スマートフォン版へ

今年も「初G1制覇」はあるか?

  • 2004年06月21日(月) 11時21分
 宝塚記念は「初G1勝利」が発生しやすいレースであり、また結果として「それが生涯唯一のG1勝利」になる馬も多いレースでもある。

 グレード制導入以降の20年だけでも、宝塚記念で初G1制覇となった馬は実に12頭。そのうち10頭はそれが唯一のG1勝利となっている。

 そういう現象が起きる背景にはいろいろな事情がある。同じ「シーズン最後」ながら有馬記念よりメンバーが集まりにくいことなどは、その最たるものだろう。事実、「宝塚記念で初G1」馬のうち、人気薄で勝ったのはメジロパーマーだけで、他の馬は全て3番人気となっている。

 今年、人気サイドで「G1初制覇がありそうな馬」といえば、まず思いつくのがリンカーンだ。ファン投票の結果からも、同馬に対する期待の高さが見てとれる。

 しかし、リンカーンには他の「初G1馬」とは異なる面もある。菊花賞以降長めのところばかりを使われてきた点、そして前走でよもやの13着という大敗を喫している点だ。

 あまり古い馬を持ち出しても仕方がないので、過去10年の「初G1馬」と比較してみよう。

A→過去3走のうちの最低着順
B→最後に2000m以下を走ったのは何走前か
C→重賞での最短連対距離

【A-B-C】
リンカーン【13-5-2500】
ダンツフレーム【5-1-1600】
メイショウドトウ【2-5-2000】
サイレンススズカ【1-1-1800】
マーベラスサンデー【3-2-1800】
ダンツシアトル【3-1-2000】

 近走での安定味か中距離向きの豊かなスピード、あるいはその両方を生かした馬ばかりなのだが、A〜Cの全てで1位になってしまうリンカーンには一抹の不安も残る。

【A-B-C】
ゼンノロブロイ【4-4-2000】
シルクフェイマス【3-5-2400】
ローエングリン【5-1-1600】

 他の馬も一長一短なのでリンカーンだけを責めるわけにはいかないが、「初G1馬」を狙うには、以上の比較と人気を比べてみたほうがいいだろう。あるいは、アタマにはG1馬をもってきて、ヒモにこのタイプを取るという手もある。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング