっす! ないでっしゃろ!」ときっぱりさっぱりやっぱりあちこちから言われてそうだけど、もうちょっとお待ちください。

以下のことは去年もここで触れた。

4歳が57キロを背負って、1着したらロードカナロア級。
4歳が57キロを背負って。3着したらサニングデール級。

ロードカナロアは最近の馬だから今さら説明の必要はないだろう。直後の高松宮で3着し、秋から快進撃した。
サニングデールはここで3着し、直後の高松宮で2着し、翌年の高松宮を1着した。
要するに、4歳が57キロを背負って1人気になって、馬券圏内に入ることには、それなりの価値があると言いたいわけだ。

はたして、エイシンブルズアイはロードカナロア級なのか………

引っ張っておいてなんだけど、やはり、そこまでの強さも安定感も感じられない。

ロードカナロアのシルクロードS前までの成績
全成績 5-2-0-0 
芝1200 5-0-0-0
7戦すべてで1番人気
2着2回は中山1600(デビュー2戦目)と京都1400(デビュー3戦目)

エイシンブルズアイ
全成績 3-2-1-4
芝1200 1-1-0-2

そもそもハンデ56キロが実績的に少し足りてないことの証だろう。
少なくとも今は、エイシンブルズアイはロードカナロア級ではない。そこは決めていい。

ただし、だからといってエイシンブルズアイがここでは通用しないことにはならない。
55キロで1人気になって3着したアイルラヴァゲインの例もあるからだ。

というわけで、4歳1人気のイメージを膨らませるためにもうちょっと掘り下げてみる。

以下は4歳で1人気になった馬たちの成績とハンデだ。

03年
1人気 サニングデール 57 3着

06年
1人気 アイルラヴァゲイン 55 3着

07年
1人気 アンバージャック  57 4着

08年
1人気 アストンマーチャン牝 56 10着

09年
1人気 スプリングソング  57 14着

10年
1人気 エイシンタイガー  57 8着

12年
1人気 ロードカナロア   57 1着

13年
1人気 アイラブリリ牝    53 15着

14年
1人気 レディオブオペラ牝  55 2着

15年
予想1人気 エイシンブルズアイ 56 ?

57キロで勝ち負けするには、のちにG1で勝ち負けできるような潜在能力が必要に思える。
それがない馬は馬券圏内にも入れない。なかなかに険しいハードルだ。

そもそもこの12年で馬券圏内に入った4歳馬は6頭しかいない。
そのうち1人気は4頭。1人気以外で馬券圏内に入った4歳は2頭しかいない。
基本的に4歳には厳しいレースで、1人気になって、やっと馬券圏内に入れるかも!? そんな感じだ。

1人気にはなりたくないけれど、1人気にならないとチャンスは生まれにくい。
57キロは背負わされたくないけれど、57キロを背負って勝ち負けできれば視界は開ける。
なかなかに覚悟を問われるレースだ。
さあ、どうする!

ただ56キロの馬はいなかった。だから正確な立ち位置はまだわからない。
だからもう少し整理してみる。
牝馬とロードカナロアを抜きにして、じぃ〜〜っと見つめてみる。

サニングデール   57 3着
アンバージャック  57 4着
エイシンタイガー  57 8着
スプリングソング  57 14着
アイルラヴァゲイン 55 3着

エイシンブルズアイ 56  

57キロで馬券になったのはサニングデールの3着のみ……。
馬券圏外は3頭……。
55キロで馬券圏内………。

56キロって、馬券圏内と馬券圏外の境界線のような……。うん、きっとそうだ。
あ〜すっきりした。
いや、馬券の境界線ってことは3着か4着ってことだから、馬券的にはスッキリできないけど、
なんかスッキリした。

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穴は10人気前後の53キロくらいの馬がいいけれど。
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「1人気馬の立ち位置は馬券の境界線」ってことで落ち着いた。落ち着かないけれど落ち着いた。
だから、今度は穴のイメージを広げてみる。

穴は10〜12人気前後で53、54キロの馬がいい。
それを(出走確定的な馬を中心に)予想オッズを参考にすくってみると、

予想11人気
バクシンテイオー 54 
予想8人気
マコトナワラタナ 53

いかにもハマリ待ちって感じの差し馬2頭がいいとこにいる。
このくらいの人気なら、ハマるのを待てる。待てる人気だ。
ただマコトナワラタナはもうちょっと人気になりそうな気がする。
場合によっては6人気もあるのではないか?

それならそれでいい。
もう1頭ハマリ待ちを期待しているルナフォンターナがいるからだ。

予想7人気
ルナフォンターナ 54

マコトナワラタナがもうちょっと人気になってくれたら、8人気に下がる。
8人気ならば、十分待てる。ハマリ待ちできる。

そもそもルナフォンターナはここ数戦ずっとハンデ戦で55キロを背負わされていた。
1キロ重いのではないのか? そんな印象を持っていた。

ルナフォンターナ
CBC賞 G3ハンデ戦   55キロ 2人気8着 岩田 0.5差
北九州記念 G3ハンデ戦 55キロ 4人気8着 北村友 0.4差
オパールS OP別定    55キロ 2人気3着 岩田 0.4差
京洛S   OPハンデ戦  55キロ 2人気5着 岩田 0.5差

着順は3着〜8着とまちまちだけど、着差はほぼいっしょだ。それゆえに今回の1キロ減は大きいように思える。

俗に1キロで1馬身違うとも言われる。1馬身は約0.2秒。
それを参考に上記のレースにあてはめてみると、
CBC賞 3着に相当
北九州記念 4着に相当
オパールS 2着に相当
京洛S 2着に相当

十分馬券圏内は狙えそうだ。8人気なら十分だ。

全成績 6-3-1-14
京都芝 3-3-1-3
芝12 4-2-1-5
京12 2-2-1-1

重賞を狙うなら、京都芝1200しかないような成績だ。
というわけで、ルナフォンターナの54キロにはちょっと注目している。

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シルクロードS注目馬
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4歳エイシンブルズアイが1人気だったら3着か4着と想定して、
ルナフォンターナ
バクシンテイオー
ベステゲシェンク
に注目。

ベステゲシェンクはディープインパクト産駒。
ディープインパクト産駒は芝1200重賞の勝ちはまだない。
しかし、この馬は芝1200重賞で馬券圏内に入ったことのある、3頭しかいないディープインパクト産の1頭・シュプリームギフトの全弟でもある。
(シュプリームギフト・レッドオーヴァル・バーバラの3頭)
(シュプリームギフトはキーンランド3着・函館SS2着・京阪杯3着。京阪杯は京都1200)

今まで1600にばかり使われていたけれど、前走初めて1200(中京)に使われて、1人気で1着した。姉同様に1200でこそのディープインパクト産駒かもしれない。

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根岸S注目馬
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ロゴタイプが根岸Sに出走する。注目しないわけにはいかない。
芝のG1を勝った馬がダートに挑戦すると、いつだって注目してしまうけど、あまりいい記憶はない。
ただいきなりフェブラリーSやジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)に挑戦するより、
G3の根岸Sに出走することには好感が持てる。

それでも買うか買わないかは、まだわからない。枠や馬場、当日の人気などを見て、決めたいからだ(デムーロの呪いはCデムーロでほぼ解除されたと判定)。

ロゴタイプ・いい材料

噂では、Mデムーロの「ダートは絶対に走る」という呪文、いやアドバイスにも後押しされて出走を決めたと言われている。
Mデムーロの進言といえば、直近ではデスペラードが有名だ。
ダートで頭打ち状態だったデスペラードに騎乗(ダート・6着)したMデムーロが芝の方が走ると明言して、すぐに1600万の芝を勝ってしまった。もちろん鞍上はMデムーロ。デスペラードの進撃が始まったのはそれからだった。
「ダート<芝」を進言できるのなら、「芝<ダート」を進言できても不思議ではない。

しかも鞍上はCデムーロ。
「やっぱり儲かる外国人騎手」という本によると、Cデムーロは、芝でもダートでも成績にムラのない万能型のジョッキーで、兄のMデムーロよりも、むしろルメールに近いタイプだとか。
Mデムーロはダートより芝で買える騎手で、ダートに関しては弟の方が信頼できるらしいが、実際、今回の短期免許でもダートで大活躍中だ。

2015成績
14-9-5-30 リーディング1位
勝率.241

芝4勝 勝率.173
砂10勝 勝率.285

この時期に来日する騎手はダートで結果を残せないとお話にならない。
Cデムーロにいい馬が集まっているとしても、勝率.241はなかなかの数字だ。

ロゴタイプ・いいとは言えない材料

ロゴタイプの父ローエングリン自身もダートに突如挑戦した馬だった。
毎日王冠2着→天皇賞秋5着→ジャパンカップダート13着(3人気)→平安S14着(3人気)

ダート重賞0-0-0-2
しかも2戦ともに惨敗。

ローエングリン産駒の中央でのダート成績も悲惨だ。
166回走って、1勝。

重量58キロもなかなか厳しい。
過去10年で58キロで馬券になった馬は、3着テスタマッタ、3着セイクリムズンの2頭しかいない。

Mデムーロの呪文とCデムーロの腕を信じるか、父ローエングリンのよろしくないデータと58キロを信じるか。

枠と人気と馬場とムードを見て、美味しいか、美味しくないか決めるつもりだ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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