宝塚記念は「初G1勝利」が発生しやすいレースであり、また結果として「それが生涯唯一のG1勝利」になる馬も多いレースでもある。
グレード制導入以降の20年だけでも、宝塚記念で初G1制覇となった馬は実に12頭。そのうち10頭はそれが唯一のG1勝利となっている。
そういう現象が起きる背景にはいろいろな事情がある。同じ「シーズン最後」ながら有馬記念よりメンバーが集まりにくいことなどは、その最たるものだろう。事実、「宝塚記念で初G1」馬のうち、人気薄で勝ったのはメジロパーマーだけで、他の馬は全て3番人気となっている。
今年、人気サイドで「G1初制覇がありそうな馬」といえば、まず思いつくのがリンカーンだ。ファン投票の結果からも、同馬に対する期待の高さが見てとれる。
しかし、リンカーンには他の「初G1馬」とは異なる面もある。菊花賞以降長めのところばかりを使われてきた点、そして前走でよもやの13着という大敗を喫している点だ。
あまり古い馬を持ち出しても仕方がないので、過去10年の「初G1馬」と比較してみよう。
A→過去3走のうちの最低着順
B→最後に2000m以下を走ったのは何走前か
C→重賞での最短連対距離
【A-B-C】
リンカーン【13-5-2500】
ダンツフレーム【5-1-1600】
メイショウドトウ【2-5-2000】
サイレンススズカ【1-1-1800】
マーベラスサンデー【3-2-1800】
ダンツシアトル【3-1-2000】
近走での安定味か中距離向きの豊かなスピード、あるいはその両方を生かした馬ばかりなのだが、A〜Cの全てで1位になってしまうリンカーンには一抹の不安も残る。
【A-B-C】
ゼンノロブロイ【4-4-2000】
シルクフェイマス【3-5-2400】
ローエングリン【5-1-1600】
他の馬も一長一短なのでリンカーンだけを責めるわけにはいかないが、「初G1馬」を狙うには、以上の比較と人気を比べてみたほうがいいだろう。あるいは、アタマにはG1馬をもってきて、ヒモにこのタイプを取るという手もある。