スマートフォン版へ

夏の終わりのゴーストバスターズ

  • 2015年09月03日(木) 12時00分


9月に入ってしまった。9月の第1週には夏のフェードアウト感が漂ってる気がして、切なくて好きだ。でもそれは風物詩としてのお化け屋敷を楽しめるのもあとわずかということだ。

夏休みの自由研究として研鑽してきた重賞をオッズ視点で見る「お化け屋敷」もそろそろ店じまいということか。
ちなみに先週のお化け屋敷レースは新潟記念で、オバケポイントにいた12人気ウインファビラスはちゃんと2着した。2着してしまった!
1人気ロードクエストとの馬連で13,130円……。なかなかの馬券だ………。上手に仕留められたみなさん、おめでとうございます……。

にしても新潟2歳は本当に出遅れた馬にやさしい。今年も3頭の出遅れ・出負け馬がいたけれど、ロードクエスト1人気1着、マコトルーメン8人気3着、カミノライデン17人気7着とみんな好走した。人気があろうと人気がなかろうと好走する。もはや「出遅れろ!」と願いたくなるし、出遅れることが作戦の1つと言いたくもなる。自分が一番期待したキャプテンペリー(オバケポイントにいた)も10人気で5着なら好走したほうだけど、出遅れていたらどうであったろうと、不届きなことをついつい考えてしまう。

それはさておき、この夏のお化け屋敷該当レースはこれまでに9つあって、7つのレースでオバケちゃんが好走したことになる。
函館記念 3着ヤマカツエース 7人気
中京記念 3着ダローネガ   3人気
アイビスSD 3着アースソニック 4人気
小倉記念 1着アズマシャトル 6人気
レパードS ×
エルムS 3着エーシンモアオバー 7人気
札幌記念 2着ヒットザターゲット 8人気
北九州記念 ×
新潟2歳S 2着ウインファビラス 12人気

自分の夏競馬は木端微塵だったけれど、アプローチ的には上々と思わなくもない。だから秋も、秋の夜長の風物詩的にオッズ視点によるアプローチをしてみようかと思っているけど、それはまた別の話だ。

夏競馬はまだ残っている。お化け屋敷は解体されていない。8月は夢花火、私の心はまだまだゴーストバスターズだ。というわけで、さりゆく夏に敬意を表して、もしくは夏の終わりのハーモニーとして、今週行われる3重賞すべてのオバケをチエックしてみる。

参考にできるオッズはすべて予想だから週末の実オッズに置き換えなければいけないけれど、予行演習には十分なる。エルムSのエーシンモアオバー、札幌記念のヒットザターゲット、新潟2歳Sのウインファビラスらは週中の時点でも怪しい臭いを放っていた。まあ3つも重賞があって、しかもすべてにオバケポイントがあるのだから、1つくらいなんとかなるんべぇ〜。

---------------------------------
札幌2歳Sのテスト・バスターズ
---------------------------------

オッズ視点的にはスペクタクルなシーンが少なく、薄味なのが札幌2歳S。とはいえ、薄味ながらもオッズ鑑賞度はそれなりにある。

■オバケポイントは青の層(単10.0-20倍未満)にいる馬

予想オッズを参考に怪しい臭いを放ちそうな馬をあげると、

リアルキング
アフターダーク
スパーキングジョイ
ディーズプラネット

の4頭。

この4頭なら、アフターダークとスパーキングジョイに惹かれる。
アフターダークは前走逃げて、なおかつ、上がり1位で勝っている。つまりスピードの違いでハナに立って、瞬発力も発揮したとも言えるし、先頭で折り合えていたとも言える。それはつまり、逃げられなくても、なんとかなるという判断の参考にもなる。

今年の札幌2歳Sには「前走、逃げて勝った馬」が7頭も登録している。
その中で、上がりも1位だったのは3頭。
プロフェット    予想2人気
アドマイヤエイカン 予想4人気
アフターダーク   予想6人気

ならば3頭で一番人気がなさそうなアフターダークを買いたくなるし、札幌2歳のオッズ傾向からも、「そこ」(青の層)にいるなら、そそられる。
ちなみに去年は3頭、一昨年も3頭の馬が「前走、逃げて勝った馬」だった(途中から先頭は省く)。最近は折り合い重視で、スローペースでも2、3番手につけて走らせたがる傾向が強いから今年の7頭というのはちょっと多い印象を受ける(1200の小倉2歳Sも7頭いるけど、こちらは短距離だから当然)。
札幌2歳Sは、前走逃げて勝った馬の成績がよろしくないだけに(この10年で馬券圏内は2頭。去年のマイネルシュバリエを入れても3頭のみ)、前走逃げた馬に人気馬も多い今年は、どんなレースになるか興味津々だ。

アフターダークは前走・田中博騎手で、今回は福永騎手のようだ。この交替の主旨を理解していないけれど(プロフェットに騎乗しないでアフターダークに騎乗する理由含めて)、福永騎手は将来を見据えた騎乗をする騎手で、今回はそれも含めての騎乗依頼かもしれない。

スパーキングジョイは前走差して勝ったのが魅力だ。
今年は逃げて勝った馬が多いけれど、先行して勝った馬も多く、全体的に前に付けたいメンバーが多そう。こうなると理想のポジションにつけられない馬がたくさん出るわけで、差せる競馬を初戦からできたスパーキングジョイには単純にそそられる。

過去歴を見ても、3角までは10番手以後にいた馬が1頭は馬券圏内に入る傾向がある。経験はなくとも、いきなり差し・追い込みをしてしまうセンスのある馬がいないとは言えないけれど、差し・追い込み競馬を新馬初戦で経験できてることは強みだ。

---------------------------------
札幌2歳S・現状注目馬
---------------------------------
当日オバケポイントの青の層(単10.0-20倍未満)にいることを条件に、

★アフターダーク
★スパーキングジョイ
☆ディーズプラネット
☆リアルキング

そこにいて欲しいと思うのは、アフターダークとスパーキングジョイだけど、仮にこの2頭が人気で、ディーズプラネットとリアルキングがそこにいることになったら、それはそれで注目する。
特にディーズプラネットは、新潟→札幌、松岡→横山典で気になるし、(リアルキングの)父キンカメ産駒は札幌では2着や3着が多いから、これはこれで気になる。

---------------------------------
小倉2歳Sのテスト・バスターズ
---------------------------------
15頭立て以上だと単30倍以上の馬の好走率が上がるレース。しかし今年は登録の段階で14頭と、すでに15頭を割っている。ならばふつうにオバケポイントを重視する。

■オバケポイントは、赤(単1.0-10倍未満)、青(単10.0-20倍未満)、緑(単20.0-30倍未満)の層で一番頭数のいる層。そこから2頭馬券圏内に入りやすい。

大抵は赤の層が厚くなるけれど、青も頑張るので、そこに期待。

予想では、赤3頭、青4頭。

赤3頭
1人気シュウジ 1.8
2人気コウエイテンマ 4.7
3人気レッドカーペット 6.9

青4頭
4人気オウケンダイヤ 10.1
5人気レッドラウダ 11.2
6人気ジュンゲル 17.2
7人気ファビラスヒーロー 19.6

緑0頭

このままなら、青から2頭抽出できるけれど、オッズを見ると4人気と7人気がギリギリの青だ。場合によっては赤がすぐに厚くなりそう。
青が厚くなるカギは4人気のオウケンダイヤと7人気のファビラスヒーローが握っていそう。

だから怪しい候補を2パターンあげておく。

青で怪しい候補
レッドラウダ
ジュンゲル

小倉2歳Sで逃げた馬が馬券圏内に残れるのは、前半が33.1以上かかったとき。
もっと正確にはいえば、前半33.1以上かかれば、逃げた馬が必ず残れるわけではないけれど、残るときはすべて33.1以上かかっている。
逆に33.0以下ならば、逃げた馬は1頭も残っていない。

今年は逃げたそうな馬に武豊騎手と幸騎手が騎乗する。
武豊 ファビラスヒーロー
幸  サイモンゼーレ

言うまでもなく武豊騎手と幸騎手は,関西では重鎮だ。その重鎮が逃げる可能性のある馬に騎乗するということは、すなわち破滅的なペースにはならないと読めるし、ガンガンやり合うこともないと読める。

実際、小倉2歳の過去10年を見ても、武豊騎手や幸騎手が先手を奪ったレースで33.1を切ったことはない。っていうか、この二人が逃げたときはすべて馬券になっている。

05年 武豊 7-1-1 1着
    幸  1-2-2 3着
前半 33.6 幸〜武で逃げ番手で二人とも残った。

08年 武豊 1-1-1 3着
前半 33.2

10年 幸 1-1-1 2着
前半 33.1

13年 武豊 1-1-1 2着
前半 33.1

武豊騎手と幸騎手が今回どのような騎乗をしようとしてるのかはわからないけど、仮に逃げるとしたら、33.1を切るようなペースで馬を走らせる可能性は低いとは読める。この二人の頭を叩いて、なおかつ玉砕的な逃げを打つ騎手がいるかもしれないけれど、ラップを見る限りではそこまで速い馬は見当たらない。
つまりレッドラウダも、二人のどちらかが作る流れに乗れる可能性はあるということだ。

で、ここまで書いてきて気づいた。
だったら、幸騎手のサイモンゼーレか武豊騎手のファビラスヒーローでいいじゃないか!
この2頭は予想の段階では人気もない。美味しいじゃないか!

まったくその通りだ。
ただし、人気のないのもネックだ。二人が馬券圏内に残した5頭は、みな人気があった。キャリアの浅い中で人気があったということは、強さを見せるレースをしていたということだ。
現状の評価はどう見ても伏兵か伏兵以下。ヒモで拾えても、軸にはしにくい。2頭の動向を気にしつつ、今は完全に青にいそうな馬に注目しておく(ファビラスヒーローは可能性あり)。

ジュンゲルは、このレースに強い浜中騎手が騎乗するのが心強い。
社台F生産で、藤原英厩舎がこの時期の短距離に出走させるのだから、それなりの何かがあって、それゆえに出走させると思いたい。
流れはそれほど速くならないと読んでいるので、前走6番手から抜け出す競馬が出来たのも心強い。

赤で怪しい候補
コウエイテンマ

浜中騎手同様にこのレースに強いのが和田騎手。
シュウジが人気だけど、中京の1400、1600を逃げて勝った馬が小倉の1200でさらに強さを発揮するとは思いにくい。実際、強かったとしても1人気なら、あきらめもつく。
ならば中京1600で、シュウジに負けたけど、フェニックス賞で1200競馬での強さを見せたコウエイテンマに食指は動く。

---------------------------------
小倉2歳S・現状注目馬
---------------------------------

赤・青・緑の中で一番厚みのある層から好走馬が2頭出る前提で、
レッドラウダ
ジュンケル
コウエイテンマ
に注目。

ただし、サイモンゼーレ(幸)、ファビラスヒーロー(武豊)もひじょうに気になっている。
この2頭の人気がどうなるかにも同時に注目してみる。

---------------------------------
新潟記念のテスト・バスターズ
---------------------------------

オバケポイントはあるけれど、17頭立て以上で効力を発揮しやすい上に、なかなか成立しにくいレアレース。

登録馬が20頭いるので、17頭立て以上になるとして、
■緑の層(単20.0-30倍未満)に3頭以上いたら、オバケ警報発令! 緑の馬を全部買っておけ!

予想オッズを見ると、緑の層には2頭しかいない。
スイートサルサ
マイネルミラノ
だから現状では不成立。
当日のオッズを見て、考えたい。
正直、この層は人気も流動的で、上記の2頭がそこにいるかも読みにくい。

---------------------------------
新潟記念・現状注目馬
---------------------------------
緑の層に3頭以上入る事を祈りつつ、

ミュゼスルタン
ネオブラックダイヤ
ラブイズブーシェ

3歳馬VSディープインパクト産駒の対決がテーマなのかな?
だとすると3歳でディープインパクト産駒のアヴニールマルシェなのかな?
と思いつつも、ミュゼスルタンの走りに注目したい。
今年の3歳はレベルが高いと言われてる。実際、関屋記念でも3歳ヤングマンパワーは3着した。別定戦では足りないと思っていたけど、足りた。
ならばふつうにミュゼスルタンも走りそう。

ネオブラックダイヤは関東馬だけど、今回も秋山騎手が騎乗する。これで3戦連続だ。天皇賞春5着、宝塚記念9着で何かを感じたのだろうか? もし感じているのなら、阿蘇Sでヴァンヌーヴォーを操ったような(11-11-1-1で1着。スペクタクルな騎乗だった!)変幻自在の仕掛けで、末脚自慢たちを封じ込めて欲しいけど…。

ラブイズブーシェの復活はないかな?

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング