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馬も温泉で“いい湯だな”/トレセン発秘話

  • 2015年07月16日(木) 18時00分


◆競馬における函館の代名詞

 函館の代名詞といえば夜景、活イカ、ラッキーピエロ(ハンバーガー)が一般的だが、こと競馬場内に限れば趣はやはり異なる。その3大名物を挙げれば洋芝、温泉、ウッドチップとなろうか。

 まず函館は全国の競馬場でわずか2つの洋芝オンリーのコース。だが、同じ洋芝でも札幌のそれに比べて顕著にパワーを要することが有名で、おのずと「函館巧者」なる言葉も生まれる。05年から函館記念を3連覇したエリモハリアーはその象徴。他場の重賞ではどんなに頑張っても脇役の域を出なかったが、いざ函館に入ればまさに水を得た魚。10歳までタフに現役を続けた同馬も、この競馬場がなければおそらく早々に引退していたに違いない。

“馬に優しい”といえば、全国の競馬場で唯一、ウッドチップの調教コースを有するのも函館の特徴だ。弾力性に富み脚部の負担が少ないのに加え、涼しい気候も手伝って夏季にもかかわらずびっしり攻められるのが函館滞在馬の強み。競馬開催中はその良さをあまり感じないが、札幌開催やたまに新潟に遠征する馬たちの活躍を見るにつけ、調教場としての函館の偉大さを思い知らされる。

 近年はピックアップされることが少なくなったが、馬の温泉が場内にあるのも温泉地の函館ならでは。リラックス効果、疲労回復など、その効能は人間とほぼ同じだ。今年の函館記念に登録のあるリベルタスも施設を利用する一頭で「これまで筋肉が硬かったのが、温泉を毎日利用することでかなりほぐれてきた。前走(巴賞3着)時よりも、日を追うごとにその効果を感じている」と話すのは松田助手。前出エリモハリアーを担当した谷中康範厩務員のおいに当たる大根田厩舎の谷中祐輔助手も「普段はストレスのかかるトレセンにいるので、ここで少しでも解消できればと思って連れて行っています」と愛馬へのいたわりを忘れない。

 早くも残り2週とフィナーレが近づく函館開催だが、今週の函館記念、次週の函館2歳Sをその特徴的な視点から眺めれば…。ファンにとって競馬の魅力の新たな発見、穴馬の発掘も可能かもしれない。
 (美浦の宴会野郎・山村隆司)

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