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キングカメハメハの前走圧勝をどう評価する

  • 2004年05月24日(月) 15時03分
 ダービーはコスモバルクとキングカメハメハが人気を分けそうな情勢である。このうち皐月賞2着から臨むコスモバルクはある程度の力量が保証されていると思うが、キングカメハメハの評価は難しい。

 もともと、NHKマイルCでの連対歴というのは将来を保証するものではない。エルコンドルパサーやクロフネのようにその後さらなる大活躍を遂げた馬もいるが、一方でタイキフォーチュンなどはそれが最後の好走となった。2着馬たちの戦績を見ると、安値安定とも言えるほどだ。

 しかも、NHKマイルC上位馬でその後さらに出世した馬といえば、すべてマル外である。NHKマイルCのレベルというのはマル外によって支えられてきたところがあり、マル外の連対枠独占が崩れた一昨年からは、路線そのものが地盤沈下しているとも考えられる。

 02年優勝のテレグノシスは後にG2勝ちがあるものの、成績が安定しているとは言えない。2着のアグネスソニックはOP特別〜G3レベルにとどまっている。03年はウインクリューガーがその後大不調。エイシンツルギザンはキャピタルSこそ2着したが、京都金杯は5着だった。

 そして、今年の結果こそが、「3歳マイル路線」の地盤沈下を予感させる。1〜3着馬はすべて2000mからの距離短縮組。マイル路線はそれだけ層が薄くなっているということだろう。

 「コスモサンビーム」と「着差」を物差しにすればコスモバルクよりキングカメハメハとすることもできるのだが、競馬がそこまで単純でないことは皆さんご存知の通りだ。まあ、この物差しがあるから無印にまではできないのだが、レベルの低いところを圧勝して、それを根拠に人気が跳ね上がるというのは「買い時」ではないと思う。

 いわゆる別路線組のダービー馬は遅いデビュー(タニノギムレットも初勝利は12月の最終週)の馬ばかりだし、キングカメハメハが中距離戦で負かしてきた馬たちが軒並みその後のレースで奮わないのも気になる。

 馬の実力は競馬をやってみないと分からないが、人気の動き方という観点からはキングカメハメハよりコスモバルクと考えたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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