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トライアルと本番はイコールではない

  • 2004年04月05日(月) 17時47分
 血統的にもなじみのある有力馬が多く、しかも1頭が抜けているわけでもないという好メンバーで行われそうな桜花賞である。

 ステップレースのほとんどをスター性のある良血馬が勝ち、本番もそのうちどれかが桜花賞馬になるものと思われているが、しかし、穴党はその思い込みに疑問を投げかけていかねばならない。桜花賞はトライアルと本番の着順が直結するとは限らないからだ。

 例えばチューリップ賞の1〜3着馬を見てみると、チューリップ賞優勝馬がそのまま桜花賞での最先着となったケースは10年中2回しかない。一方で、チューリップ賞2着馬が3頭の中での最先着となったケースは6回ある。

 エアグルーヴが桜花賞に出られなかったケースはあるが、チューリップ賞2着馬もスカーレットメール(97年桜花賞不出走)がいるので分母は9であり、条件は同じだ。

 桜花賞で連対を果たしたのはチューリップ賞1着馬がテイエムオーシャンのみなのに対し、チューリップ賞2着馬はスティルインラブなど3頭。チューリップ賞組は4着から3頭の連対馬が出ており、トライアル着順=本番の順序ではない。

 同様にフィリーズレビューについて見てみると、1着馬が桜花賞でも3頭中の最先着馬になったケースは5例、2着馬が最先着となったケースは5例で五分だ(桜花賞不出走は1着馬と3着馬に各1頭)。

 桜花賞で連対したのはフィリーズレビュー1着馬が2頭で2着馬はゼロだから1着馬がやや有利ではあるが、決定的な差ではない。一方、この路線も4着馬から3頭の連対馬が出ている。

 今年はチューリップ賞4着(メイショウオスカル)は登録が無いしフィリーズレビュー4着(ホシノピアス)はジェイドロバリー産駒だけにシルシを回す度胸が持てないが、「トライアルとちょっと序列が入れ替わる」ことを期待しての穴狙いは可能だろう。マルターズヒートとアズマサンダース、両トライアル2着馬とも大失敗したのは阪神JFだけで、しかも同レースでも着差はそう大きくは無い。3連複の軸というイメージで本命にしてもいいくらいだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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