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桜花賞で見えた「無敗の怖さ」と「追う者の強み」/トレセン発秘話

  • 2015年04月16日(木) 18時00分


◆徹底守備から攻めへのシフト

 牝馬クラシック第1冠・桜花賞(12日)は、果敢にハナを切ったレッツゴードンキが4馬身差の圧勝。断然人気ルージュバックが後方であえぐのを尻目に見事に逃げ切りを決めた。

 むろんスローの展開を読み切った騎乗者・岩田のインサイドワークは見事だが、同時に称賛されるべきは同馬の脚質を後方から先団へと転換させた決断だ。

 勝率を高めるためになすべきことは何か。いわば準備の差が勝者と敗者を分けた印象で、無敗であることの怖さや追う者の強みが浮き彫りとなった一戦でもあった。

 さて、今週の皐月賞はどうか。“失うものがなくなった”という意味では、スプリングS3着ダノンプラチナも同じ。管理する国枝栄調教師は前走をこう語る。

「前(キタサンブラック)を捕らえ切れず、後ろ(リアルスティール)に差される。不満といえば不満だし、むろん負け方としては良くない形。結果的にテンション重視の仕上げに甘さが出た」

 ならば勝つために何をすべきか。百戦錬磨のトレーナーはさすがにそれを知っている。格下の同キュウ同期ディープジュエリー(牝=2勝)に後れを取った1週前追い切りが、ひとつの答えだ。

「中間から心肺機能を高めるために坂路調教を取り入れた。併せて遅れた1週前にも意味がある。4ハロンから行った先行馬を目標に、この馬だけは実質5ハロンから15秒台で飛ばして追いかけているからね。決して見栄えはしない。だが、時計がかかる今の馬場を思えば、見た目以上に負荷がかかっている」

 最終目標は得意距離のNHKマイルCにある? そんな疑念を抱くファンも多かろうが、師は「皐月賞から中2週は微妙に短いんだよな」とボソリ。先を見る余裕がない分、レースに対するアプローチも前走とまるで違う。

 一方、弥生賞2着から巻き返しを誓うのはブライトエンブレム。「ここで攻め過ぎると経験上、ダービーでなくなってしまうし、それがひどいと秋まで響く」と語る小島茂之調教師の姿勢は“守備型”。

 だが、これは大半の陣営にも言えることで、注目すべきは次の言葉だ。「前走時は装鞍の時からテンションが高く、鞍上も大事に乗って後ろのポジションになった。行かせれば位置は取れる馬。本番の今回はもう少し積極的に乗れるのでは」。徹底守備から攻めへのシフト。鞍上の意識変化がこちらは怖い。

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