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天皇賞はまず頭数に注目

  • 2004年04月26日(月) 18時51分
 天皇賞春の過去成績を見ていて、ひとつの傾向に気づいた。フルゲートの年は、ステイヤー色の強い馬が活躍するのである。

 昨年がまさに18頭立てだったが、菊花賞馬ヒシミラクルが勝ち、2着にリアルシャダイ産駒のサンライズジェガーが入った。その前は95年で、ライスシャワーを筆頭にリアルシャダイ産駒が1〜3着を占めた。さらにその前は91年で、メジロマックイーンの2着に距離実績だけが取り柄だったミスターアダムスが入っている。

 これら3つのレースはいずれもレースの上がりが36秒台。それだけ道中の流れが一定以上の速さで、スタミナを要求するレースになっていたものと思われる。95年は重だったが、道中最も遅かったラップでも13.3秒で、いわゆる「よどみのないペース」になっていたのがリアルシャダイ産駒には追い風になったのだろう。

 一方、平成以降の天皇賞春で、12頭立てだった場合の上がり3Fを並べるとこんな感じ。
【年 頭数 上がり 前6F−後6F】
02年 11頭 34.3秒 78.1−70.1秒
01年 12頭 35.9秒 70.4−73.7秒
00年 12頭 34.6秒 73.8−70.8秒
99年 12頭 34.3秒 72.5−71.7秒
94年 11頭 36.7秒 77.1−74.1秒

 上がり勝負になるかどうかは数の上では3対2だが、94年が事例としてひとつだけ古いうえ、01年はタガジョーノーブルとセイウンスカイの「行き過ぎ」があった。そんな講釈をつけずとも、いまの競馬で少ない頭数になれば、スローペース症候群が発生する可能性が高いことは間違いない。

 天皇賞春の登録頭数は20頭。前週に使ってしまった馬もいるから、フルゲートにはならないだろう。問題は何頭で落ち着くかだ。減れば減るほど、菊花賞馬や昨年好走馬の地位は下がり、替わって普通の強い馬、2400mで強い馬が台頭する。反対に意外と頭数が多ければ、ステイヤー色の強い馬が実力を発揮するだろう。

 さらに、微妙な頭数になってしまうケースも考えられる。こうなると、上がり勝負になる・ならないで2つシナリオを考えなくてはならない。◎○▲△では単純に表現できず、シナリオごとの買い目を考える必要がある。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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