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夏の三大お化け屋敷とネロ

  • 2015年08月20日(木) 12時00分


この夏は、オッズ視点による馬券攻略を自由研究のテーマに選んだ。
オッズをお化け屋敷と見立て、どこにオバケが隠れているかをオッズだけを使って、探すというチャレンジ肝試し企画だ。

先週の関屋記念はオッズ視点でオバケを探すのは自分には難しかったので、オバケはいないとした。
実際、オバケはいなかったように思う。
しかし、エルムSはお化け屋敷レースで、そこにオバケはいた。こちらでは関屋記念を題材にしたので、紹介できなかったけど、エーシンモアオバーはオバケポイントにいた馬だった。

発売中の競馬王9月号に掲載した重賞お化け屋敷のエルムSの項目にはこんなことを書いている。
「オバケポイントは単30倍台〜40倍台前半! ただし、3着! なぜか3着!」
エーシンモアオバーの単オッズは35.3倍だった。そしてエーシンモアオバーはなぜか3着した。

該当馬はもう1頭いた(ゴールスキー・38.6倍)。
つまり2択だったわけだ。
30倍〜40倍台前半だなんて、該当馬だらけだろうと思われるかもしれないけれど、この10年で6年しか出現していない。

「過去10年で該当馬のいた年は6回あって、5回馬券に絡んだ。しかも該当馬は2頭のときが多いので、チョイスも簡単だ。2択に迷ったら、両方買ってしまえ!」

今年も2択だった。
レースは、今年凌ぎ合っている岩田とルメールで決まって(詳しくは先週のコラムにて)、3連複は16050円もついた!
1人気クリノスターオーが4着に敗れたことが大きいと思うけれど、エーシンモアオバーというオバケが食い込んだことも大きかったはずだ。

にしてもエーシンモアオバーの動きは面白かった。
前日は30倍台にいたけど、当日は20倍台にいた。13時30分頃の単オッズは21倍だった。で、そこから締切時間に近づくにつれて、どんどん30倍台に近づいていった。お化け屋敷に吸い寄せられるようにだんだんオバケに変貌していった。自分からお化け屋敷の門を叩いたかのうようだった。

ところがどっこい自分はこのレースの3連複を外した(馬単は取りました)。
ちゃんと30倍台〜40倍台前半をチェックしたはずなのに外した!
岩田とルメールと1人気の幸の馬を1列目、2列目に塗って、3連複を買った。
しかもゴールスキーは8歳で、いらないと思い消した。
だとすると、3列目はエーシンモアオバーしかいない! なのに外してしまった。
とんだミステリーだ! ひぃ〜こわい〜〜!

それはさておき、
エルムSにもオバケちゃんはいた。
夏のお化け屋敷レースはこれまでで5レースあって、そのすべてでオバケちゃんが出現したことになる。

にしても、オッズだけで馬券を買うのって、本当に肝だめしだ。
自分は、オバケは探せているのにぜんぜん馬券に活用できてない! 当ってるのに当てられないという悲劇の真只中にいる。
シェークスピアの四大悲劇に似たような話があったんじゃないか!?
「夏の夜の夢」にあったか!? でもあれは喜劇だ。そうか! これは喜劇なんだ! 誰からも同情されない類いのドタバタコメディーだ! わ〜〜ん!!

ところで、
夏の三大お化け屋敷とはなんだと思われますでしょうか?

自分の見立てでは、小倉記念、北九州記念、小倉2歳Sの3レースが、オッズ視点による三大オバケレースでございます。
そう、小倉の夏の重賞はお化け屋敷としてなかなかに完成されているんであります。

選択の簡単さの小倉記念。
当ればデカイけれど、選択は少し悩ましい北九州記念。
そして、手軽さと波乱度のバランスがいい小倉2歳S。

その三大お化け屋敷の1つ、北九州記念が今週ある。

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北九州記念が、悩ましいけれど、やめられない止まらない理由
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青の層(単10倍台にいる馬)の馬が強いレースはやめられない、止まらない。

以下は、芝1200になった以後9年の北九州記念の1着馬の単オッズだ。

14年 1着リトルゲルダ    18.9
13年 1着ツルマルレオン   10.2
12年 1着スギノエンデバー  14.4
11年 1着トウカイミステリー 17.0
10年 1着メリッサ      13.4
09年 1着サンダルフォン   15.8
08年 1着スリープレスナイト 2.5
07年 1着キョウワロアリング 73.0
06年 1着コスモフォーチュン 25.4

過去9年で6回も青の層の馬が勝っている。
っていうか、現在6年連続で勝利中だ。

青の層が強いということは、馬連や馬単での夢が広がるというものだ。
それだけで、やめられない。

では、どういうときに青のゾーンは、オバケポイントとなるのか?
実はここからが少し悩ましいところ。

「青の層に3頭以上いるときにオバケちゃんは活性化する」

過去9年で3頭以上いたのは8回。
その内7回で馬券になって、6回で1着している(もう1回は3着)。

つまり、3頭以上いれば1頭は馬券になると考えていいわけだ。

たとえば、去年。
青の層には4頭いた。

11.7 13番メイショウスザンナ
16.6 10番バーバラ
16.9 16番スギノエンデバー
18.9 1番リトルゲルダ

勝ったのはリトルゲルダ。
ぜんぶ10倍以上だから、4頭ならすべての単勝を勝っても儲かる。
1着率が高いから十分できる。
だけど、いざその場に立つと(馬券を買うときになると)、馬連だの馬単だの3連複などに吸い寄せられてしまう。
そうなると、選ばなければならない。

相手が決まっているなら、カンタンだ。その馬から青の層に流せばいいだけだからだ。
でも相手が決まってないとしたら、その4頭から放射させる必要がある。そうなるとなかなか大変だ。
かっこつけて、絞り込んだ自分を見せたくもなる。

こういうときは、当日の1200の傾向を見極めて、内か外か中で決めればいい。
内枠が頑張れていれば、4頭の中で一番内の馬を買えばいい。
外枠が頑張れていれば、一番外の馬を買えばいい。

ちなみに去年は1枠・4枠・4枠で決まった。
買うなら、1枠のリトルゲルダでよかったか。

傾向を分析するのがメンドーなら、一番内と一番外でもいい。北九州記念は、内か外が来やすいからそれでもだいたい当たる。
どうせ理屈じゃないアプローチなんだから、このくらいの軽さでいいはず。
(理屈はあると思ってるけど、それはまた別の話)

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北九州記念のオバケポント
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青(単10倍台)に3頭以上いたら、そこから1頭は馬券圏内に来る。
しかも高確率で1着する。

青の層からの絞り込みポイントは、
一番内か、一番外。
(精度を上げるなら、傾向を読んで、内か中か外かを決める)

これだけ。
簡単だ!

だが、しかし。
しかし、だが。

やっぱり理想は、青の層から自信を持って、馬を抽出するか、
別の層から1頭選んで、そこから青の層に流す、だ。

そういうことにトライしないで、静かに黙って単勝だけ買えばいいんだろうけど、馬連や馬単や3連複で買うのが、どうしてもやめられないし、止まらない! 来週の自分に乞うご期待!

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北九州記念注目馬
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ネロ。

ネロは出走しない。
けど、ネロが気になってしょうがない。

この夏の短距離レースや、ここに出走する馬の直近のレースを見ていると、ネロに勝った馬とネロに負けた馬がけっこういる。

もしかしたらネロは「基準」として使えるのではないか?
ネロは、逃げも番手競馬もできる先行馬だ。それはつまり展開の助けに関係なく、常に自分の力だけは走る馬でもある。だからネロ基準は成立するのでは? そんな気がしている。

たとえば、直近で、ネロに勝った馬で、ここに出走予定の馬は3頭いる。

佐世保S(1600万)
1着 ミッキーラブソング 
2着 ネロ
着差 ハナ差

テレビユー福島賞(1600万)
1着 マイネルエテルネル
2着 ネロ
着差 クビ差

船橋S(1600万)
1着 サトノデプロマット
2着 ネロ
着差 アタマ差

1600万条件だけど、それは関係ない。
北九州記念は1200Mになって9年が経つけど、毎回1頭は前走条件戦の馬が馬券になっているからだ。ただし、前走条件戦の馬は1着が望ましい。1着じゃなくても来ているけれど、好走率の高いのは1着だ。夏のハンデ戦の短距離競馬は勢いや調子も大事ということか。

佐世保Sの勝ち馬は現在3年連続で馬券になっている。
3年前は1000万条件だったのに馬券になった(スギノエンデバー1着)。
今年は、ミッキーラブソングが該当する。

繋がり的には佐世保Sだけど、他の条件戦が悪いわけではない。
4年前に2着したエーシンリジルは前走船橋Sの1着馬だった。
今年は、2走前に船橋Sを1着したサトノデプロマットが該当する。

マイネルエテルネルが1着したテレビユー福島賞からの参戦で結果を出した馬はないようだけど、マイネルエテルネルは小倉を得意としていて(2-0-2-1)、それは優位だ。

ネロを負かした3頭は、ネロに関係なく、北九州記念で好走してもおかしくないとは言える。
ただネロに価値がないと、今年は通用しないとも言える。
ハンデは、みな54キロ。同じだ。
ネロにつけた着差も、ハナ、クビ、アタマとほぼいっしょだ。

ネロに価値がないのならば、3頭まとめて消すことも可能だし、
ネロに価値があるのならば、この3頭はみなここでも通用するとも言える。

ネロの価値はネロに負けた馬を見るとよくわかる。

ネロは駿風S(1600万)で1着した。そのときの2着はシンボリディスコだった。
ネロはテレビユー福島賞で2着した。そのときの3着はシンボリディスコだった。
1000Mと1200Mで2回ネロに負けたシンボリディスコだけど、アイビスSDでは9人気で2着した。

ネロは韋駄天S(オープン)で2着した。
そこでネロに負けた馬にアースソニックとスマートオリオンがいる。
アースソニックは函館SSを2着、アイビスSDを3着し、スマートオリオンは中京記念を1着している。

うむ、ネロにちょっと負けた馬がその後、重賞で頑張っている。
ネロは勝ちきれない馬だけど、毎回自分の力は出してるように思える。
だからネロには基準としての価値があるとしていいのではないか?
(っていうか、ここにネロがいないのが不思議なくらいだ)

つまり、晴れて、
ミッキーラブソング、サトノデプロマット、マイネルエテルネルの3頭は、ここでも通用する可能性があるってわけだ。

ではどの馬がいいのか?
レース実績的には佐世保S1着のミッキーラブソングか。
橋口厩舎は、北九州記念の成績のいい厩舎(2-1-1-4)で、このレースに向く馬のことはよく知ってるはず。
ネロに勝つ馬は先行馬が多いのに、この馬は差して勝った。北九州記念は一般的傾向としては差し有利だから、レースの脚質にも合う可能性は高い。

コメント実績的には船橋S1着のサトノデプロマットに期待してしまう。
コメント実績とはもちろん柴田の善さんの「ギュン!」だ。
そう、船橋Sでサトノデプロマットに騎乗した善さんの「能力あるね。折り合いがついたら、すごいよ! 最後、ギュンと沈んだから」というコメントだ。

そのことを函館SSの週の6月18日付けコラムで書きに書いた。けれど、函館SSは10着に負けてしまった。しかし、まだ悲観できない。「外枠のほうがいい」馬なのに中枠(10番)で、洋芝も合わなかった可能性もある。小倉の芝が合えば、最後ギュン!と沈む可能性は残されいるはずだ。
枠には注意しなければいけないけれど、現段階では見限れない。

マイネルエテルネルは前記したように小倉実績(2-0-2-1)がある。
小倉であげた2勝は2歳時のもので、今のこの馬にはネロ同様のなかなか勝ちきれない面が出ていて、3着っぽさが漂うけれど、馬券的には無視できない。

予想オッズ的にはどうか?
ミッキーラブソング 予想4人気 単10.6
マイネルエテルネル 予想6人気 単13.4
サトノデプロマット 予想14人気 単63.2

おっと、現段階では、青の層にいがちな5〜8人気近辺に、ミッキーとマイネルの2頭がいる。
夏の重賞の人気は、週中も週末でさえも油断できないけれど、ミッキーラブソングは10倍前後にいそうな感じだ。
サトノデプロマットは自分の想定よりずいぶん人気を落としてきそうだ。函館SSはちょっと穴人気になって、押し出されていたので、今回の引き出されっぷりは自分には好ましい。

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北九州記念注目馬 ワン・モア
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ミッキーラブソング……差しで。
サトノデプロマット……外枠で。
マイネルエテルネル……ヒモで。

青の層(単10倍台)にいる馬

北九州記念は前半が32秒台のことが多く、それゆえに差し馬がいっぱい活躍する。
でも33秒台の年がないわけじゃない。去年がそうだった。
33秒台だと前が残れる。
だから差しのミッキーと先行のサトノでちょーどいいのではないか?
だとしても先行は分が悪いけれど、サトノは人気もなさそう。だから買える。

ミッキーは、赤(単10倍以内)と青(単10倍台)の境界線にいそうだ。
赤なら、そこから青に買える。青ならチョイスするのに楽だ。だからどっちにいてもいいけれど、できれば赤にいて欲しいと思っている。

と、書いたものの、北九州記念は青の層が何頭になって、どんな馬がそこにいるかを見るのが楽しみでしょうがない。
はたして、今年もそこから1着馬が出るか?

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札幌記念
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今週ももちろん注目は、岩田VSルメールだ。
この二人の闘いは人気のある方が先着している。

ラキシス 予想1人気
ダービーフィズ 予想4人気

だとしたら、軍配はルメール!
でも、オバケ馬が出現したら、そこからルメールと岩田に流してみたい。

オバケ候補は、
トウケイヘイロー
ヒットザターゲット
ステラウインド
このあたりが怪しい。

もし、この3頭が穴馬として好走するなら勝手にオバケポイントに入ってくるはずだ。どんな動きをするか注目だ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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