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前走優勝馬を素直に信頼

  • 2004年03月08日(月) 13時21分
 クリスタルCは、マル外の進出が盛んになってからとそれ以前とでは全く趣が異なる。タイキ軍団などが旋風を起こしてマル外ブームの起きたのがちょうど10年ほど前だから、データは過去10年で採るのが良いだろう。

 その10年でのべ151頭が出走しているのだが、目に付くのが「前走1着馬」の強さである。クラスを問わず前走1着だった馬、のべ61頭の成績を取ると、[7-4-5-45]で連対率こそ高くない(18.0%)が、回収率は単192%・複99%となっている。

 前走1着といっても未勝利から重賞までいろいろあるが、新馬・未勝利を勝ちたてだった2頭はいずれも着外。500万下を勝ちたての馬も[3-2-3-36]の連対率11.4%、回収率が単42%・複56%で、よほどうまく選り分けないとうまい馬券にはならない。

 つまり、好成績をあげているのは前走オープン特別・重賞を勝った馬なのだ。オープン特別を勝ちたての馬は[2-2-2-6]で連対率33.3%、回収率が単771%・複278%。重賞を勝ってきた馬は2頭だけだがいずれもここで勝っている(ヒシアマゾンとサーガノヴェル)。

 オープン特別組はカチドキリュウの13番人気1着で数字が上がりすぎており過信はできないが、それでも「前走勝ったクラスが高いほど信頼性も高い」という傾向そのものは連対率から確認できそうだ。

 となると、今年の適任はナムラビッグタイムか。ウェディングバレーやタイセイブレーヴもそれに順ずる成績はあげているが、前走オープン1着にこだわるならナムラビッグタイムということになる。

 ただ、ナムラビッグタイムを軸に取るとすると、相手筆頭がタイセイブレーヴというわけにはいかなくなる。過去10年で、内国産のワンツーは2001年の1回しかなく、3着以内に2頭内国産が入ったこともこの年しかないからだ。

 2001年の3歳世代マル外は現時点に至るまで1000m〜1400mの重賞勝ち馬を出しておらず、クロフネ、エアエミネムなど1600mにぽつぽつ活躍馬がいるだけだった。2歳時には重賞勝ち馬が出ず、連対もゲイリームーチョの函館3歳Sだけ。オープン勝ちも2勝だけというマル外不作の年だった。

 今年の3歳マル外は2歳時点で重賞勝ち馬を2頭出したし、G2・2着馬も出した。オープン特別はほかならぬナムラビッグタイムに荒稼ぎされたため2勝だが、2001年ほどの不作ではなかろう。

 3連複の場合、ナムラ・マル外・マル外か、穴でタイセイブレーヴ・マル外・マル外が無難なところ。ナムラ・タイセイ・マル外は買っても薄めまでだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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