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ZOKKON命VS非情のライセンス。ムーアは御一人様1回でお願いしま〜〜す!

  • 2015年12月17日(木) 12時00分


阪神JFはZOKKON命(ラブ)で見極めればカンタンだ!
そう思ってアプローチしたら、
4頭いるゾッコンホースで、1・2・3を決めてしまった!

しかし自分はかつてないパンチドランクに襲われていた。
今年一番といってもいい。流行のことばで言うところのコトイチのドランクだ。

抽選を突破したペプチドサプルに週末になるにつれ、ドンドン、ドンドン、ゾッコンしてしまったからだ。騎手のゾッコン度でアプローチしたつもりが、いつの間にか自分のゾッコン度で馬券を買ってしまったわけだ。ペプチドは9人気で4着。狙いは悪くなかったはずだ。ただもう少し上手な買い方はできたような気もしている。10人気のウインファビラスもゾッコンホースだったからだ。まあしょうがない。この借りは今週の朝日杯FSで返してもらおう(もちろんペプチドにもどこかで、人気薄で、返してもらうつもりだ)。

アプローチはもちろん先週同様にゾッコンホースだ。

2戦以上のキャリアで、騎手がずっと騎乗しつづけている馬は1頭しかいない(全馬で照らしてもこの1頭。キャプテンペリーは回避と想定)。

エアスピネル 武豊

考えるまでもない。
っていうか、考えちゃダメ。
ふつうに
エアスピネル。

これで万全だ!!!!

新馬戦 阪神芝1600 1人気1着
2戦目 デイリー杯 京都芝1600 2人気1着

デイリー杯は2人気だったけど、シュウジ相手に0.6差は完勝もいいとこだ。

デビューで阪神の芝1600を経験しているのもいい。万全の上に安心もある。
ちょっとした不利があって取りこぼす、なにかに足元をすくわれることがあっても連軸は外さないのではないか。

とはいえ、一応コメントチェックはしておく。G1に乗りなれている騎手のコメントはあまり参考にならないけれど、念には念を押すのも大事だ(先週同様にコメントはラジオNIKKEI実況webからの引用だ)。

新馬戦 阪神芝1600 1人気1着 武豊
「まだ子どもで、幼い面があります。ただ、レースに行ってセンスがあります。ラストのフォームは素晴らしいです。かなり奥がありそうです」

2戦目 京都芝1600 デイリー杯 2人気1着 武豊
「調教の時から期待していました。でも、今日はレース前から気負っていたので心配しましたが、レースそのものは上手でした。外々を早めに動くレースになって心配しましたが、この馬なら大丈夫と思っていました。直線もまっすぐ走っていましたし、ポテンシャルの高さを感じます。この後が楽しみな馬です」

期待馬ほど苦言や要望から入るタイプの騎手がいる。去年の朝日杯FSのコメントイマジネーションでもそうだった。蛯名騎手のダノンプラチナへのコメントには厳しさと期待感が同居していた。3戦2勝で、1人気になるやもしれないような実績馬だったけれど(実際1人気だった)、臨戦のコメントは「入口は叱咤で、出口は希望」、そんな内容だった。

武豊騎手のコメントにも似たムードを感じる。
入口で物足りない面を語り、出口で未来への期待感を語る。

新馬戦「幼い面」→「かなり奥がありそう」
デイリー杯「気負う」→「ポテンシャルの高さを感じる」

デイリー杯でのことばの出し入れはやや旋回気味だったけれど、心配ごとを交えながら希望で着地していることには変わりない。

Mデムーロは、難しい馬をムズカシイ馬ねぇ〜と言いながら、爆発的に乗る。
ルメールは、難しい馬をムズカシイとは言わず、上手に乗る(別のことば、真逆のことばのヒントあり。先週のメジャーエンブレムがそうだった)。
蛯名騎手や武豊騎手は、苦言からのぉ〜〜〜期待、心配からのぉ〜〜〜〜希望、そんなタイプか。

名手系は何頭ものG1ホースの背中を知っているから、どうしても評価は慎重になるもの。そのあたりのさじ加減が大事だけれど、エアスピネルに関しては、少なくとも朝日杯FSまでは大丈夫ではないか?

それはデイリー杯でシュウジに騎乗した岩田騎手のコメントとの比較でもわかる。

シュウジ デイリー杯1人気2着 岩田
「ペースが遅く、外枠だったので外に逃げる若い面を出してしまいました。それでも力は出し切れると思いましたが、今日のところは相手が一枚上でした。スピードがありすぎてハナに行った形です」

シュウジ「外に逃げる若い面を出したけれど、それでも行けると思った」→2着
エアスピネル「外々を早めに動くレースになって心配したけれど、この馬なら大丈夫と思った」→1着

どちらも展開的にややヤバイと思いつつも、この馬なら大丈夫と思って強気に出たことがわかる。
大丈夫だったエアスピネルとやや力及ばずだったシュウジ。
岩田騎手は「今日のところは相手が一枚上」と語っていたけれど、お互いに心配しつつだったわけでエアスピネルとの勝負は「今日のところ」だけじゃないようにも感じられる(岩田騎手のこういうコメントは恐いけれど、それはまた別の話)。

うむ、やっぱりエアスピネルで万全だ。少なくとも朝日杯FSでは万全だ。

というわけで、武豊騎手のエアスピネルへのゾッコン度はそれなりに高いという結論に達した。先週のルメールもそうだったけれど、このクラスの騎手の場合はそれなりで十分だ。
とはいえ、この馬はきっと断然の1人気だろう。こうなると相手を絞らないと話にならない。

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リオンディーズは角居厩舎の非情のライセンスか?
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岩田騎手がゾッコンと思われたリオンディーズがMデムーロで出走する。なんせ新馬勝ち後に岩田騎手に「大きいところを勝たせる」と言わしめた馬だ。やすやすと手放すとは思えない。きっとシュウジに騎乗することが決まっていて、リオンディーズは急遽参戦を決めたってことだろう。

ただ急遽でMデムーロが騎乗するなんて、なかなかに用意周到だ。今年一番たくさん2歳馬で勝っているMデムーロのお手馬がかち合ってないのも気になる(Mデムーロ騎乗経験馬はショウナンライズとタイセイサミットがいるけれど、どちらもすぐに別の騎手に乗り替わっているから、すでに手放した馬と判断)。

前走騎乗した騎手には、今走騎乗馬が決まっていて、どうしても乗れない。だから仕方なく別の騎手に依頼する。だから降ろした形ではない。
けれど、ピンチヒッターで依頼した騎手がなんだか上手そう。
これを角居厩舎の非情のライセンスと自分は呼んで、いつも気にしている。

直近でこれがハマったのがチャンピオンズCのサンビスタだ。岩田からMデムーロだった。ハマらなかったのはエリザベス女王杯のラキシスだ。武豊からムーアだった。去年、ハマったのはジャパンカップのエピファネイアだ。福永からスミヨンだった。

百発百中ではない。だからここでハマるとは限らない。けれど、このレースが阪神芝1600となると無視できない。この時期の阪神芝1600を角居厩舎は得意としているからだ。

角居厩舎、松田博厩舎、国枝厩舎は、ちょっと前の阪神JFの常連勝ち組厩舎だった。それがあったので去年のダノンプラチナも心配せずに買えた(国枝厩舎)。この時期に阪神芝1600で勝ち負けすることのノウハウと春のクラシックに繋がる可能性があることを熟知しているとの見立てだ。

ダノンプラチナは結果的に春のクラシックでいいところを見せられなかった。3着したクラリティスカイもNHKマイルを勝ってしまい、朝日杯FSは中山時代と同様にクラシックに直接つながりにくいレースのままだった。ただ2歳牡馬ローテは今転換期で、みな手探り状態だ。重賞になって、クラシックに繋がると思われたホープフルS組も、去年はクラシックで馬券にならなかった。だからまだ結論は出せない。

春のクラシックうんぬんはとりあえず置いておく。だとしても、阪神芝1600で勝ち負けできるノウハウと勝ち負けできる可能性を馬に見いだすノウハウは持っているのが角居厩舎のはずで、だからこそのMデムーロでの出走ではないか、非情のライセンスの発動ではないのかと思うわけだ。

急遽の出走感がともなうけれど、急遽感を醸し出しているだけと見た!これは最初から計画されたプロジェクトだ!だから出走する以上は勝ち負け!でないと許されない!そんな見立て。

リオンディーズは予想2人気。
おっとエアスピネルにつづき、またしても人気馬に注目してしまった。やばいやばい。とにかくやばい。

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須貝厩舎とムーア・カード
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須貝厩舎が2頭出しする。
当初の予定は、
イモータル ムーア
シャドウアプローチ ルメール
だった。

しかし、ルメールは騎乗停止で、結局ムーアも騎乗停止で、
イモータル 武幸
シャドウアプローチ 中谷
騎手になりそうだ。

でもそのことは今はどうでもいい。
大事なのは、須貝厩舎がムーアとルメールで臨もうとしていたことだ。

一つの厩舎が二人の外国人名手で臨む。なかなかできることじゃない。つまりそれだけ、力が入っているということだろう。
シャドウアプローチはルメールが2走前に騎乗していた馬で、この騎乗に違和感はない。でもイモータル=ムーアにはただならぬ気合いを感じる。

ついに、ここで、ムーアという名のカードを切ったか!?
そんな感じだ(結局切り損ねたけれど、ここではそれは関係ない)。

誰がカードを切ったのか?須貝師?須貝師は希望は出せるけれど、決定できる立場ではないだろう。誰がカードを切ったのかはよくわからない。ムーアを統括管理しているのは通常レースではエージェントの方だろう。もしくは身元引受厩舎の堀厩舎かもしれない。けれど、重賞では違うように思える。

以下は今回の来日でムーアが重賞で騎乗している馬だ。
注目は馬主だ。かぶりのないのがわかる。

15年
チャンピオンズC グレープブランデー8着 馬主・社台RH 安田厩舎
ステイヤーズS  アルバート1着 馬主・林正道 堀厩舎
ジャパンカップ  ラストインパクト2着 馬主・シルク 松田博厩舎
東スポ杯     タイセイサミット6着 馬主・田中成奉 矢作厩舎
マイルチャンピオン モーリス1着 馬主・吉田和美 堀厩舎
エリザベス女王杯 ラキシス11着 馬主・大島昌也 角居厩舎
武蔵野S     ゴールデンバローズ11着 馬主・猪熊広次 堀厩舎

生産はほとんどがノーザンFか社台Fなので省いた。
堀厩舎が多いのもわかる。だけど、馬主にかぶりがないのが面白い。

ムーアは御一人様1回でお願いしま〜〜す!

と誰かが整理券でも配っているかのようだ。
もちろんムーアが騎乗して気にいった馬の場合は連続騎乗もあろう。だけど、できるだけ多くの馬主にチャンスを与えているようにも思える。
去年も同じだった。

14年
朝日杯FS    ペプチドウォヘッド18着 馬主・沼川一彦 吉村厩舎
愛知杯      キャトルフィーユ2着 馬主・ロードホースクラブ 角居厩舎
全日本2歳優駿   ワンダフルラスター4着 馬主・シルク 音無厩舎
チャンピオンズC クリノスターオー8着 馬主・栗本守 高橋忠厩舎
金鯱賞      ダークシャドウ6着 馬主・飯塚知一 堀厩舎
ジャパンカップ  ジェンティルドンナ4着 馬主・サンデーR 石坂厩舎
東スポ杯     サトノクラウン1着 馬主・里見治 堀厩舎
マイルチャンピオン エクセラントカーヴ12着 馬主・吉田照哉 堀厩舎
武蔵野S     ゴールスキー10着 馬主・社台RH 池江厩舎
アルゼンチン共和国 ラブリーデイ5着 馬主・金子HD 池江厩舎
京王杯2歳S    ウォリアーズソウル12着 馬主・ノルマンディー 矢野厩舎

厩舎にかぶりはあっても、馬主にかぶりなし。

ムーアは一馬主・1頭でお願いしま〜〜す!

はいはいはい!
金子オーナーの馬には去年のアルゼンチンでのラブリーデイ以後、騎乗してません!
今年は朝日杯FSのイモータルでお願いします!チャンスホースです!
ご存知のとおり金子オーナーは朝日杯を勝利したことがありません。ここでムーア・カードを使わせてください!

社台グループ生産がらみの馬が中心なのは言うまでもない。非社台系でお願いできるのは社台系で騎乗馬がいないときだけだろう。
だとしても、ノーザンF直系のサンデーRや社台F直系の社台RHの馬に偏るのではなく、個人馬主の馬にも満遍なく騎乗できているのが面白い。

つまり、イモータル騎乗は、金子オーナーが(もしくは須貝師が、もしくは運営委員会が)ついに切ったカードではないか?そう思えるのだ。

万全を期してのムーア。

そのイモータルの予想人気は3人気。
あちゃちゃちゃ!またしても人気だ。
やばいやばいやばい。
1人気→2人気→3人気と順番に取り上げちゃったよ。

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朝日杯FS注目馬
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須貝厩舎の2頭イモータル&シャドウアプローチ

用意した勝負騎手二人が騎乗停止。
須貝師は運に見放された、勝負にケチがついたと思うなら、買うべきじゃないだろう。
これで人気が上がるならば、自分も買いたくない。
でもちょっとでも人気が下がるならば、買いたくなる。

ムーアで万全と書いたけれど、金子オーナーの馬でムーアを招聘しようとする場合は、足りない馬への腕頼みではなく、勝ち負けできる馬に万全を期すための依頼と踏んでいる。つまり、状態がいいからムーアに頼んだと思うのだ。前走・東京1600のサウジアラビアRCを1人気でハナ差2着。十分だ。これで人気が少しでも下がるならば買ってみたくなる。

シャドウアプローチはちょっと難しそうな馬で、こちらの騎乗停止の方がイタそう。中谷騎手がどうのこうのではない。テン乗りの騎手より騎乗経験のある騎手の方がいい。それでも買いたいのはこちらも状態がいいからルメールに再度頼んだと思うからだ。2頭出しで1頭はムーアで、力の落ちるもう1頭をお願いしますとは、口が裂けても言えないはずだ。それなりの勝算があるからルメールに頼んだと思いたい。

前走は京王杯2歳Sを1人気で3着。そこが魅力だ。だから今回は予想7人気。とてもそそられる。ルメールが騎乗停止になったから空いてる中で一番上手そうな騎手に頼むのではなく、調教で騎乗してる中谷騎手に頼むというのも実に理にかなってる。

2頭ともに前走重賞で1人気だった馬。そんな馬が今回人気を落とす。武幸騎手も中谷騎手も緊張しないで騎乗できるのではないか。あとは遠慮しないで乗れるかだ。好スタートを決めたのに主張すべきところを主張せずにいつの間にか後手に回る。よくあることだ。馬に勝負根性があっても騎手に勝負根性がないとダメな場合もある。遠慮しないで騎乗して欲しいものだ。

エアスピネル 大敬意
リオンディーズ 買うなら単勝。もしくは1着付け。

つまりZOKKON命VS非情のライセンスだ。
そこにピンチヒッター二人が絡めるか?

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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