東京芝2400mというコースを、しかも初体験でこなせる牝馬というのはイメージ以上に少ない。それだけに、穴党は張り切り甲斐のあるレースでもある。
レースの条件を得意とする馬が少ないだけに、逆に言うと適性さえあれば格の壁を乗り越えて好走も可能になる。フルゲート頭数に余裕のあった時代には、ユウミロクやコスモドリームといった、500万下を勝ちたての馬が連対することもあった。
いまさら言うまでもなく桜花賞は1600mのレースだが、そこで上位に来る馬が2400mの適性も持っている確率というのは低い。桜花賞連対馬が2頭いるとして、それが
A:「とにかく1600mが大得意」
B:「地力はあるが、1600mはベストではない」
の2頭であることも多い。このパターンで桜花賞組がオークスに向かうと、Bが来てAが飛ぶことになる。A=キョウエイマーチ・B=メジロドーベルの97年や、A=ニシノフラワー・B=アドラーブルの92年が良い例だろう。
その一方で、
A':「とにかく地力が違いすぎる」
B':「すべてにおいてAより一枚落ちる」
という2頭によって桜花賞が決まっていることもありうる。今年のダンスインザムードは血統からも、こちらである可能性が高い。
力が違う、違わないというアナログな基準を用いるわけにはいかないから、「桜花賞で1・2着馬の着差が0.2秒以上あった年」(過去20年)とすると、84・86・87・88・90・91・92年と97年以降の各年があてはまる。
このうち、A'的存在、つまり着差をつけて勝った桜花賞馬がオークスでも連対を果たしたのは84・86・87・90・91・00・03年である。
その各年の連対相手馬を人気順で記してみると、9・9・10・5・4・1・13番人気。1番人気と組んだ00年は、桜花賞馬チアズグレイス自身が5番人気だった。
一方、同様に連対相手馬を桜花賞の着順で示してみると、4・12・不出走・4・5・3・12着。これも00年だけが例外で、あとは馬券に絡んでいない。
つまり、オークスでダンスインザムードを買う場合、相手は桜花賞の惨敗組か、別路線組でもいいということだ。ヒモ荒れなら十分に狙えそうなオークスである。