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メイショウコロンボが逃げ切り重賞連勝!/名古屋大賞典・名古屋

  • 2015年03月27日(金) 18時00分


◆アメリカのダート競馬のような厳しいハイペース

 好スタートは地元のサイモンロードだったが、12頭立て11番枠(実際には3番のタッチデュールが取消したため11頭立ての10番目の枠)からのスタートだったメイショウコロンボが、何が何でもという行く気を見せてハナを奪った。内にエーシンモアオバー、サイモンロードという逃げ馬が揃っていたため、外枠のメイショウコロンボにとっては難しい展開になると思っていたのだが、そもそも2走前の阿蘇Sで15頭立て15番枠に入ったときも迷わず逃げているので、逃げるしかないというタイプなのだろう。そしてエーシンモアオバーのみならず、アジアエクスプレスまでぴたりと追走。1周目のスタンド前では6〜7馬身ほども離れた4番手にサイモンロードという展開だから、いかにも流れが速かった。

 ところで今年の名古屋大賞典はパサパサに乾いた良馬場で行われたが、近年はなぜか天気に恵まれず、過去5年の馬場状態は不良が2回、重が1回、稍重が2回。良馬場で行われたのは2009年にスマートファルコンが勝ったとき以来6年ぶりだった。

 名古屋ではハロンごとの正式なラップタイムの発表がないため、走破タイムから上り4Fのタイムを引いた1100m地点の通過タイムを見ると、今回は69秒9。過去5年では、不良馬場の超ハイペースでレコード決着となった2011年のエスポワールシチーが勝ったときこそ1100mの通過が67秒9と極端に速かったが、それ以外の年は70秒8〜72秒0で通過している。先にも触れたとおり、過去5年はいずれも湿った馬場だったのに対して、今年は乾いた良馬場。それを考えれば、1100mの通過が69秒9というのは、エスポワールシチーが勝った年にも匹敵するような厳しいハイペースだったといえるのではないか。

 ゆえに消耗戦となった。例えるなら、ビュンビュン飛ばしてバテた馬が順に脱落していき、最後に残った馬が勝つというアメリカのダート競馬。飛ばした前3頭のうちでは、ほか2頭より3キロも重い斤量を背負わされたエーシンモアオバーがさすがに3コーナー手前で脱落した。そこからは後続を離したまま、メイショウコロンボとアジアエクスプレスの一騎打ち。直線半ばではアタマ差ほどまで迫る場面があったが、メイショウコロンボが突き放すようにしての勝利。単勝1.5倍という断然の支持を受けたアジアエクスプレスは半馬身及ばずの2着だった。

 正直、メイショウコロンボの力を見くびっていた。前走兵庫ゴールドトロフィーでも、向正面から一気に進出してきたジョーメテオに3〜4コーナーで一瞬前に出られる場面があったが、そこから二の脚を使って突き放していた。それがデビュー以来芝も含めて初めての1400mという短距離でのレースでのことで、今回は走り慣れた中距離なら、さらに力を発揮できると考えるべきだった。

 対してアジアエクスプレスは、骨折休養明けという割引きがあるにしても、平均的にレースが流れる消耗戦よりも、瞬発力勝負のほうが合っているのかもしれない。

 2着のアジアエクスプレスから9馬身も離れての3着に2番人気のフィールザスマートが入り、エーシンモアオバー、地元のサイモンロードと3頭はほとんど差のない入線。レースの上りが、すなわち逃げ切ったメイショウコロンボの上り3Fで38秒4。3番手から追いかけたアジアエクスプレスは38秒3というもので、ハイペースで飛ばした馬たちに38秒台前半で上がられては後続勢はなすすべはない。3着フィールザスマートの上りも38秒4と、まったく同じ脚色になってしまった。

 4番手を追走した地元のサイモンロードは、フィールザスマートからコンマ4秒差の5着。勝つまではともかく、展開次第ではダートグレードでも馬券圏内は狙える実力をあらためて示した。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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